「ブランド・エンジニアリング」は、日本のブランド論における中心人物の一人と言える片平秀貴さんの書籍です。
モバイルインターネットキャピタルの西岡さんに紹介頂いて、本を買って読んでいたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
実はこのブランド・エンジニアリングという本は2003年に出版された本なのですが、まだソーシャルメディアという言葉の定義もなかった頃に、これだけ企業のサイトを活用したコミュニケーションの重要性を問いていた本があったというのは正直驚きでした。
この本に事例として出てくる方々が、現在AdTech等の広告系イベントでパネリストとして活躍されているのも、なるほど納得という印象です。
日本ならではのサイトを活用したコミュニケーションの事例や分析がされていますので、グランズウェルのような米国事例ではいまいちピンとこないという方は合わせて読んでみると、いろいろヒントが見つかる本だと思います。
【読書メモ】
■BMWとminiのサイト上での扱い
・BMWとMiniはそれぞれ独立したブランドである
・両社ともBMWが所有するブランドである
・それぞれのブランド・サイトには両社の関連を示唆する手がかりはほとんどない
■全日空のウェブサイト対応
・1日約200件の問い合わせが来る
・1件きちんと回答するのに平均30分ほどの調査を要する
・正社員がひとり関わるとすると、低めに見積もって時給4000円として1件2000円で1日40万円かかり、これを年にすると1億2000万円強かかることになる。
■ブランドをつくる三つの力
・夢を育む能力
・おもてなしをする能力
・顧客から学ぶ能力
■消費者はネット上なら発言する
商品に不具合があったときに売り手に文句を言う比率は、欧米では商品によって50~90%であるのに対して、日本の数字は大体その3分の1から5分の1にとどまっている(国際価格構造研究所1996)
■サイトを含めたブランド・コミュニケーションの統合が上手く進んでいる3つのタイプ
・ソニー・ネスレ型
各ブランドのコミュニケーション・プランはブランドの担当が決めるが、実際の制作、執行及び媒体感、ブランド間の調整はコーポレートレベルのコミュニケーション担当部門が行う。
・パナソニック型
マス広告、イベントプロモーション、ブランド広報などのプランニングと執行は同じチームが担当する。上記が経営者との接触が三津であるのに対して、後者はそこのところがはっきりと見えてこない。
・ツタヤ・MUJI型
強力なリアルの小売り基盤を背景に、ウェブサイトの運営とEコマースを専門の別会社が担当する。マス広告をしないのが特徴。
■企業コミュニティサイトのポイント
1.ターゲットを定める
2.アイデアの獲得ではなく顧客となじむ
3.中立性を維持する
■ブランド・エンジニアリングの3つの原則
・ブランド構造を明確にする
・顧客から学び、顧客を超える
・リアルとバーチャルを連動させる
ブランド・エンジニアリング 日経BP社 2003-01 by G-Tools |