ブラック企業世にはばかる (蟹沢孝夫)

4334035604 「ブラック企業世にはばかる」は、タイトル通りブラック企業について考察されている書籍です。
 献本を頂いていたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 この本で紹介されているのは、いわゆる法的にブラックな企業ではなく、合法だけど社員に取ってブラックな企業。
 良い会社とは何か、を冷静に考えてみたい方には参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■ブラック企業(職場)の二分類
・悪徳商法やヤミ金融、ニセモノ販売業者などのように、その会社・職場の外に迷惑をかけ損害を与える違法な活動をしている企業。
・対外的なビジネス自体はマトモなのに、内部的な問題を抱えてブラック視されている企業。
 このうち前者は、明らかに社会から撲滅すべき存在であることに議論の余地はない。しかし後者は、さまざまな社会的・経済的矛盾をはらみながらも、社会の歯車の一部として不可欠な存在になっていることも多く、単純に撲滅すべしと言うことはできない。
■ブラック職場の三タイプ
・肉食系ブラック職場:安月給でこき使われる職場
・草食系ブラック職場:やる事自体は比較的ラクだが、人生において大切な時間や将来性をすこしずつ奪われてしまう職場
・グレーカラー職場:優秀な大学を出たエリートホワイトカラーの勝ち組就職先として認知されているが、一皮剥くとその実情はブラックだったと言う職場


■下請けブラック職場の黒幕
 それは業界ピラミッドの頂点にいる。自分たちが利益を出すために安い値段で下請け・人だし会社を使い、しわ寄せ仕事を押し付けておいしい思いをしている元請け会社
■私たちがこういう不幸な就職をする人を少しでも減らそうと考えるなら、こうした職場自体を悪い悪いと叫ぶのはほどほどにして、価格破壊が彼らを苦しめている現状をきちんと認識すべきだろう。
■仕様変更が起きてしまう原因
・一番川上にいる発注者が発注後に何かに気づいたり、心変わりしたりして、当初の作業依頼に変更を求めてきた場合
・一番川上にいる発注者・元請け間における当初の発注内容の詰めが甘く、当初計画のままでは不都合が生じることが作業開始後に判明した場合
・元請けにより立てられた作業計画や下請けへの指示に落ち度があり、当初の作業計画や指示のままでは不都合が生じることが下請けへの発注後に判明した場合
■産業界の現状は、タテマエではサッカー界のようなピラミッド構造であるはずなのに、実際には階層を越えた企業の移動がかなり難しく、事実上野球界の構図になってしまっている。
■日本の採用観
・転職歴が多い人はイヤ
・経歴がバラバラな人はイヤ
・経歴はいいが年齢が高い人はイヤ
・経歴が浅い・薄い人はもう少し若くないとイヤ

4334035604 ブラック企業、世にはばかる (光文社新書)
光文社 2010-04-16

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