グーグルを中心とするインターネット業界、サーチ・メディアの今後を考えるのに非常に示唆に富んでいる本です。
ネット業界の人は必読ですね。
歴史書という感もあるので、書籍メモとしてはまとめずらいのですが。
特に印象に残ったのはグーグルも必ずしも創業当初から確固としたビジネスモデルがあったわけでは無い点。
競合環境やタイミング、運も重要な要素であることを改めて感じてしまいます。
年: 2006年
今年の話題もグーグル、ヤフー、マイクロソフト、アップルで決まり?
年末特集:ブロガーたちが選んだ2005年最注目記事を一挙公開! – CNET Japanを読んで。
米国で開催されたCES関連のレポートがIT系メディアを賑わしてますね。
どのネタをブログに書こうかと悩みながら目を通していたのですが、全然関係無い視点から何となく気になったのが記事のタイトル一覧。
例えばCNETのトップページがこんな感じ。
・グーグルのL・ペイジ、CESで基調講演–ロボットカーやR・ウィリアムズも登場
・ヤフーのCES基調講演、トム・クルーズも登場し「Yahoo Go TV」などをデモ
・Windows Meta File関連で新たな脆弱性–DoS攻撃を誘発
・マイクロソフト、新種のWindowsバグの駆逐へ–WMF脆弱性を受け
・アドビ、新画像処理ソフト「Lightroom」を公開–アップル「Aperture」に対抗
・ゲイツとバルマー、Xbox 360を語る
・アップルの影響力、CESでも至るところに
なんとまぁ、ヘッドラインのメインは全部、グーグル、ヤフー、マイクロソフト、アップル関連の記事です。
もちろん、CNETに海外記事が多いこともありますし、CESのタイミングですし、企業規模を考えれば珍しいことでは無いのでしょうが、ふと右側にあるブロガー注目記事ランキングを見ると、これまた10個中7個が上記4社の記事。
冒頭で紹介しCNETの記事でも、アップル、グーグル、ヤフーが話題の中心だったと書かれていますし、実際、自分のブログを振り返ってみても同じような傾向が見られますから、この4社がいかに話題に事欠かない企業かということでもあるのでしょう。
でも、やっぱりちょっと寂しくなってしまうのは私だけでしょうか。
ブロードバンド環境から見れば、日本のほうが米国よりも充実しているはずなのに、やはり動画配信サービスは米国先行で始まりそうですし。
相変わらず、CESのようなイベントでは、ほとんど日本企業の記事を見ることはないですし。
別に、一インターネット利用者としては、米国発だろうが、日本発だろうが、自分が便利になれば構わないのですが。
あいもかわらない日本の周回遅れ感に、やっぱりちょっと寂しさを感じてしまう今日この頃です。
業界に与える影響を考えると、当然主力4グループの動向からは相変わらず目を離せないのですが、今年はもう少し意識して日本企業についてもウォッチしようかなと、改めて思った一日でした。
OvertureとGoogleが、コンテンツマッチ広告で激突する日は近いか
オーバーチュア、「All About」にコンテンツ連動型広告を表示開始 – CNET Japanを読んで。
All Aboutのコンテンツマッチ広告が、GoogleからOvertureに切り替えを行ったようです。
広告出稿先の陣取り合戦という意味では、以前にもAmazonの検索広告をOvertureが取ったりという話もあったりしますから、その手のニュースは別に新しくも無いのですが。
何と言ってもAll Aboutは、Impress Watchと並んでGoogle Adsenseが2003年12月に日本にテスト導入を行った際に提携した最初のパートナーサイト。
象徴的な存在という意味では、Overtureとしても一本取ったというところでしょうか。
まぁ、そうはいってもAll AboutはそもそもYahooグループですから、YahooグループのOvertureが取って当たり前。
今後の焦点は、果たして今回のOvertureのAll Aboutへのコンテンツマッチ広告提供が、Google Adsenseの時と同様、個人向けコンテンツマッチ広告サービス提供につながるかどうかという点でしょう。
