[P2P]ネットワーク全体の50%以上がP2Pによるトラフィック を読んで

ネットワーク全体の50%以上がP2Pによるトラフィックを読んで。

 ここまで具体的なトラフィックの割合が出てくるのは初めてのような気もするので改めてみてみたい。


 Winnyというソフトの罪なところは、必要の無いファイルのコピーまで行っていることにより、P2Pアプリの悪いイメージをもう一つ増やしてしまったことだ。
 それがP2Pはトラフィックが大きいというイメージだ。

 WinMXのような欲しいファイルのみを相手からもらう仕組みであれば、こんなインターネットのトラフィックの半分以上を不正ファイル交換ソフトのトラフィックが閉めているという状況にはならなかったと思われるが・・・
 まぁそれにしても凄いトラフィックだ。
 
 
 個人的に気になったのは「トラフィック全体の84%がデータ転送量の多いユーザー上位20%によって使用されているという結果となっている」という点だ。
 やはり2:8(ニッパチ)の法則はここでも効くのだろうか。でも、もしそうならこれは普通の状態だということか?

 ただ、冷静にそうやって考えると、一部のアプリによってネットワークの半分以上が利用されているという状況自体は、別にそう特異ではないのかもしれない。

 例えば、動画配信ビジネスがブームに乗ったと想像しよう。動画配信のトラフィックに比べれば現在のメールやインターネット閲覧、IP電話のトラフィックなどはゴミみたいなものだ。
 そうすると、動画配信の利用が全体のトラフィックの半分以上を占めているという状態になるのではないだろうか。

 
 もちろん、別の記事にあるような「インターネット利用者の3分の2がその存在を知らず」、「実際に使っているのは更にその15%」というようなアプリケーションが全体のトラフィックの半分以上を占めるという状況は普通ではない。

 ただ、もし動画配信ビジネスが本格的に軌道に乗ってしまったら、結局現在のP2Pアプリと同様のトラフィック問題にISPは悩まされることになるのだろう。
 まさか、その際にISPも動画配信が問題だと発言するわけにも行かないだろうし。

 いや、ひょっとして今動画配信サービスが普及しないのはISP自信が普及して欲しくないと思っているからとか・・・・そんなわけないか。

[通信業界]DDIポケットの明日はどこにあるのか を読んで

DDIポケットの明日はどこにあるのか – CNET Japanを読んで。 

 いつものことだが、森さんの分析は深い。


 正直、今回のDDIポケットの買収劇の裏にここまで深い洞察を走らせることができるとは思いもよらなかった。もっとシンプルな話だと思ってしまっていたからだ。

 ただ、個人的には、PHS事業についてはかなり斜めに捉えてしまう。
 どうしても、日本におけるPHS事業というのが、そもそもボタンの掛け違いから始まったという認識が抜けないからだ。

 私が某通信会社に就職活動をしていたとき、PHSは新しい移動通信サービスとして密かに脚光を浴びていた。
 ただ、それは新しい携帯電話としてではなく、外に持ち出せるコードレス電話としてだったはずだ。

 当時の私はそのPHSのインフォマーシャルに胸をときめかせたものだ。家では家のコードレス電話として使え、それをそのまま外に持って出ると携帯電話になる。
 電話料金も効率的だし、なんと素晴らしいことではないか!

 ただ、結果的には通信競争政策のあおりもくらい、PHSサービスは「安い」携帯電話としてスタートせざるを得なくなった。
 最終的にはNTTグループのPHS通信会社であるNTTパーソナル通信は、DDIポケットとの競争に敗れNTTドコモに吸収合併されることになる。
 
 今、その競争に勝ったはずのDDIポケットがKDDIグループから見捨てられ(?)、独自路線を歩む羽目になるとは、実にこの世界も複雑だ。

 通信産業の海外進出、特に日本の通信会社の海外展開が上手くいったのを聞いたことが無いので、DDIポケットの海外展開には個人的には更に懸念がある。

 ただ、確かにデータ通信の世界でPHSが果たしてきた役割は小さくない。
 32~128Kbpsという今でこそ低速回線ながら、常時接続定額制は数多くのモバイラーの活動を支えており、日本のようなビジネスエリアが密集している国においては今後とも有効な通信手段となりうる余地はある。

 そもそも、最近はPHSはすっかり目立たなくなってしまったが、逆にいうと地道に普及しているということもできる。
 先日、公衆無線LANサービスが、なぜ海外に比較して日本でなかなか普及しないかという議論をしていたが、やはりPHSの影響は大きいという結論になった。
 つまり、逆にPHSのような定額制のモバイル通信手段をもたない国だからこそ、公衆無線LANが人気を得るということだ。

