下流社会 (三浦 展)

下流社会 新たな階層集団の出現 「フラット化する世界」を読んだのもあり、ちょっと気になったので下流社会を読んでみました。
 正直、下流社会というネーミング自体、煽っている感じがあって好きではなかったのですが、フラット化する世界を読んで、世界のフラット化が日本の格差社会を生んでいるという現実に改めて気づかされたこともあり、本書の主張には納得できる部分が多々ありました。
 特に、希望格差が縮小する世代と拡大する世代というのには妙に納得。
 個人的には、世代論はあまり好きではないのですが、確かにこれだけ環境が違えば、世代を覆う空気がこれだけ違うのにも納得です。
 まぁ、どっちにしろ個人としては、いまさら選択の余地は無いわけで、下流社会に描かれた現状は現実として受け止めつつ、自分は今をどう生きるかを考えるしかないのかなと思いますが。


 書籍としてはちょっとデータの解説が多すぎて読みにくい嫌いもあるのですが、興味深い視点を提示してくれる本だと思います。
 ちなみに、私は1972年生れの団塊ジュニア世代ど真ん中なわけですが、著者の三浦さんが主張する「下」の三種の神器及び5Pのパソコン、ページャー(携帯電話)、プレイステーション、ペットボトル、ポテトチップスの全てが大好きな典型的な団塊ジュニアの模様です。
 でも、これって僕らより下の世代も同じじゃないのかな・・・違うんですかね?
【読書メモ】
■「中流化」から「下流化」へ
階級社会:わずかな「上」とたくさんの「下」(1950年代まで)
中流社会:新中間層という「中」の人が増えた(50年代後半~)
下流社会:「中」が減って「下流化」している(「下層」ではない)
■世代用語の解説
・団塊世代:1945年~52年生まれあたり、1000万人以上
・団塊ジュニア世代:1970年~74年生まれあたり、第二次ベビーブームで毎年200万人
・真性団塊ジュニア世代:1975年~79年生まれあたり、50%以上が団塊世代の子供
・新人類世代:1960年~68年生まれあたり、高度経済成長期に生れた世代
・昭和ヒトケタ世代:1926年~34年生まれあたり、高度経済成長を支えてきた世代
■あとは悪くなるだけという不安
・現在の40歳以上の世代:少年期は貧しく、加齢するにつれて生活水準が向上。
 →仕事が大変でも耐えることができた。(アメとムチがうまく機能した)
・現在の30歳前後の世代:少年期が豊かすぎ、社会に出てからは自由に使える金と時間が減少。将来の消費生活の向上が確信できない
 →階層意識が一気に低下
■希望格差
高度成長期:希望格差が縮小する時代
・低い階層の人ほど希望と可能性を持ち、高い階層の人は権利を縮小された。
現在:希望格差が拡大する時代
・将来の所得の伸びが期待できる少数の人と、期待できない多数の人に分化。、
■「百ます計算」だけで学力を向上させたのではなく、「早寝、早起き、朝ごはん」を週感づける(陰山英男)
 生活の基本から教えないと、下流かした現代の親は、夜の10時過ぎに子供を連れて居酒屋やカラオケに行ってしまう。
■団塊ジュニアの「下」の三種の神器
・パソコン
・ページャー(携帯電話)
・プレイステーション(テレビゲーム)
・ペットボトル
・ポテトチップス を加えて5P。
■勝敗を決定付ける軸の1つは、あきらかに「コミュニケーション」である。
 コミュニケーションが苦手と思いこまされてしまった子供は、早々と自分自身を「負け組」に分類してしまう。(斎藤環「負けた教の信者たち」)
■結果悪平等と機会悪平等
・結果悪平等
 頑張っても頑張らなくても、能力があってもなくても、給料の差はあまりない。
・機会悪平等
1.下駄履き入試:大学入試で、親の所得の低い家庭の子供は合格点数を下げる
2.東大学費無料化:一流大学に限って、学費をただにするか、安くする
3.大学授業インターネット化:地方の家庭でも進学できるようにする
4.地方から東京へ進学した場合の資金援助:地方自治体がお金を補助。
5.上流には「ノブレス・オブリージュ」を:寄付をする事が義務であり名誉であるという風潮作り
【目次】
第1章 「中流化」から「下流化」へ
第2章 階層化による消費者の分裂
第3章 団塊ジュニアの「下流化」は進む!
第4章 年収300万円では結婚できない!?
第5章 自分らしさを求めるのは「下流」である?
第6章 「下流」の男性はひきこもり、女性は歌って踊る
第7章 「下流」の性格、食生活、教育観
第8章 階層による居住地の固定化が起きている?

下流社会 新たな階層集団の出現 下流社会 新たな階層集団の出現
三浦 展

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