アウト・オブ・コントロール (大谷卓史)

400022039X 「アウト・オブ・コントロール」は、P2Pがビジネスを変えるを共著で出されていた大谷さんの単著です。
 献本を頂いていたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 ウィニーや著作権侵害問題について、本質的な背景からきちんと理解したいという方には、とても参考になる本だと思います。
【読書メモ】
■コモンズの悲劇(ギャレット・ハーディン)
 全く管理がなされていない誰でも利用できる共有の資源があったとすれば、その資源は枯渇・荒廃への道を歩む宿命がある
■助け合いインターネット
 トラフィックをたくさん必要とする者がたくさんコストを負担するというしくみはなかった。
■知的財産権制度によって創造者に独占権が与えられる3つの問題
・創造者の試みが失敗しても、報酬を与えられるべきだということになる
・著作権制度は無条件に創造者に金銭的報酬をあたえるよう要求しているわけではない
・著作権は、市場における未来の経済的利益が努力や金銭につりあうものかどうかも保証しない
■1710年「学習奨励のための法律」(通称、アン法)
 印刷・出版業者の出版権を保護するもので、著者の権利を保護するものではなかった。 1842年 著作者の権利としての著作権が盛り込まれるようになった
■19世紀~20世紀 米国の音楽家達は楽譜販売の権利を音楽出版社に与えて、その見返りに著作権料を受け取っていた。音楽出版社は楽譜を販売して収益を得ていた。
 舞台で楽曲を演奏するミュージシャンたちは、音楽出版社から料金を受け取ることがあった。舞台での演奏が楽譜販売の宣伝になったからである。
 
■ラジオ放送局は音楽著作権管理団体との間に包括的な著作権支払い契約を結び、使用曲目をまとめて報告するとともに収入の一部を著作権料として支払っている。このような契約は1920年代米国でラジオ放送が急激に成長する中で、ラジオ放送局と音楽著作権団体との競技や訴訟を通じて形成されてきたものである。
■インターネットが完全な匿名の世界だというのは、大いなる誤解である
■インターネットのメッセージ交換における匿名性の程度を決める二つの要素
・連結困難性:(unlinkability)発信者と受信者とを関係づけることの困難さの度合い
・観察困難性:(unobservability)

400022039X アウト・オブ・コントロール―ネットにおける情報共有・セキュリティ・匿名性
大谷 卓史
岩波書店 2008-04

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