フロー体験とグッドビジネス(M.チクセントミハイ)

4790713512 「フロー体験とグッドビジネス」は、「フロー」という概念とビジネスの関係についてチクセントミハイ氏が書いた書籍です。
 かなり前に読んでいたのですが、遅ればせながら書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 フロー体験という概念が、様々なビジネス書に出てくるので読んでみました。
 ビジネスの議論をすると、ついつい表層的な仕組みやビジネスモデルを議論してしまいがちですが、実はこのフロー体験にあるような根源的なチャレンジがあるかどうかが最も重要だということが、再確認できます。
 組織作りやチームの雰囲気作りを悩んでいるリーダーの方々にも参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■これまで私たちは、五分間マネージャーを、そればかりか一分間マネージャーをも育成する方法を学んできた。
 何よりも、企業の頂点に立つ100年間マネージャーが必要なのである
■フローの状態
・目標が明確
・迅速なフィードバック
・機会と能力のバランス
・集中の深化
・重要なのは現在
・コントロールには問題が無い
・時間感覚の変化
・自我の喪失


■もっともよくフローを体験するティーンエイジャーは一般に、より要求が多く、より協力的である家庭から生まれてくる
■資本とは、将来のより大きなリターンを期待して、目先の消費を抑制する事で生まれる資源の事をいう
■ビジネスでリーダーシップを取る地位に出世した人は、自分たちの成長を環境に頼らない
■組織を作るための三つの選択肢
・目標とする職場の状態をできるだけ魅力的にする
・その仕事を意義と価値あるものにする方法を見いだす
・自分の仕事に満足感を持つ人たちを選び、報酬を与える事によって、リーダーは組織の勤労意欲を全体として前向きな方向に舵取りする事ができる
■平均的なワーカーの状態
・今日の仕事には明確な目標がほとんどない
・現代の仕事では適切なフィードバックがめったにされない
・ワーカーのスキルは行動する機会にうまく適合していない
・コントロールが欠けている
・時間の活用はワーカーの外部のリズムによって決められる
■消費者文化は仕事の価値を低下させる事を数多くやってきた
 12歳までに子供は、仕事となづけられたものは何でも嫌なものだと思うようになる
■リーダーとは「将来を見据えた商品アイデアで市場を的確に捉え、魅力ある商品のライフサイクルの成長カーブに乗る事よりも、むしろ根本的に組織をつくり上げることに専念するものである」(ビジョナリーカンパニー)
■「私は社内の誰と会議をしようとも、さあ、この会議の目的は何ですか。一時間で五人の人間の時間、会社の時間の五時間も浪費する恐れがあります。私たちがなぜここにいるのかをはっきりさせましょう。」(デボラ・ベセマー)
■「私にとってもっとも重要な物事は何か。私がもっとも敬服する人は誰か。私が絶対になりたくない人はどんな人か。いかなる環境においても私が妥協しない価値観とは何か」
■「もし、彼らの価値観に無私の気高い特質がなく、大学や企業やその他どこでも属する場所への帰属意識を持って、「この組織を築き上げる役に立ちたい」と言うことができないのなら、彼らは失敗する運命にあります。お金という観点で自分の価値観を表現する事は、たぶん失敗ですよ」(J・アーウィン・ミラー)
■グッドビジネスの原則
・自己を超えたビジョン
・組織における信頼の重要性
・人間を助ける商品

4790713512 フロー体験とグッドビジネス―仕事と生きがい
M. チクセントミハイ Mihaly Csikszentmihalyi
世界思想社 2008-08

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