ソーシャルメディアの効果測定を難しく感じるのは、Facebookのいいね数やツイッターのリツイート数など、目に見える数値にこだわりすぎているからではないだろうか。 #sms2012

 ちょっと間が空いてしまいましたが、先日ご紹介したソーシャルメディアサミット2012の二つ目のセッションをご紹介して起きたいと思います。
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 二つ目のセッションのテーマは「ソーシャルメディアにおける広告的効果測定のあるべき姿」。
 企業のソーシャルメディア活用において、必ずと言って話題になる「効果測定」の議論です。
 ソーシャルメディアの効果測定については、以前ブログに「ソーシャルメディアの効果測定をどう考えるかは、ソーシャルメディアの位置づけ次第で全く変わってしまうと言う話。」という記事を書いたこともありますが、結局、目的を決めてから効果測定の項目を決めないと意味がないというのが個人的な結論です。
 そこで、このセッションではテーマを「広告的効果測定」と定義することにしました。
 広告というのも広い定義になりますが、イメージしているのは「売上をあげるための広告」というイメージです。
 ソーシャルメディア単体で大企業の売上にインパクトを短期的に出すのは難しいということも良く言われますが、当然売上に貢献しなければ広告としては実施する意味がないはず、はたして企業の担当者の方々はソーシャルメディアをどのように活用すれば売上に貢献しそうと考えているのか?がこのセッションのメイントピックです。
 この難しいテーマのセッションのパネリストをお願いしたのはこちらの方々。
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 まず一人目のアディダスの津毛さんは、昨年のadtechでキーノートスピーカーを務めたことでも有名で、複数の方から推薦を頂きました。
 私自身面識がなかったため、adtechのキーノートのプレゼンを聞いた印象だけで、今回のパネリストをダメ元でお願いしてみたというのが実情なのですが、本当にあっさりと快諾して頂きました。
 津毛さんのプレゼンの概要については下記のWeb担の記事も読んで頂ければと思いますが。
アディダスが目指すのは360度365日の対話。ad:tech Tokyo 2011基調講演レポート
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 「360度365日、熱量を生み出すコミュニケーション」というキーワードを提示されており、非常に興味深い内容でした。
 アディダスでは、ソーシャルメディアアカウントを開設する以前から、いわゆるキャンペーン的なソーシャルメディア活用の成功事例を作っていたのですが、「一時的な盛り上がりにとどまり継続的な対話を生み出せないという課題」を感じ、Facebook、Twitter、mixi、グリー、アメブロなど、多数の外部ソーシャルメディアの活用に取り組むことにしたそうです。
 
 特に興味深いのは、これらのソーシャルメディアの運用は基本的に社内のスタッフで行っているらしいという点。
 当然、津毛さんの「デジタルマーケティング シニアマネージャー」という肩書きを見て頂ければ分かるように、津毛さんの部署のメインの仕事はアディダス全体の売上を上げることであり、いわゆる広報的なコミュニケーション自体が目的となっている職種ではありません。一般的には宣伝部やマーケティング部においては、アカウントの運営の手間が負担と感じられるケースが良くあります。
 はたしてアディダスでは、どのようにアカウント運営を位置づけ、全体のマーケティングの効果測定をしているのか、という点は、きっと皆さんの参考になる点があるのではないかと思います。
 
 次に、サントリー酒類の室元さんは、外部のセミナーでも良く講演されているので、プレゼンを聞かれた方も多いかもしれませんが、下記のインタビューに見られるように、サイトの効果測定を非常に緻密に実施されているので有名な方です。
月次→週次に意思決定スパンを劇的改善 ”大企業”サントリー酒類が超速PDCAを回せるワケ
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 サントリーのソーシャルメディア活用というと、昨年のソーシャルメディアサミットに登壇して頂いたサントリーホールディングスの広報をされている坂井さんが有名ですが、今回は広告的効果測定がテーマということで、飲食店の支援を行うことをミッションにされている室元さんに登壇をお願いすることにしました。
 サントリー酒類の室元さんのソーシャルメディア活用は、上述のアディダスさんとはがらっと異なり、自らのソーシャルメディアアカウントの運営を中心とするのではなく、あくまでソーシャルメディアを組み合わせた施策によって、飲食店の支援、ひいては製品の売り上げをアップしようとするものです。
 私自身も初めて室元さんのプレゼンを聞いた時に、AMNのようなソーシャルメディア専業の会社よりもきめ細かいブロガーリレーションや効果測定をされているのにびっくりした記憶がありますが、きっと皆さんにも刺激になる点がある話をして頂けると思っています。
 最後にご紹介するのは、東急ハンズの長谷川さんです。
 東急ハンズというと、何といってもツイッターの軟式アカウントの代表という印象を持たれる方も多いかと思いますが、今回登壇をお願いした長谷川さんは、ITコマース部長という肩書きを見ておわかりのように、ソーシャルメディア担当者ではなくハンズのECやシステム全体を統括されている方です。
東急ハンズの「ヒント・マーケット」実現の鍵はネット戦略! ITで企業改革を推し進める「CIO」の仕事とは?
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 初めて長谷川さんにお会いしたのは、もう3年以上前と記憶してますが、初めてお会いした時はそれこそシステム部の人というイメージだったのが、お会いするたびに仕事の範囲が広がっている人という印象です。
 名前で検索してみてもらえれば分かりますが、ツイッター活用のインタビューからクラウド活用のインタビューまで、実に幅広い分野に見識が広い方です。
 東急ハンズのソーシャルメディア活用を後ろからバックアップしている人でもあり、一方でソーシャルメディアの売上に対する貢献に対しては一歩引いた視点から見ている方で、一般的なマーケティング担当や宣伝部の方とはかなり違ったコメントを頂けるのではないかと個人的にも楽しみにしています。
 当然、パネルディスカッションですから、当日お三方がどういう話をされるのか、議論がどういう方向に展開するのかは私も現時点では分かりませんし、予告することはできないのですが。
 ただ一つ明確にいえるのは、お三方がコミットされているのは売上向上であり、ソーシャルメディアを使うこと、や、ソーシャルメディアでコミュニケーションをすること自体が目的ではないという点です。
 
 ソーシャルメディア活用においては、必ずと言って良いほど「効果測定をどうしたら良いか分からない」という話を聞きます。
 一方で、シンプルに始めやすい効果測定ということで、Twitterにおけるリツイートの件数や、Facebookのいいねの数に一喜一憂している担当者が多い印象もあります。
 ただ、そもそもソーシャルメディアをマーケティングに活用するのであれば、注視するべきは「売上」で、細かい反応の数値は本来はそれに向けての指標の一つに過ぎないはずです。
 私たちは、ついつい簡単に取れる効果測定指標にばかり注目してしまいがちですが、実はそれらに注目しすぎるあまり、本質を見失っている場合も多いのではないでしょうか?
 おそらく当日お三方の話を聞くと、売上アップから逆算して効果測定を考えると、実は案外ソーシャルメディアの効果測定は簡単かもしれない、そんなことを感じて頂けるのではないかな、と期待していたりします。
 ということで、パネリストのお三方に聞きたい質問がある方は、 #sms2012 をつけてツイッターに投稿しておいて頂ければ幸いです。
■ソーシャルメディアサミット2012のお申し込みや詳細の確認は下記のページからお願いします。
ソーシャルメディアサミット2012