日本では個人向けコンテンツマッチ広告サービスが無いために、どうしてもOvertureは影が薄くなってしまいがちですが、メディア・パブの記事なんかを見る限りでは、既にYPNという名称でサービスが開始されている米国ではYahooはGoogle Adsebseに対して互角の熾烈な戦いを繰り広げているようです。
(メディア・パブで紹介されていたGoogle AdsenseとYPNの比較記事はこちら)
特に最近徐々に問題が表面化しているのが、国内のGoogle Adsense独占による弊害。
昨年末に、404 Blog Not Foundの「AdSense破棄キター」とか、たつをの ChangeLogの「アドセンス狩りの被害が減らないわけ」という記事なんかで話題を呼びましたが、どうやら現在のGoogle Adsenseは不正行為があるとそれでアカウントが破棄され、理由も教えてもらえないまま復旧不可能になるようです。
十分お金持ちのDanさんは別としても、最近は、Google Adsenseの収入を頼りにしている人も増えていますから、そういう人にとっては結構、死活問題ですよね。
話を聞いている限りはまるでクレジットカードの審査のようですが、たつをさんが書いているように代替サービスが無いというのが問題に拍車をかけているようです。
なんでも先日、通販系サイトの方に聞いた話だと、その方は毎日Adsenseのアカウントをチェックして、怪しいクリックがあったら自らGoogleに自己申告することで、難を逃れているそうです。
まぁ、言わずにいて破棄されたら復帰不可能になるんですから、現状はそうするしかないということでしょうか。
もちろん、国内にもRSS広告やBlog Clickなど、類似のコンテンツマッチ広告はあるものの、広告の絶対数が少なかったり個人で申し込めなかったりするようですから、やはり個人ブログ側としてはOvertureにも早く参入してもらって健全な競争が始まってほしいと思ってしまいますね。
まぁ、Yahooグループ内のビジネス的なバッティングとかもあるでしょうから、まだ時間はかかるかもしれませんし、始まったら始まったで今度はマッチングの精度とか実収入比較とかややこしい話は増えてくるのかもしれませんから、何も考えずにGoogle Adsenseを貼ってる方が楽かもしれませんが・・・
アテンション・エコノミーというキーワードで見る2006年。
CNETで「オピニオンリーダーによる2006年展望」という企画が組まれてます。
どの記事も興味深いのですが、個人的に注目したのはインフォテリアの江島さんの「 アテンション・エコノミーの本格化 」という記事。
アテンションエコノミーという言葉は、昨年の中ごろにアットマーク・アイティの樋口さんのブログ経由で知ってからずっと気になっている言葉です。
(この記事については、昨年末にPDFファイルバージョンが公開されています。必見です。)
言葉の定義や詳細は江島さんや樋口さんの記事を見ていただければと思いますが、ポイントは、情報の発信はインターネット経由で低コストで無限に近くできるようになったのだけど、受信側のアテンションは結局有限なので、このアテンションをいかに獲得するかに価値が移ってきているという点でしょう。
ぱっと読むと、当たり前のように見えるかもしれませんが、実はこれまでの経済というのは情報の発信側に重きがあった経済。
情報は貴重で、入手するのは大抵有料。
他の人が知らないことを知ったり考えついたりした場合、大抵の人はじっと黙ってその知識を知っていることを価値としようとしていたはずです。
それがインターネットによって、多くの情報が無料に近いコストで入手できるようになり、知っていることを隠すことに意味がなくなりつつあります。
もちろん真にネットに出てこない情報という分野はまだまだあるのですが。
ちょっとしたビジネスモデルや新サービスは考え付いたことを黙っていたところで、どこかで誰かが思いついてブログなりなんなりに書いてしまうので、自然とその情報自体は価値を急速に失っていきます。
この経済圏でアテンションを誘導できるGoogleが力を持っているのは多くの人が書いているところですし、APIやフィードでデータをオープンにすることにより、周辺の顧客や開発者のアテンションを巻き込んでいくというスタイルが増えてくるのも、この流れと合致するように思います。
