「ザッポスの奇跡」は、非常に特徴的な経営手法で注目されているザッポスについて考察されている書籍です。
河野さんが推薦されてたので、気になって買って読んでいたのですが、読書メモを公開できてなかったので書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
浅い理解でのMBA的な世界で一般的に言われている顧客サービスの常識や、経営の常識というのは、実は所詮ここ数十年で形成されたものにしか過ぎません。
特にインターネットによって価値観や、コミュニケーションのコストが大幅に変化している中、一般的な正解というのを元に教科書的な経営手法を行うことが、いかに視野が狭いアプローチかと言うのを、この本を読むと思い知らされます。
もちろん、ザッポスが実践しているような顧客第一主義を本当に実践した経営手法は、実はインターネット以前からも実践している企業はあり、個人的にはザッポスはネット時代版ノードストロームやフォーシーズンズホテルという印象も強いのですが。本荘さんのコラムによるとすでにザッポスはノードストロームも超えているという印象もあったりするようです。
当然、だからといってザッポスの経営手法をコピーすれば、どんな会社でも成功すると言うわけではない、というのがまた難しいところなのですが。
インターネットによる構造的な変化が、経営手法や顧客サービスにも新しい選択肢を提示してくれているわけで、そんな新しい可能性を真剣に考えてみたい方には、是非オススメしたい本だと思います。
【読書メモ】
■「幸せのデリバリー」
人や状況によって、サービスの「行動」は違うが、結果として生まれるのは、社員にとっても、顧客にとっても、「忘れがたい体験」である。
■「サプライズ・アップグレード」
リピート顧客に対しては、無条件で翌日配達サービスにアップグレードする
■「普通の会社ならTV広告などマス・メディア広告に大枚をはたくところを、ザッポスではそれを選ばず、代わりに、顧客サービスに投資しているのです」
■ザッポスの「10のコア・バリュー」
・サービスを通して、WOWを届けよ。
・変化を受け入れ、その原動力となれ
・楽しさと、ちょっと変わったこと、をクリエイトせよ
・間違いを恐れず、創造的で、オープンマインドであれ
・成長と学びを追求せよ
・コミュニケーションを通して、オープンで正直な人間関係を構築せよ
・チーム・家族精神を育てよ
・限りあるところからより大きな成果を生み出せ
・情熱と強い意志を持て
・謙虚であれ
■コア・バリューの誕生は、発起から成文化までおよそ一年を費やし、会社全体を巻き込んだ大々的なプロセスであった
■例外なしに不採用が決まってしまう究極のリトマス検査
「会社の人と社外で交流したことがありますか」
■ザッポスのコンタクトセンターでは、17のスキル・セットを設け、スキルの取得に基づく明確な昇給システムを設けている。チャットは50セント、Eメールは75セントの昇給という具合だ。
■NPS(ネット・プロモーター・スコア)
10点満点のうち9か10と答えたグループを「プロモーター」
6以下と答えたグループを「ディトラクター」とし、推奨者が全体に占める割合から批判者の割合を差し引いてスコアを出す。
■「カルチャーこそがブランド」
■メディア・プランニングならぬ「ピープル・プランニング」
最も貴重なアセットである「人」を、いかに活用していくのか
それは、顧客に対しては「クチコミ」の働きかけであり、社員に対しては「ブランディング」の働きかけである。
■「個」を活かす企業は、まず、リーダーから始まる
ザッポスの奇跡 The Zappos Miracles―アマゾンが屈したザッポスの新流通戦略とは 東京図書出版会 2009-11-10 by G-Tools |