グリーさん、モバゲーさん、「ゲーム」という言葉が「ギャンブル」や「麻薬」と同義語にならないように、是非ソーシャルゲームの明るい未来のビジョンを語って下さい。

 今週火曜日のNHKでソーシャルゲームの課題についての特集が放送されていたようです。
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 内容については、下記のページに大筋がまとめられているので、興味がある人は読んでもらえればと思いますが、まぁ要はコンプガチャ問題が収束した後もソーシャルゲームの問題は終わっていないという趣旨の特集です。
ソーシャルゲーム 急成長のかげで – NHK クローズアップ現代
 先月末にもMrサンデーか何かで、似たような特集が組まれていて中国のネットゲーム廃人が刃物振り回したり、軍隊みたいな厚生施設に連れて行かれる様子が生々しく紹介されていましたが。
 まだまだメディアによるこうした「ソーシャルゲームの影」的な特集はしばらく続きそうです。
 こういった報道を見て個人的に悲しくて仕方が無いのは、完全にゲームが、違法なギャンブルや麻薬と同じ社会問題として取り上げられてしまっているということです。
 
 今更改めてカミングアウトすることでもありませんが、私はゲームが三度の飯より大好きです。
 小学生の頃は、友達の家でファミコンをするために友達の家に入り浸っていましたし、中学、高校は将来PCのスキルが大事だからとNECの98を買ってもらったのを良いことに、パソコンでゲームばかりやってました。
 Dungeons & DragonsというテーブルトークRPGも毎週のようにやっていて、親にはゲームばかりするなといつも怒られていました。
  
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 当然大学生の一人暮らしではスーファミに大変お世話になりましたし、下記の記事で告白したように社会人になってからも何度かゲーム廃人になりかけています。
私が思いっきりハマって、人の道を踏み外しそうになってしまったゲームベスト5
 私が生涯の理想としている人は、伊藤穣一さんなんですが、何でかというと伊藤穣一さんがMITメディアラボの所長になるような凄い人だから、だけではなく、一時World of Warcraftというゲームにはまっていて、ゲームのメッセージ機能を使わないと連絡が取れなかったという逸話を目にしたからです。


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 仕事よりゲームの世界がメインになるなんてまさにマトリックスですよ、凄すぎます。マジで憧れます。
 まぁ、最近こそ、流石に仕事が忙しくてそんなにゲームをやれませんが、アメリカ出張の時にはここぞとばかり一睡もせずにiPhoneのゲームをやり続けたり、ソーシャルゲームの勉強と称して怪盗ロワイヤルやドリランドを試してみて、あやうくはまりそうになってしまった自分がいます。
 でも、私自身はそんなゲーム人生が、自分が今の仕事をやる上で役に立っていると本気で信じていますし、思い込んでいます。
 パネルディスカッションのモデレーターにおけるアドリブは、テーブルトークRPGで培った話術が役に立っていると思いますし、海外のオンラインゲームを英語でやったおかげで、今でも外人とチャットを何とかこなすことができます。
 会社で何時間でもパソコンの前で仕事をしていられるのも、ゲームを通じて培った集中力のおかげだと信じてます。
 なので、このブログにも過去にそういった記事を何度も書いてきました。
最近のゲームに改めて感じるエデュテイメントの可能性
 最近はゲーミフィケーションという言葉もありますが、ゲームのようなモチベーションを保つ仕組みを上手く使えば、教育とか単純作業とかいろんなものを楽しくできるはずで、ソーシャルゲームのような一見コアゲーマーからするとクソゲーにしか見えないものに多くの人がはまって何万円もつぎ込んでしまうのは、まさにそのゲームによるモチベーションを維持させる構造をグリーやモバゲーが解き明かしたからに他なりません。
 で、今はあまりにその構造によりグリーやモバゲーが儲かりすぎてしまい、はまりすぎて大金を払ってしまう青少年とかが生まれてしまった結果、ソーシャルゲームの負の構造に完全に焦点があたってしまっているわけで。
 それにより昔から一般の大人(まぁ私自身ももはや立派な大人ですが)から印象の悪かった「ゲーム」という言葉がますます印象が悪くなり、もはや違法なギャンブルや麻薬のような社会問題とほぼ同等にテレビで取り扱われてしまっているというのは、残念としか言いようがありません。
 本来はゲームというのは、何もIT端末でする「TVゲーム」とか「ソーシャルゲーム」だけが「ゲーム」ではなく、トランプとか花札とか、あっち向いてホイとか、鬼ごっことか、私たちの日々を彩っていた人生を楽しくする要素全てが「ゲーム」のはずです。
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 それがIT技術の進化により、遊び以外の地味な作業や辛い行為にも「ゲーム」の要素を組み込むことができるようになっています。
 グリーやモバゲーが今持っているノウハウを使えば、そういった教育のレベルアップだとか、単純すぎてつまらない作業の効率化とか、日本の社会問題も解決できていく可能性があるわけです。
 任天堂DSの脳トレが大ブームになったことがありますが、あのゲームでは漢字の書き取りや基礎的な算数など、これまで誰もが嫌いだったはずの「勉強」を大人も子どもも「ゲーム」として必死でやっていました。
 Wii FitやKinectでは、筋トレやフィットネスのような辛く地味な運動を「ゲーム」に変えて楽しくしてくれます。
 実際、自分達がやっていたゲームでも、勉強では出てこないような記憶力がでてきたりしていた実感があります。
 授業で学んだことなんかほとんど忘れていますが、いまだに三国志のゲームの関羽や張飛の武力が98とか、信長の野望で覚えた戦国時代の地名とか、そういうどうでもいいことに限って良く覚えているものです。
 実際同じNHKのスーパープレゼンテーションで放送されたTEDの「ゲームが世界を救う」というプレゼンでは、石油がない世界を疑似体験するゲームや社会を変える方法を学ぶゲームが紹介されており、世界を変えるゲームを始めようと呼びかけられています。
[1分TED]「ゲームが世界を救う」ジェイン・マクゴニガル

