HPウェイ (デービッド・パッカード)

HPウェイ[増補版] 「HPウェイ」は、ヒューレットパッカードの創業者であるデービッド・パッカードがHPの歴史や企業理念について紹介している書籍です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 実は私は10年以上前にこの本の原著を読んで、おおいに影響されたことがあります。
 HPというと典型的な外資系企業と思っている方も多いと思いますが、この本を読むと実はHPの企業文化は典型的な株主重視の外資系企業に比べて、どちらかというと従業員や社会を重視する古き良き日本企業に近い印象を受けるはずです。
 
 もはや、古典とでもいうべき本だと思いますが、企業の存在意義を原点に返って考え直したいと言う方には是非お薦めしたい本です。
【読書メモ】
■会社はなぜ存在するのか
 会社はただカネ儲けのために存在すると考えている人が大勢いると思いますが、それはまちがっている。金を稼ぐことは重要な結果ではあるけれど、もっと深いところに、会社の本当の存在意義を見つけなければならない
 
■人が集まり、会社と呼ばれる組織を作るのは、ばらばらではできないことも団結すればできるからです。
 人が集まれば価値のあることができる。つまり、社会貢献ができる。


■第二バージョンの目標
・利益:利益は社会に貢献するための最善の手段であり、企業の力を示す究極の情報源である。
・顧客:顧客に提供する商品の品質、利便性、価値を、つねに改善する努力をする。
・関心分野:新たな成長の機会をつねに探りながら、我が社に対処能力があり、貢献が可能な分野のみに関与する。
・成長:企業の力の現れとして、また存続の必要条件として、成長を重視する。
・従業員:みずから貢献した成功に対して分配を受ける機会など、雇用にともなう機会を従業員に与える。
■組織:一人一人のやる気、自発性、独創性を育てる組織を維持し、定められた目標や目的に向かうときの自由裁量を広く認める。
・市民としての行動:会社を取り巻く地域社会や、そのなかのさまざまな組織に貢献し、よき市民としての義務を果たす。
■賃金と給与水準について昔から言えることがある。給料がいくらだろうと、従業員はあと10パーセントあげて欲しいと思うのだ。
■新製品の設計やエンジニアリング、顧客サービス、新しい設備などへの投資レベルを下げれば、一時的に利益を増やすことはつねに可能だ。しかし長い目で見れば、こういう分野のどこで手を抜いても、あとで大きなつけがまわってくる。
■日本でいい仕事を続けていた笹岡健三という若手の敏腕マネージャーが、ビル・ヒューレットと私に迫った。
「私にYHPの運営をまかせてくれませんか。あなたがたはアメリカ人のマネージャーを送り込んで仕事を監督させていますが、彼とのやりとりに費やされる時間は相当なものです。自分たちでやったほうがうまくいく。私たちは本気でそう思っています。」
■翌年、YHPは過去最速の成長をとげ、製品の品質も格段に向上した。
■HPでは社員の一人ひとり、仕事の一つ一つに価値がある。
 私たちが事業をおこなう先端技術の分野では、ささいなことが良質な製品とそうでない製品の分かれ目になる。
■ビルと私は創立初期から、HPウェイの重要な要素として、年に1度、社員と家族のためにパロアルトでピクニックを開催していた。
 これは大きな行事で、計画や運営はほとんど社員みずからがおこなった。
■支配による管理と目標による管理
・「支配による管理」は、軍隊のように厳しく統制された管理体制のことだ。
・「目標による管理」では、全体の目標が明確に示され、合意されたあと、作業者はみな各自の責任の範囲内でベストと思われる方法で目標に向かい、柔軟に仕事をこなす。
■会社設立から18年間、HPは異例の会社だと思われていた。人事部がなかったからだ。
 それは、ビルと私がマネージャーと部下の関係を重視していたからだ。とりわけマネージャーは部下にとって近づきやすい存在であり、部下の抱える問題や心配事に敏感でいる必要があった。

HPウェイ[増補版]
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