 そういう意味ではPHSが進化すれば、また別のモバイルの姿も生まれるかもしれない。
 

 ただ、どうしても個人的にはPHSサービスをどうしても斜めに見てしまう。
 おまけに買収元に名を連ねているのが、投資会社のカーライルというのもどうも気になる。結局日本テレコムのときのように売り先の候補が頭にあるんじゃないだろうか・・・

[P2P]「GoogleしかGmailを提供できない」なんて誰が決めた を読んで

「GoogleしかGmailを提供できない」なんて誰が決めたを読んで。 

 横田さんがGmailについて興味深い記事を書いている。


 実はようやっと最近私もGmailのアカウントを入手した(IT関係の知り合いではなく、コンサル時代の知り合いからもらったのも意外だった)ので、その感想とあわせてこの記事を考えてみたい。

 正直なところ、前評判があまりに高かったので、凄いものを想像していたため、意外に使ってみたら「ああ、こんな感じね」というのが素直な感想だ。
 良いところもあれば悪いところもある。
 いくらGoogleがやるサービスとはいえ、神様ではないんだからいきなり完璧なサービスが出てくるはずもない。

 ただGmailの功績は「メールはこのままで良いのか?」という問いかけを私たちに対して改めてしたことだろう。
 1GBのストレージを用意すること自体は本質ではない。ライブドアが追随したようにその気になればどこの会社でもできることだ(儲かるかどうかは別として)

 Gmailは私たちのこれまでのメールの常識を揺さぶってくれた。

常識1:送信箱と受信箱
 電子メールは既存の世界の郵便と同じだから送信したものと受信したものは別。これがこれまでの常識だった。送信したものは記録は取ってはあるものの受信箱とは全く別の送信箱に入れてしまっていたのがこれまでのメール。
 これまで、この問題を解決するために自分が送付するメールのccに自分のアドレスを入れていた人も多いことだろう。 
 それがGmailでは、送信メールと受信メールがまとまってスレッドになっており、感覚としては掲示板やチャットに近い。
 ふれてみてしまえば実に簡単な話だが、それがコロンブスの卵だ。

常識2:整理して保管ではなく検索に頼る
 メールは消さずに取っておいて後から検索するものというのも面白いメッセージだ。
 たしかに私の周りにもメールが整理できない人、というのは多い。全部受信箱にメールを残してしまうので、後から探せない人たちだ。そういう人には良いソリューションになると思う。
(ただ、私のような自分のルールでメールを整理したい人間からするとGmailの検索しろといわんばかりの仕組みはちょっと納得できない。)

 
 ただ、横田さんが指摘しているようにGmailも万能ではない。
 新着メールの通知が無いのが最たるものだ。メール大好きな私にはこれは致命的だ。(今はGmailと普通のメールの両方にメールを転送して、Gmailから返事を書くという面倒な手順を踏んでいる(笑))
 モバイルでPCを持ち運んでいる人も、電波が入らないところでメールが見られないのにストレスを感じるだろう。
 1GBという容量も、添付ファイルをバリバリやり取りする人からすると実は物足りない。

 そういう意味では、いくつかの視点は非常に面白いものの、所詮ウェブメールの延長にしか過ぎないという言い方もできるだろう。
 ただ、ウェブメールとして割り切ってしまえば非常に強力だ。
 
 「先日、吉澤さんとの議論の中で出た事なのだが「ローカル環境でのメール処理は、メールを好きな場所で処理できない」という問題点がある。」
 と横田さんが書かれているように、P2Pやリッチクライアントの仕組みだと、どうしても端末に依存してしまうため、どのパソコンからでもアクセスできるというわけにはいかない。
 
 先ほどあげたGmailの弱点にしても、新着通知ソフトや、データのローカル同期ソフトのようなものが出てくれば解決される話だ。
 
 まぁ、集中側と分散側の議論はこれからも永遠に続いていくのだろう。

 
 それにしても、やはりGoogleの凄い点は、この議論を引き起こしたことにあると思う。
 検索エンジンとしてGoogleが出てきたときも、ポータルの付加価値として扱われていた検索機能を前面に押し出し、最終的に新たな広告モデルを生み出してしまった。
 今回のGmailもそうだ。
 Gmailが出てくるまで、私たちはどれほどメールソフトについて考えてきただろうか?
 こんなにやれることがいろいろあったのに。
 

 ただ、逆もまた然り。
 Googleが凄いから、Gmailが凄いからといって、私たちがここで思考停止するのは明らかに間違っている。
 まだメールソフトの新たな可能性の扉の一つが開かれただけに過ぎないんだと思う。

