モトローラのSkype搭載で携帯電話業界も三途の川を渡る?

モトローラ、Skypeを搭載したWi-Fi携帯電話機を開発中 – CNET Japanを読んで。

 P2P電話のSkypeが携帯電話端末への導入を狙っているのは周知の事実でしたが、さすがにモトローラが対応と言うのはインパクトが大きいですね。

 携帯電話事業者からすると、携帯電話のIP電話化は一度わたってしまったら戻れない三途の川。
 現在の日本の固定電話市場のように、電話料金市場が急速に無料化への道を進むのは明白で、できることなら渡る日をできる限り先延ばししたいと言うのが本音でしょう。

 しかもその手段が携帯電話事業者独自のソフトではなく、Skypeというのは最悪に近い事態でしょう。
 NTTドコモやauのような携帯電話事業者が端末をある程度コントロールできている日本市場では発生しにくい事態ですが、端末メーカーの方が市場をリードしている海外市場ならではですね。
 想像していたよりもはるかに展開が早かったです。

 ちなみに、一歩引いて眺めて見るとモトローラが今回の決断をしたのも、ある程度理由が想像できなくはありません。
 まず世界3位という地位は、しょせん3位にしか過ぎないと言うこと。世界の携帯電話端末のトップはなんと言ってもNokiaですし、現在急成長をしているのが2位の韓国サムソンです。
 実はモトローラは丁度この12月に発表された統計で、サムソンに抜かれて3位に転落したところでした。

 このままだとノキアに肉薄するどころかサムソンにも水をあけられるのは明白で、何か新しいことをやらなければいけない、という危機意識が芽生えるには丁度良いタイミングだったともいえます。

 そして、もう一つ注目したいのは現在のモトローラのCEOがサンマイクロシステムズのCOOだったEd Zanderだということ。

 2004年12月にコンピュータ業界のプロがモトローラのCEOに就任して、一年が経過したところですから、新しいことを仕掛けるには丁度良いタイミングで丁度良いSkypeというアプリケーションが登場したと言うこともできるでしょう。

 そういう意味では、今回のモトローラのSkype搭載は来るべくして来たというほうが正しいのかもしれませんね。
 Nokiaやサムソンの対抗策、日本メーカーの今後の動きにも注目したいです。

 個人的には、CNETの記事にかかれている「各携帯電話会社がVoIPを利用して、ローカルの固定電話会社から顧客を奪う可能性もある」というのは十分起こりうるシナリオだと考えています。
 さぁ、いよいよ固定電話と携帯電話入り乱れての仁義無き戦いが始まるのか、それとも日本はしばらく蚊帳の外で進むのでしょうか?

はてなブックマークに見るソーシャルブックマークの今後

ブックマークからユーザー同士をつなぐ「はてなブックマーク」ベータ版を読んで。

 はてなブックマークが開始されてもうすぐ一週間になろうとしていますが、かなりいろいろな反響を呼んでいるようですね。

 vanillachipsによると、国内初と発表しているものの実は先行サービスがあった、というお手つきはあったようですが、Googleで「はてなブックマーク」で検索すると、すでに4万件を超えているからたいしたものです。

 梅田さんのブログでも、「知的生産のための道具」や「ブックマークによるコミュニケーション」への可能性について考察されており、はてなブックマークがきっかけで日本でも更にソーシャルブックマークの普及が進みそうな感じを受けます。

 ソーシャルブックマークとして見た場合のはてなブックマークの最大の特徴は、やはりdel.icio.usやSpurlは自分でタグの言葉を登録するのに対して、はてなブックマークは自動でタグ付けをすると言う点でしょうか。

 この点に関しては、Text Oceanでは「はてなブックマークはフォルクソノミーに非ず」と書かれているなど、かなり物議を読んでいる点もあるようです。

 
 まぁ、βが開始されたばかりですし、今後どうなるのかはわかりませんが、個人的には自動タグ付けは案外ありかなぁと思っています。

 もちろん自分自身は整理好きなので、Spurlのように個別にカテゴリやタグを設定できるサービスが大好きなのですが、全部自分で決めるのは結構大変だったりもします。
 過去にどういうタグで自分が整理しているのか認識しないといけませんし、例えばBlogかBlogかブログかで違うタグになってしまいます。

 そういう意味では、まずソーシャルブックマークの第一歩の機能としては、自動タグというのは有りかなぁと思ってしまうわけで、はてなキーワードという財産を生かしたアプローチは上手いなぁとも感じます。

 もちろん、こだわりの強い利用者向けに、今後カテゴリ分けができる機能が必要にはなると思いますが、その辺は利用者の声を吸い上げるのが上手いので定評があるはてな。
 これからの機能追加に注目したいところです。

