Twitter社会論 (津田大介)

4862484824 「Twitter社会論」は、「tsudaる」で一躍日本のTwitterのひとつの顔になった津田大介さんの書籍です。
 献本を頂いていたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 Twitter「社会」論とタイトルに銘打たれているように、Twitterの技術的な特性や可能性の話だけでなく、Twitterが日本のメディアや社会に与える影響を津田さん独自の視点で解説しているのが印象的な本になっています。
 Twitterが生み出している表面上の出来事だけでなく、その背景について考えてみたい方には参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■筆者の考えるツイッターの特徴は、大まかに分けて以下の6点だ
・リアルタイム性
・伝播力が強い
・オープン性
・ゆるい空気感
・属人性が強い
・自由度が高い
■筆者もモバツイッター解説とほぼ同時期にツイッターを利用し始めたが、モバツイッターの存在がなければ、自分がここまでツイッターにハマったかどうかわからない。
■日本語圏でも徐々にユーザーが増えていったのは、早い時期から藤川氏のような個人がAPIを利用して、ツイッター社がフォロー出来ていない部分を補ってくれたからだ。
■実はネットを流れる情報の多くはタイトルが付いている必要がない
■筆者のツイッターの基本的な使い方は以下の5通り
・いまなにしてる?に準じた日常報告
・時事ニュースやネットで話題になっていることに対する感想や解説
・日々生活している中で突然思いついた提案や教訓、冗談など
・ツイッターを使ったイベントの中継、いわゆる「tsudaる」
・自分の活動に関する告知


■イベントのツイッター中継は、それが有料でない場合、話者の発言を適宜要約してつぶやく限り、(著作権的にグレーな領域がないとは言わないが)ほぼ合法的な行為と言える。
 ただし、発言の要約と「イベントがいつ、どこで、どのような場所で行われ、そこで誰がどんな発言をしたか」ということを正確に記し、「報道」であるという意識を持って行うことが重要だ。
 また、可能なら当事者(話者と主催者)に事前許可をもらうことが望ましい。
■大切なのは発言のニュアンスが間違っていたときに、話者がきちんと「訂正」を依頼できる環境を用意しておくということだ。
■「tsudaる」技術の5つのポイント
・配布資料はあらかじめ確認する
・スライド上の数字やデータを見逃さない
・オイシイ発言を見逃すな
・「つまり」「要するに」を待て
・文字数はとにかく節約
■マスメディア・ジャーナリズムの3つの機能
・できるだけ早く、漏れなく伝えるという「伝達機能」
・権力が現在何を行っているのか公開するという「監視機能」
・問題の解決策を提示し、その解決策への評価も含めて読者に提示していく「アジェンダセッティング(議題設定)」
■現在メディアが担っている「伝達機能」は、これから間違いなく多くの部分をツイッターに取って代わられる。しかし、これは既存メディアの役割や必要性が大幅に変わるという話ではない。
■米CNNがイラン選挙のニュースを十分に報じていないとして、ツイッターユーザーが「#CNNFail」というハッシュタグを付けて抗議の声を集約させ、CNNに圧力をかけた
 ハッシュタグという仕組みが、抗議行動やサイバー目的でもつかえるということが証明された。
■刻一刻と状況が変化する政治の世界で、リアルタイム性と伝播力に優れるツイッターの特性は「監視」するのにうってつけなのだ
■海千山千、魑魅魍魎が跋扈する政治の世界で、ツイッターが「政治を劇的に変える」などということはあり得ない。だが、多くのネットユーザーに対して「政治家を身近に感じさせ、政治への参加意識を高める」というツイッターの効能は、政治を変えるための「第一歩」としては十分な役割を果たし得るはずだ。
■会社内でもっとも「人間力」が高いユーザーをツイッター担当にしろ

4862484824 Twitter社会論 ~新たなリアルタイム・ウェブの潮流 (新書y)
洋泉社 2009-11-06

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