SSKセミナーでモデレータをしました。

 「SSKセミナー 個人情報発信の潮流が加速する」でパネルディスカッションの司会をさせていただきました。
 
 なんと、シックスアパートの関さん、ネタフルのコグレさん、ビーコンの渡辺さんという豪華なメンバーの講演も全部聞かせていただいた上に、直接質問までさせてもらえて実に幸せでした。
 それにしても印象に残ったのは、渡辺さんのDRIPメソッド(スライドがブログで公開されてます)。
 自分でメソッドを作ってしまったというのだからすごいです、おまけにカッコイイし。
 という話をコグレさんとも講演後にお茶しながら話してたんですが。
 早速、コグレさんはネタフルメソッドを発表したようですね
 二人ともすごいっす。

Web2.0時代のワークスタイル2.0を考える

 先日、web2.0企業に見るビジネスモデルとワークスタイルなんて記事で、米国のWeb2.0企業をまとめてみましたが、サービスをリサーチする過程で強く印象に残っていることがあります。
 それが各Web2.0企業の従業員の少なさ。
 大体の企業が数人で運営されていて、結構会社員や学生が本業の傍ら片手間に作っているものも多くあります。
 最近始まったばかりのWebサービスだし、ほとんどのサービスはそれほど儲かってないんだから当然だろ、というのもありますし、どんな会社も最初は数人から始まるんだから、今だけの現象なのかもしれませんが。
 振り返って日本の場合を考えてみても、百式+checkpadの田口さんをはじめ、サイドフィードの赤松さんや、グルコースの安達さん大向さんなど、少人数で面白いサービスを提供している会社は結構増えてきている気がします。
 そんなことを考えていて改めて感じたのが、最近身の回りにも独立している人が増えている事実。
 FPNがらみの人だけを見てみても、CNETブログで有名な渡辺さんが10月に独立したのをはじめ、「シゴタノ!」の大橋さんはもともと独立しているし、「キャリアコンサルタントのひとりごと」の金岡さん、「ちょーちょーちょーいい感じ」の保田さんと、独立する人が相次いでいて、徳力もそのうち独立するらしいなんて根も葉も無い噂もたつ始末(これは本当に根も葉もありません(笑))。
 
 まぁ、ブログのお陰で、たまたま自分がそういう人と知り合えるようになっただけなのかもしれないし、ブログを通じてそういう人の活動が良く見えるようになっただけかもしれませんが。
 何となく、一つの時代の動きのようなものを感じてしまいます。
 
 そういえば、Web2.0がらみの話をしているときに、渡辺さんとかと笑い話で「ワークスタイル2.0」なんて話になりましたが、結局そういうことかもしれないですね。
 これまではコミュニケーションコストや情報コストなんかを考えると、企業が巨大な組織として存在すること自体に大きなメリットがあったわけですが。
 インターネットがWeb2.0的な個人でも情報の発信が可能になって、個人個人がより直接つながりやすくなってしまえば、大企業のような組織と個人のシステム上の差というのがどんどん薄くなってきているのを感じます。
 特に、最近の独立というのは弁護士・会計士とか、大企業の仕事をそのまま持って独立するパターンとはちょっと違ってて、会社の属性や仕事の定義が「タグ」的ですし、事業のやり方も下請け的な一方向ではなく、時には自らサービスや事業も開始する双方向なスタイル。
 インターネットを通じて情報発信やコミュニケーションが適切に行えれば、規模は小さくとも大企業に対してそれほどハンデはなくなっているということなんでしょうか。
 
 どうしても個人が独立というと、一般的には非常にリスクが高い行為に捉えられがちですが、逆に変化に対する柔軟性という意味では、個人企業の方が事業変更など柔軟に対応できますから、大企業の方がリスクが高いシチュエーションも増えてくるのかもしれません。
 
 当然、この話って独立する人だけの話じゃなくて、普通に大企業の中で働いてる人にも関係ある話になってくるはずです。
 これまでも企業の看板だけでなく、個人名で仕事をしている人って言うのは当然たくさんいたと思いますが、今後そういう人が、ネットを通じて可視化されることでもっと増えてくるかもしれませんし。
 そもそも、個人で独立している側と、大企業の中の人間は、対立関係というよりも、お互いに補完関係になるような気もします。企業側は独立している側を、アウトソーシング先の選択肢として頼るケースもあるでしょうし、独立してる側は企業から仕事をもらえるし。
 もちろん、この手の話ってWeb2.0とかインターネットとかのおかげだけでは無いんでしょうし、ワークスタイル2.0と定義する以前にSOHOとかインディペンデントコントラクターとかいろんな言葉がありますけど、一つの変化のの流れが生まれているのは実感として感じます。
 そういえば自分が今の会社に入ったのも、P2Pという個人が中心になるコンセプトだとか、個人でも企業並みの情報共有ができるツールとかに惹かれたからだったなぁと、あらためて思い出しました。
 振り返ると、自分が未だにブログを、個人のブログ会社のブログをきっちり分けて別運用したりと、どちらかというとワークスタイル1.0な人間なのに気づいてしまうわけですが・・・・

