実践ソーシャル・メディア・マーケティング (ジム・スターン)を読んで改めて考える、ソーシャルメディア活用における効果測定の容易さと難しさ

4023308889 「実践ソーシャル・メディア・マーケティング」は、タイトル通りソーシャルメディアマーケティングについて考察されている書籍です。
 一年前に買って読んでいたのですが、大変遅ればせながら書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 この本を買ったのは、副題の効果測定の新法則というのに惹かれてというのが一番大きいのですが、正直な印象としては期待していたような効果測定についての詳細の言及はなかったというのが本音です。
 ただ、一年たってあらためて考えてみると、ソーシャルメディア・マーケティングだからといって唯一絶対の効果測定など無いのは当たり前で、目的にあわせて考えなければならないんだろうなというイメージを持てるようになった気がしています。
 個人的に印象に残ったのがこの本の後半で出てくる「部下たちに、タギングや効果測定用のページを作らせるなどの効果測定に向けた仕事をやらせているうちに、その仕事から創造性も失われていった、というのである」というくだり。
 昨日もソーシャルメディアサミットの関係で「ソーシャルメディアの効果測定を難しく感じるのは、Facebookのいいね数やツイッターのリツイート数など、目に見える数値にこだわりすぎているからではないだろうか。」というブログ記事を書きましたが、ソーシャルの活用というのは本来は人間と人間のハイタッチなコミュニケーションの延長であるはずなのに、ネットの特性上取得できるデータばかりにあまりに惑わされると、最も重要なことを見失ってしまうのでは無いだろうか、というのがソーシャルメディアをマーケティングに活用する上で注意しなければいけないポイントなのかもしれません。
 この本は、ソーシャルメディアマーケティングの課題や可能性をあらためて俯瞰的に考えたい方には、参考になる点がある本だと思います。
 もちろん、「グランズウェル」「エンパワード」などを合わせて読むのがお勧めです。
  
【読書メモ】
■インターネットは、生まれたときから常にソーシャルメディアだった。その独自性は初めての多対多のコミュニケーション・チャネルであったことによる。
■ビジネスの三つの目標
・顧客満足度の向上
・売上向上
・コスト低減
■マーケティングのステップ
・顧客の注目を集める
・彼らに好かれること
・彼らを対話に引き込むこと
・彼らに購買を決意させる


■ノードの重要性
・彼らが持つオーディエンス数の大きさ
・彼らの結びつきの強さ
・彼らの発言力
■どんな口コミが、最も売上増大を促すのか?
 結果は、あまり忠誠心がない顧客層(非常に忠誠心があるとは言えない)による口コミであり、また知り合い程度の間(親しい友人間ではなく)で起きた口コミだった。
■影響力のある人の三つのタイプ
・キー・インフルエンサー:特定の分野において特別に大きな影響力を持っている人々
・ソーシャル・インフルエンサー:ごく普通の人だが、コメント好きで、自分の意見を発表したがり、それを多くの人々に読まれたがり、一部の人々から指示されたがる
・ノウン・ピア・インフルエンサー:購買判断と消費者の両方に最も近い人々。たいてい家族かあるいは消費者の身内
■ツイッタライザーの五つの要素
・シグナル/ノイズ比:どれだけ事実を伝えているか(引用先やURLを含んでいる)
・ジェネラシティ:物惜しみしていないか。リツイートの量
・ベロシティ:どれだけつぶやいているか。
・クラウト:他の人が@あなたのドメインを何度記したか
・インフルエンス:
 ・フォロワー数を基準にした、ツイートの相対的なリーチ
 ・リツイートされた数を基準にした、相対的な影響力
 ・リツイートした回数を基準にした、相対的なジェネラシティ
 ・他者に言及された回数を基準にした、相対的なクラウト
 ・過去七日間にアップデートした回数を基準にした、相対的なベロシティ
■情報技術にとってはもとより、人間の読み手にとっても書き手の真意を推し量ることは難しいことがわかる
■競争相手よりもより多くのフォロワーや友達を獲得したからといって、それがキャンペーンやブランドの成功を示唆しているとは限らない。
■称賛を聞く
 市場の気持ちの継続的観察で大切なのは、個々の数値ではなく、推移の変化である。
■会話をコントロールすることなどはできなくても導くことはできるし、会話に影響を及ぼすこともできる。そもそも、それができるからこそ、ユーザーの会話をチェックし、計測する必要があるのである
■ネット・プロモーター・スコアは、当社や当社製品を友人や同僚に薦めてくれますか?という究極の問いを投げかけている
■「グループとして、ほぼ八週間に8000件のツイート問い合わせに対応しています」(ツウェルプフォース)
■KPIのポイント
・数字を率や平均などの形で表す
・円グラフや棒グラフではなく、タコメーターや温度計の形で、行動につながる結果を表示する
・データの一覧表ではなく、一時的な文脈と、変化のハイライトを提供する
・ビジネスに必須の行動を促す
■コミュニティの指標
・成長性=会員数
・実用性=コンテンツ
・人気=トラフィック
・反応度
・参加性=トピックの交流
■部下たちに、タギングや効果測定用のページを作らせるなどの効果測定に向けた仕事をやらせているうちに、その仕事から創造性も失われていった、というのである。
■ソーシャルメディア活用のステップ
・変化を起こすエージェント役を引き受ける
・相手にあったメッセージ発信を
・鼻先のにんじん
・身に迫る実感を
・計画立案
・次を読め

4023308889 実践ソーシャル・メディア・マーケティング 戦略・戦術・効果測定の新法則
ジム・スターン 酒井泰介
朝日新聞出版 2011-02-18

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