「ツイッター部長のおそれいりこだし」は、「カトキチなう」でもお馴染みのカトキチのツイッター部長こと末広さんの書籍です。
献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
正直、私自身、末広さんの話を聞けば聞くほど、カトキチのツイッター活用術は、素人が真似すると火傷する実に高度なテクニックだなぁといつも思っていたのですが、この本ではそんな末広さんがツイッターを理解していくまでのプロセスや、実際に実施した活動、さらには末広さんの過去のプロフィールまで赤裸々に開示されています。
個人的には、前半部分はこれまでもプレゼンや直接お話をお聞きして知っていた部分も多かったのですが、後半の末広さんが牛角のメニュー文章を書かれていたり、接客業から学んでいたという部分を読んで、いろんな疑問が氷解した思いでした。
会社でのツイッター活用を模索している担当者の方にとっては、必読書と言える一冊になっていると思います。
ツイッターの本質が今ひとつ理解出来ないという個人ユーザーの方にもお勧めです。
【読書メモ】
■そんなにツイッターをしていて辛くないですか?
ツイッターをすると元気になれるから毎日続けていられるのです
■ツイッターで売上が上がったんじゃないですか?
これは、正直よくわかりません。しかし、これまで冷凍うどんを食べたことのない方が、実際に召し上がってツイッターで「おいしい」と言ってくださっている事実は、これまでのコミュニケーションでは考えられない現象です。
■私がツイッターを始めた真の目的は、自社メディアを持ちたいと考えたからでした。
■インターネットは世界につながっているので、「私のこのツイートが一気に世界中に公開されてしまう」と思うと、なかなか初ツイートができません。
しかし当時は、緊張してツイートしたのに何も起こらないので、少し拍子抜けしてしまいました。
■企業の公式アカウントとはいえ、ツイッターは特に会社に申請せずに始めました。ただ、万が一にも何か問題が起きたら責任をとって会社を辞めるつもりで、胸にはいつも「辞表」を入れていました。
■最大140文字という短い文章で何かを表現するには、子供の表現がわかりやすく、親しみが持てます。
■問屋さんやスーパーさんが当社の商品を仕入れてくれないと、商品が流通しないわけです。
「魔法の言葉 置いてをスーパーさんにつぶやいてください」
■紅白歌合戦の一件の後は、私が「#」で始まるハッシュタグを付けてさまざまな番組に絡んでツイートしても、「カトキチはしょうがないか」という雰囲気になったように思います(自己評価)
■うどんをすする「カトキチなう」は、ラジオとツイッターで「うどんのムーブメント」を起こせればうれしいと考えて始めました。
うどんを食べて「カトキチなう」とツイートするという現象を定番にできればと思ったのがきっかけです。
■実は私、焼肉チェーンの「牛角」で働いていたことがあります。この牛角で積んだ接客業の経験は、ツイッター部長として非常に大きく役立っています。
常に相手の立場でものを考える、相手をVIPの気持ちにさせることなどです。
■いらっしゃいませ、こんばんは
「いらっしゃいませ」とだけ言われても、お客様は返事ができません。
「こんばんは」といえば、お客様も「こんばんは」と返すというコミュニケーションができます。
■牛角の商品の説明には、私が考えたオヤジギャグを満載しました。
考えて見れば、ツイッターでのオヤジギャグのセンスは、この時に磨かれたのかもしれません。
■ランチを召し上がったお客様に「お店からです」とデザートを提供したところ、急に評判になり始め、お店の売上が上がったのです。ほとんど同じサービスでも、サプライズにすると感動を生み、満足度があがるのです。
■「温めますか」と「温めましょうか」の違い、温める時間を考えてお弁当を先に会計するかどうかの違いなのですが、印象がぜんぜん違うのです。言葉って本当に不思議です。
■ツイッターは「対話」ではなく「会話」だと思っているので、行きつけの喫茶店で横に座っているようなイメージでツイートしています。
ツイッター部長のおそれいりこだし―お客様と築く140文字のコミュニティ 末広栄二 日経BP社 2010-09-02 by G-Tools |
■ツイッターをやると儲かるの?とよく聞かれます。
しかし、こうした(売上への)直接的な現象がツイッターの成果なのかというと、違うように思います。日本の資本主義は儲かるか儲からないかが最初にフォーカスされがちですが、これは本来の資本主義と違うのではないでしょうか。