「会社のデスノート」は、元BCG(ボストンコンサルティンググループ)No.1アナリストである鈴木貴博さんが書かれた日本の企業戦略に関する書籍です。
出版社の方から献本を頂いていたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
刺激的なタイトルで、一見軽めのネタ本に見える方もいるかもしれませんが、実際にはかなり冷静に日本の産業の構造的な問題を指摘している本です。
日本の大企業に努める特に中堅以上の方々に読んで欲しい本です。
【読書メモ】
■自動車業界の3つの問題
・短期的な需要の落ち込みに惑わされて中期的に誤った需要前提を置いてしまうこと
・自社の雇用削減が、国全体の経済成長を止めてしまう規模に波及してしまうこと
・超長期のイノベーションの前提を、中長期に取り込んでしまうこと
■日用品小売業界のデスノート・ルール
・日用品小売業界では、価格競争によって競争相手を打ち負かすことができる
・その一方で、価格で競争相手に勝つたびに自らの市場を縮小させ、業界の死を近づけている
■ウォルマート・エフェクト
強力に価格を下げる小売業者がいると、経済全体が縮小していくのではないかという疑惑
■セブン・イレブン・エフェクト
付加価値を上げると価格が上がり、価格が上がったことがコンビニエンスストア業界という市場全体を拡大して行くという効果のこと
■日本のデスノート・ルール
・未来の日本が繁栄し続けるにはサービス業が発展する以外道はない
・発展の最大の障害は日本のサービス業の生産性の低さの問題。この問題を克服するには重サービス業を発展させるのが解決方法だ。
・グローバルに通用する重サービス業を発展させることができるかどうかに、日本の未来はかかっている
■重サービス業
重サービス業は、重工業と同じで、人件費以外の資本投下が必要で、ノウハウ的な部分での参入障壁が大きいサービス業のこと
■日本を成長させるための三つの方向性
・自動車業界の不況を短期で終息させ、むしろ投資を増強することで雇用を回復させる
・日常消費の分野ではセブン・イレブン・エフェクトを重視し、高付加価値に向かう分野への投資を奨励する
・重サービス業を育成することで、サービス業の生産性を上げ、サービスの価格が下がることを通じて市場を拡大する
会社のデスノート トヨタ、JAL、ヨーカ堂が、なぜ? 朝日新聞出版 2009-11-06 by G-Tools |