「漂流する広告・メディア」は、インテグレートのCEOをされている藤田康人さんが書かれた書籍です。
献本を頂いていたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
以前藤田さんの「99.9%成功するしかけ」を紹介したことがありますが、前回の書籍は藤田さんの経験やロジックをまとめた本だったのに対し、今回の書籍は藤田さんが一目置くマーケティング界隈の著名人にインタビューを実施した日経BPの企画を書籍化したものです。
それぞれの業界の著名人の視点が紹介されていますので、複数の視点からこの広告・メディア業界を考えてみたいという方には参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■ユーザーは大きく、検索キーワードを入れて自分に必要な情報を入手する人と、検索できないからとりあえずYahoo! Japanに来てトピックスを読んだり、そこに掲載している記事を見てみようという2つに分けられます。(ヤフー川邊氏)
■テレビ界は今クリエイティブのデフレスパイラルが起きている感じがするんです。低予算をカバーするには、企画力とかアイデアが必要だと思うんですが、視聴率という数字に目を奪われすぎている。(おちまさと氏)
■私は「ネットかマスか」という議論には意味が無いと思っています。(山本直人氏)
■この手の話をするときは、メディアとメディアビジネスをちゃんと分けて話をするべきです。(中略)そもそもネットがメディアなのかということもぼくは疑っています(河野武氏)
■簡単に言うと、マスは送り手主導でネットは受け手主導で展開していると考えています。結局、これからのマーケティングは両者のギャップをどうやって埋めるかなんです。(ADK横山氏)
■エンゲージメント・リング
生活者の「心が動く」という輪を中心に、「選択する」「共有する」「絆を感じる」を加えた4つの輪を、同時に動かして効果をつくるのです(博報堂川名氏)
■現状のPRビジネスを見ていると、掲載してもらうためにお金を払っているクライアントと、掲載されるように活動しますというPRサービス提供者の間に、かなり大きな意識のギャップが感じられます。(鶴野充茂氏)
■これまで広告は効果測定が難しいと言われてきました。それがネットだと明確になってしまう。でも、そこに落とし穴もあるように思っています。(宣伝会議谷口氏)
■選択肢が増えると欲求不満は増えますよね。無いと思えば諦めもつきますが、あるはずなのに見つけられないという欲求不満は大きいと思います。(電通秋山氏)
■ネットが強力な情報波及力を持つことに疑いの余地はない。しかし、最初の情報発信がマスメディア発で行われて、ある一定のスケールの情報連鎖のうねりを起こしながらネットに流入させる方が、ネットでの限定的な情報発信からスタートするよりもはるかに効率がいいことは言うまでもない。
漂流する広告・メディア――12人のキーパーソンと語る「マス×ネット」の今 日経BP企画 2009-12-01 by G-Tools |