「おもてなしの経営学」は、Life is beautifulの中島 聡さんが書いた新書です。
出版記念イベントの記事しか書いてなかったので、献本頂いた本のメモを公開しておきます。
中島さんは出版記念イベントでも何度も熱く語っておられましたが、やはりエンジニアにビジネスとか顧客のことをもう少し理解してほしいという思いが強い方なんだと感じています。
本の中でも、作るほうの自己満足のためのこだわりと、使う人の満足度をとことん上げるための「こだわり」は違うという話がでてきますが。
実際、ウェブサービスなんかでも、この点を意識しているかどうかで、サービスの人気の出方に大きな違いが出るのは明らかなのですが、特に受託仕事の場合には違いが分かりづらい点なのかもしれないと思ったりします。
そういう意味でも、個人的に最も印象に残ったのが梅田さんとの対談で出てきた「古い職業では「教育」というと大学教授になることだったりするけど、50年後には、ブログを書いたりインターネット上にコミュニティを形成することが、「教育」だと思われているかもしれない。」というくだり。
実際、中島さんや他のエンジニアの人のブログを通じて、若いエンジニアの人たちが、そういった経験を共有することが、教育的な効果を生んでいることは間違いないわけで。
それを一歩進めてブログを、「講座」的に運用してみるというのも面白いかもしれないなーと感じました。
そういう意味でエンジニアの人たちにはもちろんオススメなのですが、中島さんと上司の関係の話なんかも面白いので、今の職場環境に満足してない人には、参考になる話がいくつも見つかる本だと思います。
【読書メモ】
■User Experienceは「おもてなし」だと思っています。
■ものづくりにおける「こだわり」には2種類ある。
・作るほうの自己満足のためのこだわり
・使う人の満足度をとことん上げるための「こだわり」
■人類全体にとって、20世紀の末に暴力的なまでに強くなってしまったマスコミの影響力が、インターネットを介したパーソナル・コミュニケーションの台頭で相対的に弱まり、再び「自分と価値観を共有できる人の言葉を信じて行動する」という人間本来の生き方を取り戻す良いチャンスなのかもしれない。
■仕事人にはふたつのタイプがいる (古川)
・「上を見て」仕事をするタイプ
・「天を見て」仕事をするタイプ
■古い職業では「教育」というと大学教授になることだったりするけど、50年後には、ブログを書いたりインターネット上にコミュニティを形成することが、「教育」だと思われているかもしれない。
■今のブログというのはかつての私塾に匹敵するものかもしれませんね。(中島)
【目次】
第1章 おもてなしの経営学
第2章 ITビジネス蘊蓄(うんちく)
第3章 特別対談
PartI 西村博之 ニコニコ動画と2ちゃんねるのビジネス哲学
PartII 古川 享 私たちがマイクロソフトを辞めた本当の理由
PartIII 梅田望夫 「ギーク」「スーツ」の成功方程式
おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由 (アスキー新書 55) | |
中島 聡
おすすめ平均 |