「21世紀の国富論」は、21世紀の日本の国家戦略について考察されている書籍です。
勉強会で紹介されて気になり、買って読んでみたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
この本は、2007年に書かれた本ですので、若干古い本と言えるかもしれませんが、日本企業が忘れがちな日本らしさをもう一度考える上で参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■IT産業をはじめとする先端分野でのアメリカの成功は、国家戦略に基づく政策の結果ではありません。
■モノづくりにあたってR&D部門と生産部門を切り離せば、2つの間のフィードバックループは断たれてしまい、メーカーとしての強みは失われていきます。
■MBA取得者の多くは今、株価という名の「企業価値」を最大化することばかり考えています。
■株主も含めて「企業は株主のもの」とするような考え方がまかり通るのは、短期的に株価が上がることが株主のみならず、実は企業を経営するCEOにとっても好都合だからです。
■インターネットの本質はもともと、このピア・トゥ・ピアなのです。
インターネットが爆発的に受け入れられたのも、そもそもそれが潜在的に人間のコミュニケーションにもっとも近い構造をもっていたからに他なりません。
■PUC(パーベイシブ・ユビキタス・コミュニケーションズ)
そもそもパソコンという使いにくい機械に人間が合わせていくのがこれまでのパソコンを支えていた考え方だとすれば、人間に機械を合わせていくのがPUCといえるでしょう。
■PUCを支える新しい技術
・次世代通信デジタル信号処理プロセッサ
・組み込み型ソフトウェア
・ネットワーク・セキュリティ
・ピア・トゥ・ピア型ネットワーク
・ソフトウェア・スイッチング
・デジタル・ディスプレイ・コントローラ
■役職機関説
管理に長けた人物が社長を務め、技術開発に向いた人が研究開発担当部長を務める
会長、社長、副社長といった肩書きは、必ずしも上下関係を意味するものではありません。
■アメリカのベンチャー企業がもつ平均的な規模
起業の初年度における雇用者数はおよそ16名。
起業から6年目を迎えると200名以上の雇用を確保する。
■リスクキャピタル
複数の事業会社が集まって新基幹産業を目指し設立する基金
各社が研究開発費として計上している資金の一部を毎年提供することによって、おそらく数百億円単位のリスクキャピタルができるでしょう。
21世紀の国富論 原 丈人 平凡社 2007-06-21 by G-Tools |