 横田さんのいうようにGmailのような新たなソリューションを提供できるのはGoogleだけではないはずだ。
 最近、多くの人が電子メール関連のビジネスモデルを語るようになったのは一つの流れだろう。自分も一生懸命考えなければ・・・

[IP電話]NTT Com、法人向けIP電話で番号ポータビリティサービスを開始 を読んで

NTT Com、法人向けIP電話で番号ポータビリティサービスを開始を読んで。 

 う~~ん、最近のIP電話関連のサービスは、本当に言葉が複雑でよく分からない。


 そもそもこんなつまらないニュース取り上げなければ良いじゃないかという声も聞こえてきそうだが、クリップしてしまって悔しいので書くことにする。

 最初タイトルだけを読んだときは、「お、日本もいよいよ米国みたいに番号を携帯とかにそのまま移行できるサービスが始まるのか?」とか思ってしまったが、どうも違うようだ。
(まぁそんなの冷静に考えたら規制も変わってないのに一社が急に始められるわけないんだけれど)

 要は、今使っている電話番号そのままでIP電話の世界に移行できますよ。ということだ。
 でもそのためには1番号あたり月額525円払ってください、と。

 でも、IP電話に移行するのってコストダウンが主目的のはずなのに追加料金払うのか・・・?
 結局、既存の電話をIP電話に変更した際に、月額525円を払う以上のコストメリットが出る企業が導入するということだろうか?

 なんだかIP電話の登場によって、電話サービスまわりのコストダウンはますます魑魅魍魎の世界になってきている気がする。企業の総務担当の人はさぞかし混乱していることだろう。
 昔は電話料金表を見比べればほとんど話は終わっていたはずなのに・・・

 ん?ちょっと待てよ。
 なんだかこれってどっかの業界に似てきてるな。

 生命保険とか。
 税金の確定申告とか。
 年金問題とか。

 なんだか話をややこしくして、人手を介さないと問題解決できないように業界を持っていくのって、よくある話のような気がしてしまう。
 (アクセス回線事業をやれないNTT Comの難しいところでもあるのだとは思うが)

 
 でも振り返ると、一方ではソフトバンクも着々と光ファイバ回線を利用した法人向けIP電話サービスなど、企業向けサービスの準備を続けていたりする。

 そういえば、ソフトバンクがIP電話サービスを始めたときには、IP電話サービスは月額追加料金とか追加で機器購入とかが常識だった。
 そこにソフトバンクは普通の電話がそのまま使えて、利用者間は無料で全国一律という、非常に分かりやすいサービスで参入したように記憶している。

 う~~ん、企業の総務担当さんも、ソフトバンクが企業向けに分かりやすいサービスを出したら、魅力を感じてしまうんじゃないだろうか。

 それとも、自分が通信業界を離れて久しいから知識がついていけてないだけなのかなぁ・・・

[SNS]paperboy&co.、ソーシャルネットワーク「キヌガサ」のテストを開始 を読んで

paperboy&co.、ソーシャルネットワーク「キヌガサ」のテストを開始を読んで

 よくみたら、なんとINTERNET Watchの記事一覧のトップを飾っている。


 おまけに山岸さんのブログでもutahblogでも取り上げられている。

 これはやはり一大事なのだろうか。
 それとも以前Greeの田中さんがブログに書いていたように過熱気味なのだろうか。

 このpaperboy&coは、実は個人的にも大注目の会社だ。
 自分がpaperboyのブログサービスであるJUGEMを利用させてもらってるのもあるし、この会社のノリが面白いのもあるが。
 何と言っても彼らのビジネスセンスが気になる。

 paperboyの主力事業はレンタルサーバーだ。
 そこのあなた、「レンタルサーバー」ですよ。
 そこら中の会社が5年以上前に一斉に手を出して、過当競争が進み、それこそもう参入しても誰も儲からないだろうと思われていたサービスですよ。
 それに、paperboyはなんと2003年1月に起業してから参入して・・・
 なんと既に利用者10万人を超えているのだ。利用料一人年3000円でも年商3億。凄いの一言だ。
 
 おまけにブログのJUGEMも後発。業界全体がブログブームに沸いて、もう誰も儲かんないだろうと言われていたのに参入。
 それがいまやNiftyのココログもlivedoorも抜いて、トップのはてなに迫らんとする勢いで伸びている。
 
 これはもうビジネスセンスとしか言いようがない。
 インターネットがテクノロジーでなくライフスタイルとして根付いている世代の台頭だと個人的には思っている。
 まぁその話はまた今度取り上げるとして。

