「伝説の教授に学べ! 本当の経済学がわかる本」は、勝間和代さんが浜田宏一さんの特別授業を受けた様子を収録した書籍です。
献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
浜田宏一さんは、東京大学在学中に司法試験に合格し、現日本銀行総裁の白川方明氏に経済学を教え、いまでもアメリカの名門イェール大学経済学部で教鞭をとり続けている、という伝説の教授だそうです。
正直、私にはちょっと難しい話が多かったのですが、そんな伝説の教授が経済をどう見ているのか気になる方には、参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■一国の中央銀行のエコノミストが、デフレは良いことか悪いことか、などという議論をするのは世界の常識では考えられない
■公務員のような人たちにとっては、デフレの悪影響は比較的小さいと言えます。
■なぜ日本銀行が、「日銀流理論」にしがみつき続けるのかは、本当によくわかりませんが、おそらく、失敗をしないようにという意識が年々、積み重なって出来上がった一種の伝統ではないか、と思います。
■日本銀行のコンファレンスで発表された海外の経済学者の論文も、日本銀行の主張と違っていれば、徹底的に無視されます。
■市場には2通り
・フローの市場:食料品の市場や労働市場のように、そのときどきに売買代金が決済されて、生産や、消費、投資に結びつく
・ストックの市場:貨幣の市場とか、金の市場とか、不動産の市場とか、株式市場といったバランスシートに関係する
■ストックの市場のほうが価格がはげしく動きます。
■現在の事態がこれほどひどいのだから、将来起きるかどうかもわからないハイパーインフレを心配するのはいかがなものか
■インフレターゲット批判のパターン
・無効論
・輸入デフレ論
・波及メカニズム論
・実例論
・弊害論
■GDP成長率が高いほうが生活の満足度が高いのが事実
GDPで中国に抜かれたことが問題なのではなく、日本が成長できていないことが問題
■経済学のカンドコロ
・ミクロでは正しいことでも、マクロで考えるとおかしくなることがある。ミクロとマクロを区別しよう
・名目と実質を区別しよう
・フローとストックを区別しよう
・部分均衡と一般均衡を区別しよう
・固定相場制と変動相場制を区別しよう
・民間銀行と中央銀行を区別しよう
■間違った経済論議を見抜く方法
・論理の筋道に飛躍がある
・言っていることが矛盾している
・政策の政治的・実務的困難を強調する
・政策の現状維持バイアス
・ビッグワードで語ろうとする
・可能性の低いリスクを針小棒大に強調する
・違う物差しを持ち出す
伝説の教授に学べ! 本当の経済学がわかる本 浜田 宏一 若田部 昌澄 勝間 和代 東洋経済新報社 2010-06-25 by G-Tools |