これからの「正義」の話をしよう (マイケル・サンデル)

4152091312 「これからの「正義」の話をしよう」は、ハーバード大学の人気哲学講義を書籍にした本です。
 本屋でベストセラーに並んでいるのが気になって買ってみたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 正義という言葉は、案外簡単に口にしがちなキーワードではありますが、この本を読むと実は正義というのはそんなに簡単に語れるものではないことが思い知らされます。
 
 正直なところ、私にはちょっと難しい話も多かったのですが、「正義」について一度真剣に考えてみたいという方には参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■正義についてアプローチする3つの観点
・幸福
・自由
・美徳
■正義への二つの対立するアプローチ
・第一のアプローチは、行動の道徳性は行動がもたらす結果だけに依存しているとするものだ。つまり正しい行いとは、総合的に考えて、最善の状況を生み出すすべてのことだというわけである。
・第二のアプローチは、道徳的に言えば、結果だけを考えれば良いわけではないとするものだ。つまり、いくつかの義務や権利は、社会的結果とは無関係に尊重されるべきだというのである。
■ベンサムの「最大幸福」原理に対する二つの反論
・最大幸福原理は人間の尊厳と個人の権利を十分に尊重していない
・道徳的に重要なすべてのことを快楽と苦痛という単一の尺度に還元するのは誤りだ


■成功している人々は、自分の成功がこうした偶発性の影響を受けていることを見逃しがちだ。
 資本主義社会では起業家精神が、官僚主義社会では上司とぶつからずにうまくやっていく能力が役に立つ。社会がこうした資質を高く評価するのは、われわれの手柄ではない。
■アリストテレスの政治哲学の中心
・正義は目的にかかわる。正しさを定義するには、問題となる社会的営みの「目的因(テロス)」を知らなければならない。
・正義は名誉にかかわる。ある営みの目的因について考えることは、少なくとも部分的には、その営みが称賛し、報いを与える美徳は何かを考え、論じることである。
■道徳的責任の三つのカテゴリー
・自然的義務:普遍的。合意を必要としない
・自発的責務:個別的。合意を必要とする
・連帯の責務:個別的。合意を必要としない
■ジョン・F・ケネディとバラク・オバマに共通点を見出した人は多い。ともに若く、雄弁で、はつらつとした政治家であり、その当選は新世代の指導者への交代を意味した。また、いずれも、アメリカ国民を新たな市民参加の時代に向かわせることを目指した。とはいえ、政治における宗教の役割に関しては、二人の見解は正反対と言えるほど異なる。

4152091312 これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学
マイケル・サンデル Michael J. Sandel 鬼澤 忍
早川書房 2010-05-22

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