 今グリーやモバゲーがやるべきは、まさにこういう「ゲーム」の可能性やソーシャルゲームのテクノロジーが拓く未来の研究、実践だと思います。
 
 ソーシャルゲームの敵を倒す動作に、年齢にあわせたちょっとした勉強になるクイズを入れるとか、算数の計算をさせるとか、そういうちょっとした工夫によって「ソーシャルゲームにはまっている学生は算数の平均点が10点あがった」とか「ソーシャルゲームでインドの子どもたち同様に二桁の掛け算をできるようになる」とか、そんな実例を生み出すことも可能なはずなんです。
 エンジニアの獲得競争で獲得金の積み上げ競争をするばかりじゃなくて、ソーシャルゲーム自体にプログラミングを学ぶ要素を組み込むことで、利用者に楽しくプログラミングを学んでもらい、将来エンジニアを目指す層自体を増やすことだって可能なはずです。
 実際、既にウェブ上にはゲーム感覚でプログラミングを学べるサービスがいくつもあります。
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 これだけ多くの日本人が通勤電車や自宅で、あれだけソーシャルゲームに時間とお金をつぎ込んでいるわけですから、このエネルギーを使わない手はありません。
 グリーさん、モバゲーさん、ゲーマーの一人として本当にお願いです。
 私の好きな「ゲーム」が、「ギャンブル」や「麻薬」と同じように、テレビの解説者にソーシャルゲームは大問題だ、社会のガンだ、と知ったかぶりで眉をひそめられる社会にしないで下さい。
 日本を代表する産業の一つになるポテンシャルを持つソーシャルゲーム業界が、そんな裏社会扱いされるような未来は悲しすぎます。
 ソーシャルゲーム業界が突き詰めるべきなのは、一般人から広く薄く集金すれば大金が集められるというビジネスモデルだけで無く、日本中の人をそうやって夢中にさせることができるテクノロジーやノウハウを何に活かすのか、何を生み出すのかということだと思います。
 是非「ソーシャルゲーム」によって日本や世界を良くしていくんだ、良くできるんだ。
 ソーシャルゲームによって人々の生活を楽しくしたり、人間として進化させて、日本や日本人を先進国の見本にするんだ。
 そんな気概のあるビジョンを明確に発信して頂くことを、ゲーマーの一人として切に望みます。
※記事中で「ギャンブル」という言葉が適法なものも違法なものも、全て違法なものであるように読める部分がありましたので修正させて頂きました。