ライブドア騒動を、ブロガーはどう捉えているのか調べてみる

株式市場を襲ったライブドアショック–新興企業が軒並み安 – CNET Japanを読んで。
 残念ながら、昨日予想した以上にライブドアの証券取引法違反疑惑は、株式市場に大きなライブドアショックを引起してしまいましたね。
 CNETの記事によると、IT・インターネット銘柄の平均騰落率はほとんど10%近くの大幅安。
 掲載されている17日の動向表は痛々しい限りです。
 
 まぁ、2005年の「IT・インターネット関連株の平均騰落率は83%の上昇」なんて記事もあったように、ここしばらくは過熱気味でしたから、これぐらいは下がって当然の感もありますが。
 昨日のNHKのフライング報道といい、テレビや新聞などマスメディアは一斉にライブドアバッシングが開始された印象。
 何だかすでに「逮捕」だとか「錬金術」だとか、一部では違法性が確定したような形で報道がされていたりもしますし、ちょっと過熱気味。
 ライブドア株には2億株以上の売りが殺到してるそうですし、未だに捜索の目的がどこまでなのか良く分からない状態が続いていますから、しばらく事態は落ち着きそうにありませんね。
 そんな中、ブログ界隈を回ると、結構幅広い視点で見ている人や、濃い情報を書いている人が多くいますので、面白かったものをクリッピングしてみました。
極東ブログ: ライブドア家宅捜索、お好みの陰謀論メニューを
 「ライブドアの家宅捜索だが、問題はなぜ当局がこれほど華やいだショーを演出したのかという意図にある。その華やぎの分だけ陰謀論を誘うのはさけがたい。いくつかメニューをご披露しよう。」
404 Blog Not Found:風説の流布
 「気になるのは、マスメディアの「中の人々」だ。電話で「逮捕」という言葉を使ってしまい、しかもその事を私に指摘されるまで気がつかない人もいれば、「ライブドアマーケティング」と「マネーライフ」の関係を、「ライブドア」と「ライブドアマーケティング」と勘違いしていた人までいた。」
ガ島通信 – 捜索前なのに「ライブドアを強制捜査」NHKは誤報と認めず
 「東京地検特捜部に関係する報道は、マスコミ内部では「あることないこと」どころか「ないこと、ないこと」を書いているという人もいるほどです。特捜部はマスコミを使った世論誘導を行い、劇場捜査を行っている(例えば、特捜部は近くで整列して家宅捜索に入る。あれは、マスコミを利用した国民向けのパフォーマンス)との疑いが指摘されています。」
双風亭日乗 – みなさん、今日はちゃんとニュースを見ましょう!
 「「このタイミングでライブドアを強制捜査するかよ、おい?」とか「耐震偽造問題と伊藤議員との関係があきらかにさせない力が働いているのか」などと素朴な疑問が生じます。」
小林雅のBlog: ライブドア問題
 「株式交換は株主総会の特別決議が必要です。 特別決議とは3分の2以上の賛成が必要です。我々の株式交換やキャッシュでの取引を経験していますが、どのように利用されるか実際の現場の話を書きたいと思います。」
ちょーちょーちょーいい感じ ライブドアへの強制捜査(1) (2)
「ただ、「これらの材料だけで地検特捜部による強制捜査ってちょっと大げさよね」というのが私の個人的な感想。もちろん法律の専門家じゃないですが、おそらく同じような感想を持った人、多いと思います。
「じゃあ、もっと大きなネタを特捜部は持っているに違いない!それはいったい何なんだ!?」
ということで色めき立っているのが今夜の状況って、感じですかね。」
isologue ライブドアの株式交換取引(第9期)
「今回、検察が問題にしているのは平成16年の取引であり1年以上も経っているわけですから、もし開示されている資料から明らかに違法だったら、とっくに問題になっていたはず。また、今回発表されている容疑も、「悪いこと」なのは確かですが、これだけで東京地検特捜部が強制捜査するほどのことなのか知らん?という気もしますよね。」
ホリエモンよりアニメが大事
 ちょっと笑ってしまいました。
 それにしても、ニュースの翌日に、会計専門の方やVC、メディアの方からライブドア出身の方まで、これだけいろんな視点の情報が(ネタも含めて)読めるなんて良い時代になったものですね。
 なんと、ライブドア騒動のニュースサイトの一連記事をまとめているサイトまで登場してますから、頭が下がります。
 ついでに自分のコメントも書いておくと。
 個人的に、ここで気になるのは、果たして今回のライブドアショックは後から振り返って、どれだけのインパクトを持つ出来事になるのかという点です。
 おおげさかもしれませんが、どうしてもオーバーラップしてしまうのは、ITバブル時代の光通信騒動。
 光通信の重田社長も当時、史上最年少の31歳で株式を店頭公開し、時価総額は7兆を超え、「フォーブス」に紹介されたりと、ソフトバンクの孫社長と並ぶ時代の寵児になりましたが、2000年に携帯電話の「寝かせ」疑惑が発覚して一転マスコミに袋叩きにあいました。
 当時の詳細については、Hotwiredの佐々木さんの記事が詳しいですが、佐々木さんも書いているように、「光通信のこの騒動が、バブル崩壊の引き金になった」というのは良く言われる話です。
 最近、一本調子で上昇を続け、バブル的な雰囲気も出てきたという人も増えてきた最近の証券市場ですが、これで腰が折れたら、今回のライブドアショックは光通信騒動の二の舞として記憶されることになってしまいそうな気もしてします。
(まぁ、今回はITバブルほどバブル的ではないという説もあるので微妙ですが・・・)
 おまけに一般の人の間からは、今回のライブドア騒動を見て「ネット企業なんて皆一緒でしょ」みたいな反応も出てきてしまってますから、ネット業界の片隅で生きている人間としては、適度なところで落ち着いてほしいところですが・・・
 
