プラットフォーム戦略 (平野敦士カール、アンドレイ・ハギウ)

4492532749 「プラットフォーム戦略」は、以前ご紹介した「新・プラットフォーム思考」など、日本におけるプラットフォーム論の代表として知られる平野敦士さんの書籍です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 
 この本は、平野さんのプラットフォーム戦略論の集大成という感じで、様々なプラットフォーム戦略のポイントがまとめられていますので、プラットフォーム戦略について整理して学びたい方には参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■複数のグループをつなぐことで付加価値を想像することが、プラットフォーム戦略の本質
■世界初のクレジットカード会社であるダイナースカード
 レストランでの支払いに現金と小切手しか使えないという客の「不満」「不便」と、レストラン側の「新規顧客獲得」「支払いの簡便化」という「ニーズをうまくマッチングさせた
■プラットフォーム・ビジネス
・2つ以上のグループを結びつける
・あるグループは他のグループを必要としている
・グループ単独では得られない価値を創出している
・グループ間での相互作用によって外部ネットワーク効果を誘発し、新しい価値を想像する仕組みを担っている


■プラットフォームの5つの機能
・マッチング機能
・コスト削減機能
・検索コストの低減機能(ブランディング・集客機能)
・コミュニティ形成による外部ネットワーク効果・機能
・三角プリズム機能
■勝てるプラットフォームの3つの特徴
・自らの存在価値を創出する
・対象となるグループ間の交流を刺激する
・統治する
■プラットフォーム構築の9つのフレームワーク
・事業ドメインを決定する
・ターゲットとなるグループを特定する
・プラットフォーム上のグループが活発に交流する仕組みを作る
・キラーコンテンツ、バンドリングサービスを用意する
・価格戦略、ビジネスモデルを構築する
・価格以外の魅力をグループに提供する
・プラットフォーム上のルールを制定し、管理する
・独占禁止法などの政府の規制・指導、特許侵害などに注意を払う
・つねに「進化」するための戦略を作る
■「メーカー発想」と「プラットフォーム戦略発想」 
・メーカー発想:研究開発費や製造原価に利益を上乗せして発売する
・プラットフォーム戦略発想:将来の市場の拡大を予想してリスクを取る
■何でもあるということは決してプラットフォームに取って良いことばかりではありません。最近はやりのSNSでのゲームなども玉石混交状態になってきており、非常に大きな危険性をはらんでいるでしょう。
■ケーススタディと呼ばれる企業の事例研究こそが、HBSが企業との強力なパイプを拡大させている最大の理由
■プラットフォームの横暴の3つのパターン
・利用料の値上げリスク
・プラットフォーマーによる垂直統合リスク
・プラットフォーマーが顧客との関係を弱体化させるリスク
■戦略的プレーヤーの戦略検討
・独自のプラットフォームを自社またはアライアンスで構築できるか?
・既存のプラットフォームを利用する場合は1つにするか複数にするか、複数の場合にはどの順番にするか?
・1と2を組み合わせるか
・自社の競争優位性が維持できるように契約者に交渉事項を入れることができるか、機能やサービスは取捨選択できるか
・巨大化したプラットフォームには「オープンプラットフォーム」で対向することを検討
■幸いにも多くの成功しているプラットフォームは、かならずしも最初にできたいわゆる「ファーストムーバー」ではありません。

4492532749 プラットフォーム戦略
平野 敦士 カール アンドレイ・ハギウ
東洋経済新報社 2010-07-30

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