ゼロから「新市場」を生み出す方程式 (藤田明久)

4344997387 「ゼロから「新市場」を生み出す方程式」は、D2Cの社長をされていた藤田明さんが出された書籍です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 
 D2Cというと、電通とドコモのジョイントベンチャーとして始まったモバイル広告会社。今振り返れば成功して当たり前の組み合わせという印象を持つ人も多いと思いますが、この本を読むと必ずしもそういう始まり方ではなかったことが分かります。
 実際、大企業同士のジョイントベンチャーは失敗することも非常に多いのが事実。
 ただ一方で、D2Cのように見事な成功をおさめることもできるわけで、藤田さんが提起されているように日本企業の選択肢として、改めてジョイントベンチャーを見つめ直すのは良い選択のようにも感じます。
 特に大企業の中で新事業を生み出したいと思っている方には、参考になる点がある本だと思います。 
【読書メモ】
■門前市を成す
 門前を無料で開放して、さらにさまざまなエンターテイメントやサービスを提供すれば、そこは楽しくて便利な場所になるので、多くの人が集まってくる。
■(D2Cの)創業メンバーはたった六人だ。
 出資企業であるNTTドコモ、電通、そしてNTTアドからの出向者がそれぞれ二人ずつ。この六名が、熱くてむせ返る銀座のビルの狭い一室で、現状の業務の引継ぎ作業を行ないながら、創業の準備をするという激務を余儀なくされた。
■今でも一番よく覚えているのは、孫正義氏がエクセルの表で打ち出された損益計算書を眺めては、我々が触れられたくないところを常に的確に指摘することだった。


■ゼロから「新市場」を生み出す方程式
・実績のなさを効果調査で補う
・広報活動に力を注ぐ
・業界発展に誰よりも積極的に取り組む
・営業がユーザーのことを、開発者が売上のことを考える
・言葉を創り、百回口にせよ
・アカデミックなお墨付きでキャズムを超える
・見えちゃった人が頑張るしかない
・MBAメソッドは役に立つ
■子会社ではあっても、決して独立した気風を失わない。そうした会社に育てたかった。だから、天下りも許さなかった。それができたのには、両社に防波堤となってくれた人がいたからだ。
■日本復活のキーワードは”30代の奮起”
 20代後半から30代の若者が、維新を演出し、近代化する日本、その時代を駆け抜けていったのだ。
■新市場開拓のための4つの方法
・企業内にプロジェクトを設置する
・起業する
・100%子会社を作る
・ジョイントベンチャー
■「私が社長であり続ける」。そんな「永遠はない」ということを、口にするだけでなく、身をもって示す必要があるのだ。

4344997387 ゼロから「新市場」を生み出す方程式 (経営者新書)
藤田 明久
幻冬舎メディアコンサルティング 2010-06

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