 はたしてどうなることやら、しばらくは目を話せそうにありません。

株式市場にもライブドアショックが来るのか

ライブドア、M&Aに絡む風説の流布の疑いで強制捜査へ – CNET Japanを読んで。
 さすがにこのニュースにはびっくりしましたね。
 NHKの報道をきっかけとして、ニュースサイトの記述が二転三転したのには少し笑ってしまいましたが、最終的には報道がフライングで、後追いで強制捜査が実行されるという不思議な形になりました。
 これをきっかけとして、各メディアは堀江社長や広報担当など、ライブドア関係者が出演している番組の差し替えを決めているようですし、ニュース番組は一斉にライブドアバッシングを開始。
 これまで視聴率を稼がせてもらったのも綺麗に忘れて、しばらくはこの流れになりそうな気配。というか、これでまた視聴率が稼げるんですかね。
 なんでも、今回の事件が政局にまで発展するんじゃないかなんて話もあるみたいですから、また経済面も政治面も社会面も全部ひっくるめてもりあがるお祭り騒ぎになりそうです。
(ちなみに、メディア企業の買収騒ぎの時には、各企業のメディアはほとんど自社のニュースを取り上げなかった記憶がありますが、今回の件についてはライブドアニュースの気になるトピックスに「ライブドア、証券法違反か?」を自ら堂々と掲載しているのにはちょっと感心(?)してしまいましたが。)
 
 まだ詳細は良く分からないので、果たして今回の強制捜査が、日本的には少しやりすぎの感があったライブドアに対する出る杭は何とやら、なのか、自業自得なのかはどうもまだ良く分かりませんが。
 果たして今回のが入り口なのか、もっと幅広い範囲まで対象が広がるのか。
 isologueで磯崎さんが書いているように東京地検特捜部が動いたからには何らかの確証があるはずで、しばらくは目の離せない展開になりそうです。
 これで個人的に気になるのは今回の事件が、どれぐらい株式市場に影響を与えるのかという点。
 もちろんライブドアの時価総額からすれば市場に与える影響は軽微なんですが、正直、株式市場はここのところかなり早いペースで上がってきてましたから、今回の出来事がきっかけに調整する可能性は十分あります。
 (なくてもそろそろ調整しそうなタイミングですし)
 その調整がもし大きかったら、間違いなく株式ニュースの見出しは「ライブドアショック」というところでしょうか。
 野球界、メディア産業、政界と次々にライブドアショック、ホリエモンショックを引き起こしてきたライブドアですが、できれば株式市場は勘弁してほしいものです・・・
(まぁ、もし影響がたいしたこと無ければ良い買いのタイミングになるわけですが。)

図解ブログマーケティング(四家 正紀)

4798109975 メールだ中心だった頃からネットマーケティングの第一人者であるカレンの四家さんが書いたブログマーケティングの本。
 (ブログが盛り上がってきて、ブログコンサル系の人が一気に増えた気がしますが、やはりネットマーケティングの分野で、この人に勝てる人はそうそういないでしょうね。)
 本の内容も、「図解」だけに基本的には初心者でも分かりやすく書かれているのですが、随所に四家さんならではのトピック満載です。
 これから会社でブログを使ったマーケティングを考えている人には最適の本だと思います。