今後は、del.icio.usやはてなブックマーク、diggのようにインターネット上の情報を集合知の形で抽出することでアテンションを集めるサービスというのがますます注目されていくことでしょう。
ちなみに、ここで、個人的に気になってくるのが、この流れが果たしてクローズな情報にどういった形で反映されてくるのか。
情報技術におけるイノベーションの歴史は、常に個人にパワーを与える技術がブレイクスルーとなって始まり、次第に小規模グループ、そしてエンタープライズで使えるものへと発展していく道のりを繰り返してきた。あらゆる技術はオープンに始まり、クローズへと向かう。ブログの次にソーシャルネットワークや Wikiが流行したのは単なる偶然ではない
上記のように江島さんも書いていますが、個人的にも今後重要なのはある程度情報をクローズにできる技術だと考えています。
(まぁ、オープンなインターネットはGoogle、Microsoft、Yahooの3強の陣取り合戦の様相を呈しているから、もうあんまり面白くないというのもあるんですが。)
アテンション・エコノミーにおいてアテンションを得るのが重要だというのは理解できるものの、ではインターネット上にオープンできない情報は、どのように共有すべき相手と、共有していくべきなのか。
個人におけるクローズ情報は、当面mixiのような利用者が多いサービスの独壇場となるのか、それとも状況別に複数のサービスを使い分けるようになるのか。
企業内や組織内においても、現在のインターネットと同様のアテンション・エコノミー的な文化を作るべきなのか。
それともそういうクローズな情報については相変わらず情報量が少ないから、これまでの情報を知っている人が有利という状況は基本的に変わらないのか。
なんだか頭が混乱して仕方が無い今日この頃ですが、今年はこの「アテンション・エコノミー」というキーワードで、もう一度いろいろと考えてみたいと思っています。
徳力の2006年の抱負
今年から会社のブログをMovable Typeに変更したこともあり、このブログもMovable Typeに変更してみました。
合わせて、今年の抱負をメモっておこうと思います。
お会いしたときとか何かの機会に、アドバイスとか、はっぱをかけてもらえると幸いです。
1.今年力を入れること
・アリエルならではのサービスを生み出す。
昨年は、比較的地味な使い勝手改善を中心にしていましたが、今年はベンチャーのアリエルらしい新しいコンセプトのサービスを生み出すことに力を入れたいです。
・ネット自体のワークスタイルについて自分なりに考える
このブログでは、個人的な興味の中心であるコミュニケーションを中心にメモをしてきましたが、会社ブログでワークスタイルのメモブログを書くことにします。
自分なりのコンセプトを考えていければと思ってます。
・引き続きブログやネットを通じたコミュニケーションの可能性を体験する
昨年はブログのおかげもあって、本を出したり、テレビやラジオに出演できたり、ブロガーカンファレンスを主催できたりと、いろんなことに初挑戦できた年でした。
今年も、ネットコミュニケーションを中心にブログを書きながら、いろんなことを試していく予定です。
面白い企画があったらぜひ声をかけてください。
2.今年はやめること、数を減らすこと
・飲み会の数を減らす
昨年はネットワークを広げる意味で、相当いろんな集まりや飲み会に顔を出してましたが、今年は飲み会の数を少し減らそうと思います。
・一般IP電話系のリサーチは減らして、ソフトウェア系に注力する
昨年はスカイプがらみで、IP電話系のリサーチに深入りしてしましたが、大体雰囲気も見えてきたので今年はもっと本業方面に集中したいと思います。
・土日はできるだけ仕事をせずに、家族サービスや趣味、自己啓発の時間にする
別に今までも、言うほど土日には仕事はしていませんが、今年はより意識して土日はリラックス、もしくは勉強する時間にしたいと思います。
おまけ:紙の年賀状はやめる
別に宣言するほどのことでは無いのですが、郵便局の民営化も決まったことですし、紙の年賀状は卒業(?)することにします。