「エコシステム・マーケティング」は、コカ・コーラの江端さんと、「大企業のウェブはなぜつまらないのか」などの著書でも知られる本荘さんが共著で書かれた書籍です。
献本を頂いていたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
以前からコカコーラが運営しているコカ・コーラパークには注目していたのですが、この本に書かれている事例は正直、想像を大幅に超えているものでした。
個人的には、企業が運営する自社メディアの重要性が今後ますます増して来ると考えていましたが、そのイメージを遥かに超えた事例をこの本では知ることができました。
メディアに携わる方は、この本に出てくる「強力な自社メディアを持った企業がいくつか現れて、スターアライアンスのような連合をつくったら、我々既存のメディアの位置づけは大きく変わるだろう」というメディア企業幹部の言葉を重く受け止める必要があるかもしれません。
インターネットを活用したマーケティングに携わる方であれば、是非読んでおくべき本ではないかと思います。
【読書メモ】
■日本コカコーラは740万人(2009年9月現在)の会員を持つウェブサイト「コカ・コーラ パーク」を中心に、さまざまなメディアやアクセスポイントを組み合わせて活用するIMCを展開している
■「マーケティング・キャンペーンはもう終わった。これからはエコシステムだ」(リシャド・トバコワラ氏 ディヌオ社CEO)
■エコシステム・マーケティングを実践するための6つのポイント
・互いを理解してパートナーシップ・モデルをつくる
・自社自信の強みと弱みを見極める
・バランスのよいパートナーを選ぶ
・消費者との新たなコミュニケーション軸を構築する
・消費者の視点からメッセージを出す
・相互のブランドを活用し、潜在的ファンを増やす
■従来のマーケティングでは、広告枠を買う、キャンペーンを行うというように、単発で一過性の施策を行うことが多かったので、短史眼的になりやすかった。
一方、エコシステム・マーケティングでは、長い時間軸で物事を捉えていく。
■「強力な自社メディアを持った企業がいくつか現れて、スターアライアンスのような連合をつくったら、我々既存のメディアの位置づけは大きく変わるだろう」(大手テレビ局の担当者)
■コンシューマー・エコシステム戦略の4つの視点
・「つながり」重視のネット戦略
・IMC(統合型マーケティング・コミュニケーション)型のコミュニケーション
・対話型コミュニケーションで共感を醸成
・新たな関係性構築によるエンゲージメント醸成
■エンゲージメント曲線
・こだわり商品には熱心なファンがつき、商品そのものが話題となってコミュニティが形成されやすい
・一般商品では、こだわり商品ほど熱狂的なファンはおらず、それほど熱く語り合えるわけではない。まず、テーマやメッセージの設定の仕方が大きく異なる。
資生堂や花王のように、商品を超えて、消費者にとって身近なこと、興味のあることを商品と上手くリンクさせながらコミュニケーションしていくことになる。
■指をくわえて黙ってみているよりも、自ら情報発信した方がよい。そうすれば、少なくとも、コンシューマー・エコシステムに何らかの影響を与えることはできる。
■「試行することは、いまのマーケティングにおいてとても大切なことだ。マーケティング予算の15%をとって、マーケティング・パートナーに試行を呼びかけなければ、企業は困難に直面することになるだろう」(カーラ・ヘンドラ オグルヴィ北米CEO)
■「No more spray and pray」(「神頼み」はもうやめよう)
消費者に一方的に広告を流して、うまく当たってくれることを祈るのはもうやめよう
■生成系コンテンツの人気の理由は間接表現にあり
日本人は自分のことを直接表現することが苦手
■訪問頻度か訪問深度か
個々のユーザー単位で見た場合、はたして訪問1回当たりの滞在時間が長い方が良いのか、それとも短い滞在時間でも訪問頻度が多い方が良いのか。この答えは、まだ一般論としては出ていないと思う。
深度を重視するケースとして多いのは、「高級品」や「新商品」である。
一方、頻度を重視するのは「日用品」や「既存ブランド」だ。
コカ・コーラパークが挑戦する エコシステムマーケティング ファーストプレス 2009-11-12 by G-Tools |