ハイ・コンセプト (ダニエル・ピンク)

4837956661 「ハイ・コンセプト」は、急速に変化する現在の時代を生き抜くためにどういう人材が求められるのか、という点を考察した書籍です。
 かなり以前に購入して読んでいたのですが、読書メモを書いてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 ハイ・コンセプトというキーワードは「フラット化する世界」にも出てきますが、グローバル化、IT化が急速に進展する現在において、ひとつ示唆となるキーワードのように思います。
(ちなみに最近のエデュテイメントとかGrand Theft Auto IVがらみの記事は、この本のメモを書くために久しぶりに振返ったことも影響しています。)
 ビジョナリー・ピープルとあわせて読むと良いかもしれません。
 これからの時代の自分のキャリアの方向性について悩んでいる方にはお薦めの本です。
 
【読書メモ】
■多くの人にとって、この大変革は苦痛を伴うものかもしれないが、実はこれは私たちがかつて経験した変化とさほど変わりはない。
 これは20世紀後半に大量生産を行う定型的な仕事が海を越えて移転していったのと、まさに同じことなのだ。
■過去150年間は三幕仕立てのドラマ
・農業の時代 18世紀 
・工業の時代 19世紀 強靱な肉体と不屈の精神力
・情報の時代 20世紀 情報や知識、左脳主導思考
・コンセプトの時代 21世紀 右脳主導思考
■今の仕事をこのまま続けて良いか---3つのチェックポイント
・他の国なら、これをもっと安くやれるだろうか
・コンピュータなら、これをもっとうまく、早くやれるだろうか
・自分が提供している物は、この豊かな時代の中でも需要があるだろうか
■これから求められる「6つの感性(センス)」
・機能だけでなく「デザイン」
・議論よりは「物語」
・個別よりも「全体の調和」
・論理ではなく「共感」
・まじめだけでなく「遊び心」
・モノよりも「生きがい」
■物を語る能力
 事実というのは、誰にでも瞬時にアクセスできるようになると、1つ1つの事実の価値は低くなってしまうものなのだ。そこで、それらの事実を「文脈」に取り入れ、「感情的インパクト」を相手に伝える能力が、ますます重要になってくるのだ。
■これから成功する可能性大の3タイプ
・「境界」を自分で超えていく人
・何か「発明」できる人
・巧みな「比喩」が作れる人


■「人間の思考プロセスは大部分が比喩的」(レイコフ)
■「全体像を見る能力」がますます重要になってきている
■「デュシェンヌ型笑顔」、すなわち本当の喜びを表す笑顔を意識的に作ることはできないのだ。同様に、「共感する力」を高めることはできるが、見せかけの「共感」を示すことはできないのである。
■America’s Army
 目的を達成する上で必要なチームワークや価値観、及び責任を協調しているアメリカ陸軍作成のゲーム。
■ゲームは究極の学習マシンになりうる
「ゲームは、デザインや学習への動機づけを盛り込むことができる。このような学習の原理は、反復練習や基本を繰り返すだけの学習や、次から次への学校をやめるまでテストを繰り返す今までの教育方法よりも良い」(ジョン・ポール・ジー教授 ウィスコンシン大学)
■「人が追求せずにはいられない、第三の幸福の形がある。それは意義の追求(ミーニング)だ。自分の最も得意とすることを知り、それを自分よりも大きな何かのために活かすことだ」(マーティン・E・P・セリグマン博士 「ポジティブ心理学」運動創始者)
■「左脳が通路を歩くという行為を論理的に進める間、右脳は自由に創造的な思考をめぐらすことができる」(デビッド・トルツマン)
■「生きがい」を考える6冊の本
・夜と霧(ビクトール・フランクル)
・世界でひとつだけの幸せ(マーティン・セリグマン)
・フロー体験:喜びの現象学(ミハイ・チクセントミハイ)
・このつまらない仕事を辞めたら、僕の人生は変わるのだろうか?(ボー・ブロンソン)
・心はマインド(エレン・ランガー)
・ダライ・ラマ こころの育て方(ダライ・ラマ14世)

4837956661 ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代
大前 研一
三笠書房 2006-05-08

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