「訳者解説」は、様々な書籍の翻訳で有名な山形浩生さんの書籍です。
献本を頂いていたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
この本では、山形さん独自の視点から翻訳に携わった数々の書籍の考察をされています。
この本に出てくる書籍は分厚い本や難しい本が多いため、ついつい手にとるのをひるんでしまうような本が多いですが、この山形さんの解説を読んでから買ってみるというのも良さそうです。
物事の本質を考え直せるような本を探しているという方には、参考になる点が多々ある本だと思います。
【読書メモ】
■自由とは、自由を享受する能力である (ダニエル・デネット 「自由は進化する」)
■悪は人間離れした怪物が生むものではなく、むしろ凡庸さ/陳腐さの産物なのだ。したり顔でナチスの残虐行為を糾弾する人も、その場におかれていたら平気でガス室のボタンを押していただろう(スタンレー・ミルグラム 「服従の心理」)
■教えるという行為自体、何らかの権威への服従を前提にしないと不可能だ。教育はある程度は「先生の言うことはだまってきけ」という条件付けだからだ。(スタンレー・ミルグラム 「服従の心理」)
■ウンコ議論とは、よそ者判定のツール、あるいはよそ者に余計なコスト負担を強いてコミュニティ内部の人々を相対的に有利にする一種の非関税障壁的な紅葉を果たしているとも言えまいか?(ハリー・フランクファート 「ウンコな議論」)
■ガンが増えている、というデータを見せられたとき、ぼくたちはそれをどう判断すべきか?絶対数だけ見てもだめで、人口比や年齢補正がいるんだという話を、本書はていねいに説明してくれる(ビョルン・ロンボルグ 「環境機器をあおってはいけない」)
■それが人類絶滅や文明崩壊につながる大災厄でないなら、温暖化は人類が直面しているいくつもの、深刻だが致命的ではない各種問題の一つでしかない。(ビョルン・ロンボルグ 「地球と一緒に頭も冷やせ!」)
■メーカーが作ってきた商品を棚に並べる段階から、近年ではコンビニのオリジナル商品が大量に出現している。これも大量データ解析(本書で言う絶対計算)の成果だろう。(イアン・エアーズ 「その数学が戦略を決める」)
■今後は意図的に不完全性を各種システムに導入しなきゃいけない。(ローレンス・レッシグ 「CODE」)
■世の中に、不快な現実があることを認識しなきゃいけない。そして、それが不快だとお網なら、それをなくすために何かしなきゃいけない。不快な、見たくないものを見てしまうことには、それ自体価値がある。人が思いのままに、好きなものだけを見ることを許してはならない。(ローレンス・レッシグ 「CODE」)
■自由は、放っておいて実現されるものじゃない。自由を実現し、コモンズを創り出したのは何か?それはほとんどの場合、ある種の規則だ。それは意図的なものもあれば、意図せざるものもある。(中略)自由を守るためにも規制を考え直す必要がある(ローレンス・レッシグ 「コモンズ」)
■イノベーションも創造も、だれか他の人がやることだと思っている人が多い。でもちがう。掲示板にちょっとした感想文を書いてみたり、だれかのちょっとした質問に答えたり-それはすべてイノベーションであり、創造行為だ。コモンズがすばらしいという議論がなりたつためには、みんながそれを活用して新しいものを創り出すと言うことが前提となる。(ローレンス・レッシグ 「コモンズ」)
訳者解説 -新教養主義宣言リターンズ- (木星叢書) バジリコ 2009-10-17 by G-Tools |