続きを読む 図解ブログマーケティング(四家 正紀)

web2.0企業に見るビジネスモデルとワークスタイル

 先日、うちのエンジニアのHさんに、こんなことを言われました。

 「会社のサイトをWeb2.0化したいんですけど、広告ってどうやって貼ればいいんですか?」

 要は、彼曰くWeb2.0≒広告掲載ってことでしょ、という皮肉のようです。
 まぁ、そういわれると自分自身も未だにWeb2.0の本質が良く分かってないことですし、Web2.0の代表的なサービスを提供している企業ってどういうビジネスモデルなんだろうと改めて気になったので、ちょっと調べてみました。

 オライリーがWeb2.0の代表としてあげていた企業や、「The Best Web 2.0 Software of 2005」にラインアップされていたサービスの一部をレビューした際に調べた結果はこんな感じ。
(サービス名からは、関連の記事や会社のブログで書いたレビューにリンクしてあります。)

サービス名 利用料 広告 備考
 Flickr  無料(有料有) 無い?  Yahoo!が買収 
 BitTorrent   無料 無い  
 Wikipedia   無料 無い 寄付で運営? 
 upcoming.org  無料 無い?  Yahoo!が買収
 Eventful(EVDB)  無料 Adsense    
 Zvents  無料 Adsense   
 del.icio.us  無料 無い?  Yahoo!が買収
 digg   無料 Adsense  
 memeorandum   無料  無い?   
 writely  無料(有料化予定) 無い   
 voo2do   無料 無い  寄付で運営? 
 Remember the Milk   無料 無い   
 Openomy  無料(有料化予定) 無い   
 CalenderHub  無料 無い   
 kiko   無料 無い   
 Basecamp   無料(有料有) 無い   
 Central Desktop  有料(試用可) 無い   

 これだけ見ると、思ったよりもWeb2.0系のサービスは必ずしも広告収入に依存しているサービスばかりではないようです。
 というより、広告を収入にしているのは少数派ですね。

 Yahoo!に買収された企業や、diggのようなスゴイ勢いでページビューが伸びていて広告でも結構儲けているだろうと想像される勝ち組と比較すると、それ以外のサービスが目立った収入源も無い形で提供されているのも印象的。

 そんなデータをまとめながら、「らいおんの隠れ家 – ポール・グレアム「就職なんてもう古い」」とを読むと、改めてなるほどなぁと思わされます。

ウェブ・ベースの起業に必要な主なコストは、メシ代とレンタル代だ。
つまり起業のコストは、怠けているときと大差ないってことだ。
ラーメンをすすって生活する覚悟があれば、たぶん100万円程度の資金で起業できるだろう。

ベンチャー企業が利益を上げる前に、大企業が買収をすることはよくある。
そんな場合は、明らかに利益が目当てじゃない。
開発チームと、それまでに作ったソフトウェアが欲しいだけだ。
もしベンチャー企業が半年で2~3億円で買収されれば、雇われたときのボーナスよりもずっと多いだろう。
この種のことはますます起こるし、その方が皆にとって良いだろうと思う。

 ついこれまでの常識的(?)なビジネスモデルの枠内で考えてしまうと、収益の目処のたたないサービスなんて提供してどうすんだろうと思ってしまいがちなんですが。
 これって私たちがブログで情報やアイデアを無料公開しているのと、話はそんなに変わらなくって。

 結局、サービスの開発者がリスクを共用できる限り、無料で提供し続けることができるなら何の問題も無いんですよね。
 彼らがやらなければ、いつか別の人が代わりにやるだけで。

 自分でやりさえすれば、無料でサービスを提供していても、利用者が増えていつかひょっとしたら利益が上がるかもしれないし、買収してもらえるかもしれないし、ヘッドハントされるかもしれないし、利用者に喜んでもらえるかもしれないし、友達に驚いてもらえるかもしれないし。
 それら全ての可能性が無かったとしても、少なくとも開発者自身はそのサービスを開発したことで何かを学ぶことができるでしょうし。
 
 そういったリターンを考えると、そもそもリスクはそれほど高くない気もしてきますよね。

 あらためて、数万人、数十万人に利用されるサービスを、数人のエンジニアが作ってしまえるという、インターネットとチープレボリューションの恐ろしさを身に染みて感じてしまいました。
 これもWeb2.0時代ならではの現象の一つと言えるのでしょうか?

 果たして今ソフトウェア「産業」と呼ばれているものは、いったいどうなってしまうのでしょう・・・