グローバル・イノベーション (藤井清孝)

4023308072 「グローバル・イノベーション」は、SAPやルイ・ヴィトンなど、名だたるグローバル企業の日本法人トップを歴任していることでも有名な藤井清孝さんの書籍です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 この本では、さまざまなグローバル企業の日本法人トップを経験している藤井清孝さんならではの視点で、日本の課題や、日本ならではの可能性が分析されています。
 個人的にも先日のコカ・コーラさんの上海ツアーで似たような問題意識を感じ始めていたところでしたので、この本は非常にタイミングよい本でした。
 日本の将来に不安を感じながらも、日本ならではの可能性を信じている方には、刺激になる点が多々ある本だと思います。
【読書メモ】
■日本は世界でも珍しい「秩序を壊さない自己変革」をお家芸とする国である。
■構造変革を起こすための、三つのイノベーションの必要性
・ビジネスモデル・イノベーション
・ガバナンス・イノベーション
・リーダーシップ・イノベーション
■昨今のグローバル企業の日本子会社は、アジア地域の一国の組織に格下げされ、日本法人社長も、その多くがシンガポールにいるアジア地域本部のトップにレポートしている。(中略)
 結果として、日本法人社長には、良くて「営業部長」、へたをすると日本の「大家さん」のような役割しか期待されなくなっている。


■従来日本の強みであったことが、逆に足枷となってきている
・一業種に参入企業が多い
・自国市場が大きい
・垂直統合型事業構造
・多角化した大企業による終身雇用
・「優しい」資本市場
・正解のある教育
■ソフトウェアの開発では、「トップダウンの概念設計」「目に見える現場が存在しない」「試行錯誤が必要」といった特徴があり、従来の日本のメーカーが得意とする現場での経験が活かしにくい
■デジタル時代の「ビジネスモデル・イノベーション」に必要な七つの力
・感動する「ユーザー・エクスペリエンス」をつくる力
・「オープン化」と「ブラックボックス化」のメリハリをつくる力
・指導権を取れるアライアンスを構築する力
・もうかる仕組みを事前に設計する力
・顧客からの信頼をブランド力に昇華する力
・個別要素の強みをプラットフォームに構築する力
・優秀な人材が馳せ参じる組織力
■アップル型、デル型、インテル型の自動車会社
・アップル型の自動車メーカーは、独自の電池技術を開発し、独自の車体プラットフォームに統合した垂直統合型で、ハイエンドの電気自動車を開発する
・デル型の自動車メーカーは、電池は独自に開発せず、外部の電池メーカーから調達。そして、低価格の大量普及型電気自動車を開発する。
・インテル型モデルは、グローバルなスーパー電池企業を育成する。
■大きな変革の成功には、ガバナンスの変更が伴なう
 小泉元総理は「自民党をぶっこわす」ことを唱えたが、自民党というガバナンスは変えなかった。
■サラリーマンをオーナー化する
 社員に幅広くストックオプションを付与して、M&A以外に株価が下落すると困る状況をつくる
■日本はオペレーショナル・エクセレンスの国である。
 簡単に言えば「当たり前のことがキチンとできる」国民性のおかげで、物事の実行段階での信頼性は、世界で間違いなくダントツの1位である。
■日本の次世代のリーダーに必要な三つの力
・多様性からエネルギーを生み出す力
・全体観を持ち、問題自体を定義する力
・グローバルな仕組みの中で、日本の繁栄を図る力
■日本の企業には、悪気もなく「日本の良さを世界に」とか「日本らしさがわが社の誇り」と言っている人が多いが、それだと日本に悪い感情をいだいている人たちは集まってこない。
 逆に、日本の良いところである「顧客指向」や「品質へのこだわり」を前面に出すと、万人向けのメッセージがグローバルに響くのである。

4023308072 グローバル・イノベーション 日本を変える3つの革命
藤井 清孝
朝日新聞出版 2010-06-04

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