「影響力の武器」はタイトル通り、影響力の行使の考え方について考察されている本です。
Heartlogicの小林さんが紹介されていたのが気になって、ずいぶん前に買って読んでいたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
ちょっと分厚い本なので読むのは大変ですが、交渉毎に関わるすべての人に参考になると思いますし、特に、どうも交渉毎でうまく丸め込まれている気がするという方には、参考になる点が多い本だと思います。
【読書メモ】
■人間は手っ取り早い方法に賭ける
「高価なもの=良いもの」という標準的な原理、つまりステレオタイプを用いる
■知覚のコントラストの原理
「スーツを買う目的で洋品店に来た人でも、スーツを買う前よりも、買ったあとに小物類を見た方が、必ずといっていいほど多くの金を支払う」(販売における説得と動機づけの新しい心理学)
■返報性のルール
親切や贈り物、招待などを受けると、そうした恩恵を与えてくれた人に対して将来お返しをせずにはいられない気持ちになる
■「拒否したら譲歩」法:大きな要求のあとに小さな要求を出す
■コミットメントと一貫性
ひとたび決定を下したり、ある立場を取ると、そのコミットメントと一貫した行動を取るように、個人的にも対人的にも圧力がかかります。
■「変更がありましたらご連絡ください」と言うことをやめ、「変更がありましたらご連絡いただけますか?」と相手に尋ね、答えを待つようにさせた。この結果店に現われない予約客の割合はすぐに30%から10%に減った
■承諾誘導 「ローボール・テクニック」
・喜んで買うという決定を誘い出すための有利な条件を提示
・決定がなされてから契約が完了するまでの間に、有利な購買条件を巧みに取り除く
■社会的証明の原理
それを正しいと思う人が多ければ多いほど、人はその考えを正しいと見ることになる。
■自殺記事の後に、模倣自殺により事故が増加する
一面の自殺報道の後に起こった事故の場合、死亡するまでの時間が通常の4分の1と早いものだった
■好意の悪用 「エンドレス・チェーン」
客がひとたびその品物を好きだと言えば、今度は、その品物について同じように詳しく知りたいと思っている友人の名前を教えるように言われる。
■ジグソー技法
生徒をいくつかの協力チームに分け、それぞれの生徒には試験に合格するのに必要な情報の一部分しか与えない。良い成績を取るためには、一人一人が他の全ての人を必要とする。
■詐欺の名人が活用する権威
・肩書き
・服装
・装飾品
■返報性と信頼できる権威者の組み合わせ
自分の経済的利益に反して、相手に有利な情報を提供しているように見せかける。
■希少性の原理
手に入りにくくなるとその機会がより貴重なものに思えてくる
■前から希少であったものよりも、新たに手に入りにくくなったものを望ましいと見なすようになる
子どもたちにとっては、一度も所有したことのない権利を欠くというのではなく、すでにもっている権利を失うことになるため。間食をある程度ゆるすと、間食をしてはいけないというルールを後になって強制するのは非常に困難かつ危険をはらんだものになる。
■希少性と競合性が組み合わさった呪わしい状況
希少な資源をめぐって競争するという状況に特に用心する必要がある
影響力の武器[第二版] 社会行動研究会 誠信書房 2007-09-14 by G-Tools |