HPウェイ (デービッド・パッカード)

HPウェイ[増補版] 「HPウェイ」は、ヒューレットパッカードの創業者であるデービッド・パッカードがHPの歴史や企業理念について紹介している書籍です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 実は私は10年以上前にこの本の原著を読んで、おおいに影響されたことがあります。
 HPというと典型的な外資系企業と思っている方も多いと思いますが、この本を読むと実はHPの企業文化は典型的な株主重視の外資系企業に比べて、どちらかというと従業員や社会を重視する古き良き日本企業に近い印象を受けるはずです。
 
 もはや、古典とでもいうべき本だと思いますが、企業の存在意義を原点に返って考え直したいと言う方には是非お薦めしたい本です。
【読書メモ】
■会社はなぜ存在するのか
 会社はただカネ儲けのために存在すると考えている人が大勢いると思いますが、それはまちがっている。金を稼ぐことは重要な結果ではあるけれど、もっと深いところに、会社の本当の存在意義を見つけなければならない
 
■人が集まり、会社と呼ばれる組織を作るのは、ばらばらではできないことも団結すればできるからです。
 人が集まれば価値のあることができる。つまり、社会貢献ができる。

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瞬間説得 (ケヴィン・ダットン)

瞬間説得―その気にさせる究極の方法 「瞬間説得」は、説得のメカニズムについて考察している書籍です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 この本では、いわゆる説得というものは論理的なものではなく、瞬間的な印象によって影響されている点が多いのではないかという考察をされていますので、普段ついつい相手を説得するために長々と話してしまう人には参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■赤ちゃんに備わった社会的影響力を持つ鍵刺激
・すぐれた音響効果の泣き声を出す能力
・悪魔的な愛らしさ
・視線を合わせたときに催眠術をかける能力
■説得が上手くいくかどうかを予測する一番のポイントは、視線を合わせること
■情報を与える順序次第で、人の考え方は変化する

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震災後の今だからこそ、日本人が新しいチャレンジをするかどうかが問われているという話。

 先週、日経BPさんから出版された「スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション」の著者であるカーマイン・ガロさんの来日記念イベントが開催されました。
 私も夜の部の司会として参加させて頂いたのですが、非常に印象に残ったことがあるので、ブログにメモしておきたいと思います。
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 ガロさんのプレゼンやお話しについては、さすがスティーブ・ジョブズのプレゼンの著者の方らしく非常に引き込まれる内容だったのですが、個人的にとても印象に残ったのは最後に外村さんからも提示された「震災後の今だからこそ、日本はイノベーションを起こせるチャンスがある」というメッセージ。
 何でも、これまで外村さんがさんざんSVJENなどの活動を通じて、日本のエンジニアをシリコンバレーに触れさせようとしてきたのが全く反応が薄かったのに、今回の震災後、急にシリコンバレーに来る日本人エンジニアが増え、それを受け入れるイベントも大きく盛り上がっているんだそうです。
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スターバックス再生物語(ハワード・シュルツ) に学ぶ、道を見失った一流企業が輝きを取り戻すために必要なこと

4198631506 「スターバックス再生物語」は、スターバックスのCEOであるハワード・シュルツが書いた経営改革本です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 この本は、スターバックスの創業期の成功話を描いたものではなく、スターバックスが経営危機に陥り、その後いかに再生していったか、を描いている本です。
 正直、恥ずかしながらこの本を読むまで、スターバックスがリーマンショックの前後に経営的な危機にさらされていたなんてことは、全く知りませんでした。
 おそらく日本人の多くが知らない出来事なのではないでしょうか?
 ただ、この本を読むと、実はスターバックスが2007年~2008年にかけて、大きな経営危機に直面し、かなり大規模なリストラや改革を行い、現在の「スターバックス」になったことが良くわかります。
 
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 スターバックスと言えば、Facebookページのファンが2300万人を超えるなど、ソーシャルメディアを積極的に活用していることでも知られていますが、実はそういったスタイルに至ったのは、この経営危機が背景にあった、というのは私もこの本を読んで始めて知りました。
 その経営危機の最大の原因と考えられるのが、行きすぎた株主重視による短期的経営です。
 この本では、そんなスターバックスが、創業者であるハワード・シュルツのもと、どのようにもともとのスターバックスの理念を取り戻し、新しいスターバックスとして飛躍していくかを描いています。
 丁度この本を読んでいる際に、丸の内ブランドフォーラムで、日本企業が株主重視やグローバル会計の表面だけを真似してしまい、もともとの日本企業の強みを見失ってしまっているのではないかという議論をしたのですが、このスターバックスの話は、まさにそんな考えを裏付けてくれるケースと言えるような気がします。
 この本はスターバックスに興味がある人だけでなく、企業の理念やビジョンがどうあるべきか、成功していた企業が直面する成長の壁をどう乗り越えていくべきか、を悩んでいる方に非常に参考になる点が多々ある本だと思います。
【読書メモ】
■2007年、スターバックスは道を見失った。成長に固執するあまり業務から目をそらし、中核となるものから離れてしまったのだ。
■2008年2月のある火曜日の午後、米国スターバックスは、国内にある7100店舗全部を一時的に閉鎖した。
■スターバックスは第三の場(サードプレイス) 
 自宅が人と人がふれあう第一の場で、職場を第二の場とするならば、カフェなどいわば公共の場所を、わたしは第三の場と呼んでいる。

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