 さて、このキヌガサはどうだろう。
 私も実は既に鉄人登録を済ませてあるのだが、今のところ正直Greeの方が分がありそうだ。

 あまりサービスにも違いが感じられないし、既にGreeを主戦場にしている人間からすると、今から全ての友達をキヌガサに招待しなおすのはただでも気が進まない。
 レンタルサーバーやBlogと異なりSNSでは移動コストの壁があることは、さすがのpaperboyでもきついかもしれない。 

 ただ、実はSNSの可能性はこんなもんではないとも、思っている。
 トップのGreeでも登録者数は5万人でしかない。
 あと1億人以上がまだフリーなわけだ。

 別にテクノロジーサイドのコミュニティはGreeとしても、女性向け(mixiがライバルか?)、海外込み(Orkutがライバルか?)などアプローチはいくらでもある。
 ちょっと今の鉄人アプローチに疑問はあるが、出会い系的な要素を入れるには女性は不可欠だし、女性をターゲットにするのはpaperboyは得意だろう。

 さてさて、彼らが今後どうやってこのキヌガサを広げていくのか、やはり個人的には注目せざるを得ないのだった。

[IM]今のはIMか電子メールか、コミュニケーションツールの相互運用が進む を読んで

今のはIMか電子メールか、コミュニケーションツールの相互運用が進むを読んで。

 実はこの記事はかなり前の記事だ。
 興味を惹かれたものの、いまだ自分の中で消化しきれていない。


「全てのメッセージングメディアは等しく重要で、理にかなう部分においては相互運用性が必要」
 というメッセージには賛成だ。

 ただ、それがどのような姿になれば最も便利なのか正直まとまりがつかない。

 私がP2Pを知らない人に説明するときに良く例えとして出すのが、郵便と電話の例えだ。
 電子メールは郵便、IMは電話(正確には電信かな)として例えている。サーバー型の電子メールは郵便箱に届くから相手が読んだか分からないけど、P2P型のIMは電話だから直接相手に届くし、相手がいるかどうかもすぐ分かる、とか例えている。

 でも、デジタルの世界では実はこれはウソだ。
 技術的にいろいろとオプションをつけてやれば、電子メールもIMや電話的に機能させることができるだろうし、IMも実は世の中の大半のものはP2Pではなくサーバー型だ。

 まぁ細かい技術的な話は利用者には関係ないので、ウソがあっても伝われば良いやと開き直ってしまっている。
 まぁ、それは良いとして。

 テキストベースのコミュニケーションという意味では、IMも電子メールも本質的には実はそれほど変わらないサービスだ。
 もちろん現在の電子メールではIMほどチャット的な会話は難しいし、IMでは電子メールのように過去のテキストメッセージを整理して保存できない。

 ただ、これは機能が無いだけの話であって、つけてしまえば同じになる。
 個人的にはIMと電子メールの最大の違いはプレゼンス機能(相手がいるかどうかわかる機能)だと思っているが、それすら電子メールにつけてしまえば同じになる。

 要は何が言いたいかというと、技術的な面というのは利用者からするとどうでも良いという話だ。

 その理論でいくと、全てのメッセージが統合する世界というのは意味がある気がする。
 ただ、どうしても腹に落ちない。

 今は、その手段を相手が使ってきたということ自体がメッセージを発していないだろうか?

 個人的なイメージで言うと、コミュニケーションをするたびにIMでするか、電子メールにするか、電話にするかというのは利用者が目的に応じて選ぶものだと思う。
 
 急ぎでないメッセージは電子メール、もしくはボイスメールで。
 急ぎのメッセージは電話、もしくはとりあえずIMで「今ちょっといい?」ぐらいから始まって話が込み入ってきたら電話に切り替える、とか。

 でも、この記事のように相互運用が進んだら、受け取る側の人はどうやってそのメッセージの重要度を判断すれば良いのだろう?
 ノートパソコンを開いたときに、同じインターフェースでアラートが表示されたとする。
 それがスパムメールなのか、急ぎの電話の留守電なのか、遊びのIMなのか。
 PCが自動的に優先度の高いものから教えてくれるのだろうか?

 もちろんそれすらインターフェースの問題なのだが、なんだか相互運用は便利なようで、えらく混乱するような気がしてしまう。

 まぁ、こうやって混乱している時点で、既に古い世の中の人間なのかなぁ。
 やっぱり、どうも音声メッセージがテキストメッセージと一緒になっている未来を、信じられない自分がいるのだ。

 以前ユニファイドメッセージのシステムの会社さんと話をしたときには感動したんですけどね。
 使ってみないとだめかなぁ、やっぱ。