 最後に、はてなブックマークの注目のエントリー経由ではてなの近藤さん、伊藤さん、川崎さんのインタビューを見つけましたのでご紹介しておきます。
 情報をすべてさらけだしてユーザーと対話する (HotWired)
 

GoogleとWikipediaが連携すれば便利になるか

グーグル、Wikipediaに支援を申し入れ–無償ホスティングを提案 – CNET Japanを読んで。

 GoogleがWikimediaに支援を提案しているようです。

 Wikimediaといえば、Wikipediaという利用者自身が制作に参加しているオンライン百科事典が有名ですが、非営利団体で運営は寄付を基本にしているそうで最近は接続の遅さも指摘されていました。
 そこで、Googleがサーバーを無償でホスティングするという提案をしているそうです。

 実は個人的には、どうしても誰でも編集できると言う感覚が分からず、いまだにWikiの本質を理解できていなかったりするのですが、もし今回のGoogleの支援提案がGoogleの検索エンジンとWikipediaとの連携を含んでいるのであれば興味深いものがあります。

 もちろん、現在のところは、Wikimediaも「Googleといかなる関係が築かれようとも、それによって同グループのサイトに広告が表示されることはない」と発言しているそうですから憶測に過ぎませんが、単なる支援であれば「寄付」をすれば良いわけで、Wikimediaが「提案を検討中」というからには、何らかの連携が議論されているように想像してしまいますね。

 GoogleとWikipediaの連携のパターンとしては、シンプルにはGoogleの検索結果のトップあたりにWikipediaの単語リンクを表示させると言う手が考えられるでしょう。

 昨年開催されたゴッゴルコンテストでも明らかになったように、ロボット型の検索エンジンは、適切にSEO手法を駆使すればランキングを上げることができます。つまり極端なことを言ってしまうと、実際のページの有用性や重要度には関係なく順位を上げることが「可能」なわけです。
 
 インターネット上の情報量が増えれば増えるほど、検索と言う手段はますます玄人にしか利用できなくなってしまうわけで、一般的に検索する人が多いであろう「単語の意味」を、Wikipediaの内容を優先して表示させると言う手は有りな気はします。
 
 もちろん、利用者が勝手に編集できてしまうWikipediaの内容をどこまで信じれば良いのかという問題は残りますから、微妙な感じはしますが。

 ちなみに、日本で類似のサービスと呼べるのは、はてなダイアリーのキーワードだと思いますが、こちらはキーワードを元に、Google Adsenseで関連する広告を表示しているのをはじめ、Amazonの関連書籍へのアフィリエイトや、楽天の関連商品へのリンクなど、効果的に広告を表示して収益を上げているように聞いています。
 Wikipediaもそれぐらいやっても問題ないような気もするのですが、あくまで広告を拒否するのは中立性の維持のためなのでしょうか?非営利団体の性格上なのでしょうか?
 
 ちなみに、以前CNETに共同創設者Jimmy Walesのインタビューが掲載されていましたのでリンクしておきます。
 「ニュースをオープンソース化せよ–Wikiの挑戦

 こういうある種のボランティアパワーが今後のインターネットの中心を担うようになるのか、それともやっぱりマネーの論理が中心でありつづけるのか、非常に興味深いです。

Flickrとdel.icio.usに始まるフォークソノミー

Wired News – ネット世界をタグで分類する「フォークソノミー」 – : Hotwiredを読んで。

 最近、フォークソノミーとかソーシャルタギングという言葉を聞くことが増えてきたように思います。
 
 「フォークソノミー」(folksonomy)とはfolks(人々)とtaxonomy(分類法)を合わせた造語だそうで、まぁなんとも分かりづらい言葉なんですが、この対象となっているサービスが実に面白いです。

 その代表的なサービスが写真共有サイトのFlickr(フリッカー)とソーシャルブックマークのdel.icio.us(デリシャス)。
 自分の登録した写真やブックマークをもとに、タグやキーワードをキーに、他の利用者とつながっていくサービスです。

 
 こうやって書くと、mixiやGREEのようなSNSみたいな感じを受けるかもしれませんが、フォークソノミー系のサービスの特徴は、まずは自分のために写真管理やブックマーク管理をするためのサービスであること。
 SNSのように他人とつながるのが目的のサービスとは少し趣が異なります。

 この辺りの詳細はgoodpicの「自分の便利が、皆の知識に。Folksonomy系ツールのソーシャル効果」に丁寧に解説されています。
 なんといっても興味深いのは「個人の情報発信を助ける便利なツールが、将来的にはネットワーク全体の価値を増大させる、ということが明確になってきた」という点ですね。

