「日銀貴族」が国を滅ぼす (上念司)

4334035698 「日銀貴族」が国を滅ぼすは、タイトル通り日銀の在り方について考察されている書籍です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 正直、私は日銀の役割や中央銀行の存在意義についてよく理解しているわけではありませんが、この本を読むと、異様に長く続く日本のデフレと現状の日銀について、いろいろと考えさせられます。
 日銀について、メディアと違った視点から考えてみたい方には参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■中央銀行の主な役割
・通貨の供給や金利をコントロールすることで物価を安定させる
・金融システムの安定を維持する
・経済パフォーマンスを最大化させること
■日銀の根拠法には「経済パフォーマンスを最大化させること」は明示されていない
■デフレ脱却の手順案
・日本政府が額面で30兆円の硬貨を鋳造する
・30兆円玉を日銀に持ち込んで、1万円札30億枚に両替する
・30兆円を財源に、一人当たり20万円の定額給付金を毎年支給する
・デフレが終わり、マイルドなインフレが定着したら支給を停止する。デフレが終わらなければ最初に戻る


■末法思想的定番ネタの日本滅亡への6ステップ
・日本の巨額な国債は郵貯や銀行によって”無理矢理”買い支えられている
・国債残高が大きくなりすぎてもう返せないと考えるようになると、誰かが日本国債を市場で売り浴びせてくるかもしれない
・売り浴びせが始まると市場がパニックになって国際価格が大暴落
・国債が暴落するので金利が上昇
・ハイパーインフレ発生
・日本滅亡
→作り手に取っては手軽で、ちょっとした工夫で数字が取れる”オイシイネタ”
■国際金融のトリレンマ
 次の3つのうちのどれか2つを採用すると、残りの1つは絶対に採用できない
・固定相場制
・資本移動の自由
・金融政策の自由
■少なくとも、現行の日銀法の第4条、第25条を改正すれば、闇の物価誘導目標マイナス1%から+1%などというものは絶対に許されません。
 民主党政権が表明している、最低でも+1%以上の物価上昇率を達成しなければ、政府との目標を共有できないことになり、日銀総裁はクビになってしまうからです。

4334035698 「日銀貴族」が国を滅ぼす (光文社新書)
上念 司
光文社 2010-06-17

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