「 希望を捨てる勇気」は、アゴラなどのブログでも有名な池田信夫さんの書かれた書籍です。
出版社から献本を頂いていたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
池田さんならではの視点で、日本の現状について考察されている本ですので、普段とは違う視点で日本の未来について考えてみたい方には、参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■そもそも日本人の所得は、国際的に見れば高い。「ワーキングプア」の年収が200万円でも、中国の平均賃金の5倍だ。
■事前のインセンティブと事後の正義にはトレードオフがある。
事後の正義(事後的には正しいようにみえる判決や規制が、事前にわかっているとインセンティブをゆがめ、非効率的な結果をもたらすこと)
■過剰な雇用規制は「ワーク・ライフ・バランス」も破壊する。
日本の労働者に残業が多いのは、彼らが働き者だからではなく、解雇規制の強いことが原因だ。繁忙期に雇用を増やすと後で解雇できないため、正社員の採用を絞って残業で業務の増減を調整するのである。
■日本の経験からいえることは、第一にゼロ金利や量的緩和は景気対策ではないということだ。景気対策としての効果はゼロになった段階で終わり、日銀が見ていたのは銀行の資金繰りだった。
■明治憲法では主権者を天皇と定めたが、実際には天皇は政治権力を行使しないため、権力の空白ができた。この空白を埋める調整機能の所在は、時代とともに変化した。
■今までは「どうでもいい情報を何百万人に向けて出すマスコミ」か「身内だけの個人的な会話」しかなかったメディアが多様化し、両者の中間に多くの新しいメディアが生まれている
■おそらく解雇規制を完全に撤廃しても、正社員がどんどん解雇されることはないだろう。それは日本人にリスクをヘッジするという感覚がなく、リスクをできるかぎり回避する習慣がついているからだ。
■日本人は、昔から起業の少ない国だったわけではない。1960年代までは開業率は10%を超え、零細企業では50%を超えることもあった。他方、廃業率も高く、こうした激しい新陳代謝が高度成長のエンジンだった。
■現在の開業率はOECD諸国でも最低水準で、アメリカの半分以下だ。
希望を捨てる勇気―停滞と成長の経済学 ダイヤモンド社 2009-10-09 by G-Tools |
■書評■ 希望を捨てる勇気
池田信夫先生というと最近では一部の間で喧嘩師として有名であるが、ご自身のブログ上でも読む価値のない(読んではいけない)という評価の本にはAmazonへのリ…