 ちなみに、個人的にはSpurlというソーシャルブックマークにはまっているのですが、Spurlを教えてくれたText Oceanの「ちまたで祭りの「Folksonomy」ってなんだ?」という記事では、カテゴリ構造に対するタグの特徴がわかりやすく図解されています。
 このタグと言う概念は、慣れるまではちょっとややこしいかもしれませんが、これが実に便利。ブックマークが山盛りになってしまっていた自分としてはとりあえず参考になった記事をメモしておくのに非常に重宝しています。

 ブログにしてもネットにしてもSNSにしても、最近の私たちの興味の対象って、綺麗にカテゴリ分けできる世界じゃないんですよねぇ。
 と、同じようなことで悩んでいる人は、まぁ、是非一度試して見てください。 

イー・アクセスはHSDPA、鷹山はWiMAXで携帯参入

イー・アクセス、下り最大14.4MbpsのHSDPA方式で携帯電話参入へ – CNET Japanを読んで。

 携帯電話事業への参入表明が激しいですね。

 イー・アクセスは第3.5世代と呼ばれるHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)方式で通信速度が下り最大14.4Mbps。
 実地試験の開始を発表した鷹山は、無線ブロードバンド通信規格であるWiMAX(IEEE 802.16-2004)方式で通信速度は20~75Mbpsだそうです。

 ソフトバンクBBへの800MHz帯割り当てが見送りと報道された後に、次々と表明されるあたりが、一応タイミングを見計らっていたということでしょうか。

 ソフトバンクにしろ、イー・アクセスや鷹山にしろ目指すのは2006年に予定されている番号ポータビリティ制度導入のタイミングでの顧客シェア移動のシェア確保でしょうが。
 さぁ、はたしてどれだけ彼らには勝算があるのでしょうか?

 当然、既存の携帯電話事業者も、それまでにお財布ケータイやゲーム機能などの端末の付加価値で利用者を囲い込もうと必死です。(このままだとボーダフォンの利用者が草刈場になるという説もありますが)

 イーアクセスにしても鷹山にしても売りにしているのは、データ通信の定額制と高速性。さらに鷹山はBBフォン等と同様、自社ユーザー間の通話は無料にする模様です。

 個人的には、いわゆるモバイルでの高速通信を必要とする利用者がまだそれほどいないことと、当初は利用エリアが限定されるだろう事から、これだけのメリットではインパクトが弱い気もします。
 定額制と言う意味では旧DDIポケットであるウィルコムが実は一番有力だと言う人もいますね。

 はたして新規参入事業者は、ISDN時代に参入したADSL事業者と同じ成功ストーリーを、移動通信においても再現できるのか。

 それとも、一般電話のマイライン導入時の顧客獲得合戦のように、お互いに疲弊するだけでほとんどシェアが変わらないと言う状態になるのでしょうか?

ニッポン放送買収劇で考えるライブドアという会社

ライブドア、放送業界へ命をかけて進出–ニッポン放送株35%取得 – CNET Japanを読んで。

 ライブドアの事業展開には良く驚かされますが、さすがに今回のインパクトは桁が違いますね。 

 以前からパブリックジャーナリストの募集などをしてメディア参入を公言しているライブドアが大手ラジオメディアを買収すると言うだけでも話題性があるのに、ニッポン放送はフジテレビの筆頭株主というおまけつき。

 さらに、R30::マーケティング社会時評では本当の目的は産経新聞ではないかという推測がされてますし、isologueにおいては今回の株取得は違法の可能性があるのではないかと言う議論があったりもします。

 さらにニッポン放送の下には横浜が、フジテレビの下にはヤクルトがぶら下がっていて、球団買収のためでは?という憶測をする人までいるようです。

 報道ステーションでも、しきりと堀江社長は「勝負に出た」ことを強調していましたが、フジテレビの反撃もあるでしょうし、今回の買収劇もポーズだと言う見方もあるようですから、今回のニッポン放送株取得劇はまだまだニ幕三幕がありそうな雰囲気です。

 それにしても、つくづく堀江さんという人は投資家だなぁという感じがしますね。
 ブログだ、スカイプだ、オンライン銀行だ、ネットラジオだと、事業を次々に拡大している様子は、経営者が事業を多角化しているそれというよりは、投資家がポートフォリオを増やしているような錯覚を受けてしまいます。 
 
 はたして、今後本当にこのポートフォリオは相乗効果をもたらすのか?
 それとも、やはりポートフォリオはあくまでポートフォリオのままなのでしょうか?

 ちなみに、今回の記者会見については、当然ライブドアニュースのトップでも紹介されていましたし、ライブドアコンピュータで詳細のQ&Aを見ることもできます。

 そういう意味では一番ライブドアに相乗効果をもたらしているのはやっぱり堀江さん自身なんですかね。