「99.9%成功するしかけ」は、日経ビジネスオンラインでもコラムを連載されている藤田 康人さんの単著です。
先日スタッフをさせていただくことになったACフォーラムのプレイベントで、藤田さんに初めてお会いした際に、藤田さんの生い立ちに興味を持ったので買ってみました。
書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
ちょうど藤田さんにお会いしたときに、先日紹介した戦略PRの本田さんも同じ場所におられたということもあるのですが、現在個人的にAMNでPRと広告とクチコミを組み合わせたマーケティングを模索するにあたり、最も参考にさせて頂いているのがこの二人のアプローチです。
この本自体は、キシリトールブームの話が中心のため、事例としてスケールが大きすぎて参考にならないと思ってしまう人もいるかもしれませんが、「多くのステークホルダー全てが立体的、有機的に組み合わさる」マルチWinマーケティングや、日本のPRの課題など、PRや広告に関わる人にとっては、ヒントになる話がきっと見つかる本だと思います。
ちょうど、日経ビジネスオンラインで面白い対談企画も始まっていますので、こちらも合わせてどうぞ。
【読書メモ】
■ビジネスモデルの第1世代 「相手任せのビジネス」
相手の担当部署にどう食い込んでいくかだけを考えていればいい従来型のB2Bビジネススタイル
■ビジネスモデルの第2世代
相手とWin-Winの関係を築き、素材を販売する者も”川下”の消費者を意識してマーケティング・コンセプトを立案し、販売メーカーと交渉して、双方向のコミュニケーションを通じて情報の共有を実現する
■ビジネスモデルの第3世代
”川下”の消費者の視点を持ち込んで、活用できる限りの周辺要素とコラボレーションする「B2B2C」のビジネスモデルを発展させたもの
■キシリトールがここまで広まって重要になってきたのが、「キシリトール反対派への対策」でした。
■コミュニケーション・ミックス
・広告:認知促進に効果的に利用
・PR:多様なニュースソースから深い理解を促す
・専門家からのクチコミ:信頼性の高い情報で継続購買を確信
■消費者というのは多くの場合、単独の商品ではなく、実はカテゴリーで製品を認知している
■素材メーカーはマルチクライアントだから、複数メーカーに働きかけ、カテゴリーを作りブームにすることができる
■自分の中で「こうあらねばならない」という結論を最初に決め
意見を聞くという形をとりながら誘導し、最終的には自分の許容範囲にまで落とし込む
■マルチWinマーケティング
多くのステークホルダー全てが立体的、有機的に組み合わさる。
■日本のメーカーには、マーケティングの専門性を持った人材が不足している
・マーケティングを専攻した人材は広告代理店に集まる
・日本のメーカーの人事制度が、ゼネラリスト育成施行である
■マーケティングというものは本来、企画、調査、商品開発、コミュニケーション、セールスなど、ビジネス全般に及ぶもの
■マーケティングPR
欧米の企業:マーケティングや宣伝部の中に「コミュニケーション担当」という位置づけで「マーケティングPR(MPR)」の専門スタッフを置く
日本企業:広報部という組織がPRの担当部署となる
→IRやコーポレートPR、危機管理広報は、売れる製品の開発と仕組み作りをゴールとするマーケティング及びマーケティングPRとは全く違う領域のもの
99.9%成功するしかけ キシリトールブームを生み出したすごいビジネスモデル 藤田 康人 かんき出版 2006-11-21 by G-Tools |