「あのサービスが選ばれる理由」は、サービス産業のあり方について考察している書籍です。
献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
この本は、製造業とは異なるサービス業におけるポイントをまとめられていますので、サービス産業に関わる方には非常に参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■私たちが買っている製品は、会ったこともない人の手によって遠いどこかで作られている。だから、製品に不具合があっても個人的なこととは受け止めない。
ところがサービスの場合は、サービスを提供する相手と会って買うのが普通だ。約束通りのサービスが提供されなければ、自分だけそんな目に遭わされたと感じる。
■世間に名前を広めることに意識を向けると、社内に目が向かなくなる。
何よりも、「サービスマーケティングで核となるのはサービスそのものである」という鉄則すら忘れてしまう。
■「コピーを書くのにそれほど苦労するなら、問題は商品のほうにある」
■顧客調査を重ねていくほど、口頭での調査のほうが効果的だとわかる。それはなぜか?
・書くよりも話すほうが物理的に楽だから。
そのため、記述よりも口頭での調査のほうが詳しく答えてもらえる。
・一般的に言って、記述式の回答率は40%程度だが、口頭なら、回答率はほぼ100%である。
・口頭での調査の場合、対象者は調査員と直にやりとりするため、自分に関心を寄せられていると感じる。その結果、尋ねられた会社やサービスのことが強く印象に残る。
・口頭で調査すれば、文字では伝わりきらない書き手の気持ちを、より正確に知ることができる。
■絶対に尋ねてはいけないこと
「弊社の嫌いな点、弊社のサービスの嫌な点をあげてください」
■ほとんどのサービスにおいて、消費者には「そのサービスを買う」「自分で何とかする」「何もしない」の三つの選択肢がある
つまり、最大の競争相手は同業者ではない。消費者なのだ。
■マーケティング戦略を見なおすときの4つの問い
・テクノロジーの面で同業他社に遅れをとっていないか
・別の業界の同規模の会社と比べて、テクノロジーで遅れをとっていないか
・二年後を考えたとき、現状の取り組み方で他社から遅れをとらないと言えるか
・固定観念にとらわれることなく、自社サービスの改善や成長に新しいテクノロジーを活かす方法がないか、十分に検討しているか
■ポジショニング・ステートメント
・誰:会社名は?
・業種:携わっている事業の内容は?
・ターゲット:対象とするターゲットは?
・ターゲットのニーズ:ターゲットが自分たちに求めているものは?
・競合相手:競合相手は誰?
・他社との違い:競合相手との違いは何?
・結論:この会社のサービスのメリットは何?
このサービスを利用した顧客しか得られないメリットは?
■ポジショニングとフォーカスがもたらす恩恵
・クチコミの力が高まる
・エレベーターでのクチコミにも有効
・社員の結束が強くなる
・強力なチーム体制ができる
■「価格ありきの戦略をとることは絶対にない。価格では何一つ独自性が出せないからだ。」
覚えておいてほしい。どんなに安くしても、さらに安い会社はいずれ現れる。
それに消費者には、買わずに自分でまかなうことも、あきらめる選択肢もあるのだ。
■顧客が満足するかどうかは、その人の期待と現実との差で決まる。
となると、誇大宣伝はマーケターにとって自殺行為も同然だ。
■感謝の気持ちは伝え続けねばならない。
感謝されること以上に嬉しい気持ちになれることはめったにない。
それなのに、感謝の気持ちを十分に表しているサービス業者はほとんどない。
■あなたの会社の営業マンは、セールスポイントをしっかりと把握しているだろうか?個人の力量に任せるのではなく、会社としてセールスポイントを定め、そのサービスを受けた人にどんなメリットがあるのかを明確にしなければ、誰が売り込んでもうまくいかない。
あのサービスが選ばれる理由 ハリー・ベックウィス Harry Beckwith 花塚恵 海と月社 2010-12-17 by G-Tools |