買い物する脳 (マーティン・リンストローム)

4152089784 「買い物する脳」は、ニューロマーケティングという脳を意識したマーケティングについて考察している本です。
 Amazonで本を買ったときにお勧めに出てきて、気になったので、購入してみました。
 書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 この本ではさまざまなマーケティングの要素について脳がどのように反応したかという事例がいろいろと出てくるのですが。
 タバコの警告ラベルがかえって売上を上げる効果を持っていたりとか、コロナにライムを入れる習慣がバーテンダーの賭からはじまったらしいとか、性的内容を含んだ広告は実はブランド記憶の面では逆効果だとか、自分が常識と思っていることに実は脳は逆に反応していたり、、ということが分かって驚きます。
 Amazonでの評価は低いみたいですが、マーケティングの視点をちょっと広げてみたいという方には、参考になる点がある本だと思います。
【読者メモ】
■日本を調査することで、未来の世界を垣間見るきっかけとなると信じている
■タバコの警告ラベルは喫煙の抑止に効果がないばかりでなく、逆に側坐核を活性化して喫煙を促していたということが、fMRIの結果から分かったのである
■市場調査やフォーカス・グループといった従来の調査方法が、消費者の本当の考えを知るのに効果がないことは分かりきったことだった。
■「無駄なものにエネルギーを注ぐことができるのは、動物として地位や権力を持っている証拠ですからね」(ヘンリック・ウォルター)
■私たちの大半は、六十六歳までに約200万回ものテレビ・コマーシャルを目にする。時間に換算すると、毎日八時間の広告を六年間見たことになる。
■私たちは番組のストーリーにとって重要な役割を果たしていないブランドは覚えていない


■プロダクト・プレイスメントを効果的に利用するためには、ただ雑然と商品を画面に垂れ流し、視聴者が反応してくれるのを待つのではなく、より巧妙で綿密な戦略をとることが必要だ。
■ミラー・ニューロン
 このニューロンは、何らかの動作をおこなったときだけでなく、その動作を見たときにも活動を示す。
■デューク大学の研究者によると、私たちは笑顔の人びとに惹き付けられるだけでなく、その人の名前を覚える傾向もあるという。
■「脳内のドーパミンの分泌は、ギャンブル関連の報酬から金銭的・社会的な報酬間まで、さまざまな報酬を予期すると活発になる」
■サブリミナル広告には効果があるか、という質問に対しては、効果がある、いや絶大な効果がある、と答えざるを得ないだろう。
■タバコのロゴよりはるかに強力なのは、赤いスポーツカーや、ロッキー山脈がそびえるロマンチックな荒野など、喫煙を連想させる画像だということが分かった
■コロナにライムを入れる習慣は、1981年に誕生したといわれ、とあるレストランのバーテンダーが、コロナ・ビールのボトルの首に切ったライムを詰め込み、ほかの客もそれをマネするか仲間と賭をしたのが始まり。
■私たちに安心感や安定感をもたらす収集という習慣的な行為には、何らかのパワーがあるのだ。
■著名な宗教に共通する10の柱
・連帯感
・明確なビジョン
・敵に打ち勝つパワー
・感覚へのアピール
・物語
・雄大さ
・布教
・シンボル
・神秘性
・儀式
■明らかに、強力なブランドに対する感情的な絆は、宗教に対する感情と大きな類似点がある。
■ソマティック・マーカー(脳のしおり、ショートカット)
 報酬や処罰といった過去の体験により、このマーカーは経験や感情を具体的で必要な反応へと結びつける役目を果たす。
■五感ブランディング
 消費者の心をがっしりとつかむためには、いたずらにロゴを並べ立てるだけではなく、鼻に匂いを送り込んだり、耳に音楽を流し込んだりする方が効果的だと言うことに、企業は気づきつつあるのだ。
■「匂い以外の場合、脳は考えたあとに反応するが、匂いに限っては、脳は考える前に反応する」(パン・ショールダー・エレン)
■バンパイア効果
 刺激的な内容によって、広告が本来伝えようとしている内容から注目が吸い取られてしまう
■性的内容を含まない広告を見た男性のうち、ブランドや商品を正しく記憶していたのは、約20%だったが、性的内容を含む広告を見た男性では9.8%に過ぎなかった。
■消費者に購入の理由を尋ねるといった従来の調査方法で理解できるのは、意志決定のもとになる脳のプロセスのほんの一部でしかない

4152089784 買い物する脳―驚くべきニューロマーケティングの世界
千葉 敏生
早川書房 2008-11-21

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