「世界でひとつだけの幸せ」は、ポジティブ心理学の研究をされているマーティン・セリグマン教授がポジティブな生き方の可能性について考察した書籍です。
先日紹介した「ハイ・コンセプト」で紹介されていたので買って読んでみました。
書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
邦題だけ見ると、スマップの歌の名前みたいですが、原題は「AUTHENTIC HAPPINESS」、本物の幸せとでも訳せば良いのでしょうか。
さすがポジティブ心理学なる分野を開拓してしまった教授だけあって、いろんなデータや事例に基づいた分析はいろいろと考えさせられます。
冒頭のポジティブな人は長生きしているみたいなデータとか、結構ショッキングですし、ゼロサム・ゲームではなくウィン・ウィン・ゲームを目指すべきと言う視点も得られると思います。
ちょっとタイトルだけ見るととっつきにくいかもしれませんが、実は管理職の人とか経営者の人にお薦めの本ではないかと思います。
【読書メモ】
■修道女たちのポジティブな感情量を調査したところ、最も快活なグループではその90%が85歳になっても生存していたのに対し、最も快活でないグループでは34%しか生存していなかった。
■10歳の子どもたちに楽観的な思考や行動をするように教えると、思春期に入ったときにうつ病の症状が起こる割合が半分に減らせることを発見した。
■幸福の公式:H=S+C+V
H=永続する幸福のレベル
S=その人にあらかじめ設定されている幸福の範囲
C=生活環境
V=自発的にコントロールする要因
■怒りを表に出すのは正直で正当な、むしろ健全な態度だと考えられてきた。
しかし、この理論は誤りであることが分かってきた。むしろその正反対だった。
怒りを表すことが、新たな心臓病や新たな怒りを生むのである。
■感謝を臆せずに相手に伝える2つの方法
1.感謝をする会
・今までの人生の中で、自分のプラスになる大きな変化をもたらした人で、しかも、感謝の念をまったく表明していない人を選ぶ。
・次に感謝状を書く。
・そして感謝を表明する人に直接会い、感謝状を表情豊かにゆっくりと、相手の目を見ながら読み上げる。
・最後に、相手を自分がこれほど大切に思うきっかけとなった具体的な出来事について、いっしょにふりかえる。
2.毎晩5分の感謝ノート
・毎晩1ページ分のノートを用意する
・毎晩、過去24時間をふりかえり、感謝する事柄を5つ、箇条書きで記す。
■許さないという行為で加害者を直接傷つけることはできないが、許すという行為で自分自身を解放することはできる
■犯人を許すための5つのステップREACH(エベレット・ワーシントン博士)
・R(recall):客観的に思い出す
・E(empathize):加害者の立場から感情移入する
・A(altruistic):利他的な容認という贈り物をする
・C(commit):公に表明する
・H(hold):持続する
自分は許したのだと肝に銘じ、自分がインプットした内容を読み直す
■過去に対してより多くの幸せを永続的に感じる3つの方法
・過去が未来を決定してしまうという固定概念を捨てる
・過去の良い出来事に感謝する
・過去の悪い出来事を容認し、忘れる
■快楽と充足感を区別する
・快楽:一過性のもの(生の感情を伴う)
・充足感:没頭し、浸りきり、われを忘れる(生の感情を必ずしもともなわない)
快楽とは生物学的飽食の達成であり、充足感とは心理的成長の達成である
■ナルシスト世代
「自分の気持ちと仲良くなりなさい」というメッセージを鵜呑みにし、唯一の関心事は自分の気持ちだと思ってしまう。
(充足感は自己への没入を排斥する)
■200冊に及ぶ哲学書や教典に見られる6つの美徳
・知恵と知識
・勇気
・愛情と人間性
・正義
・節度
・精神性と超越性
■仕事の3つの方向性
・任務:給料をもらうために遂行する仕事
・経歴:自分への十分な投資を必要とする仕事
・天職:自分自身のために情熱を傾けて検診する仕事
■弁護士がやる気を失う3つの原因
・悲観主義
・高ストレス下での自由裁量権の低さ
・アメリカの法律が勝つか負けるかのゼロサム・ゲームになってしまったこと
■聞き上手の何よりも重要な原則は「確認」である
■ポジティブな感情を育てる8つのテクニック
・添い寝の利点
・同調ゲームの利点
・否定の言葉は控えめに
・上手なほめ方と罰し方
・兄弟間の競争
・就寝前は価値あるひととき
・取引する
・新年の誓い
■勝つか負けるかのゼロサム・ゲームでは、勝利者はポジティブ、敗者はネガティブと、正反対の関係にある。
一方、双方がメリットを得るウィン・ウィン・ゲームでは、全体がポジティブとなる。
世界でひとつだけの幸せ―ポジティブ心理学が教えてくれる満ち足りた人生 Martin E.P. Seligman 小林 裕子 アスペクト 2004-06 by G-Tools |