BUZZ革命 (井上 理)

4163729909「BUZZ革命」は、日経ビジネスオンラインの記者をされていた井上さんが出された書籍です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 
 タイトルを見ると、マーケティング視点の本に見えますがこの本の魅力は、最前線の記者である井上さんが実際に取材を通じてまとめた注目のウェブサービスの裏側や、ブームの背景が生々しく伝わってくる点でしょう。
 ツイッターの話が中心ではありますが、グリーの話やコロプラの話など、取材から作られた本ならではの話も出てきますので、現在のトレンドを一旦俯瞰して振り返りたい方には参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■「グーグルは、検索やキーワードに対応した「パーソナル広告」を開発し、広告の露出だけではなくクリックという行動が伴って初めて課金される仕組みを提供することで、大手の広告主に「費用対効果が測りにくく、莫大の費用がかかるマス広告に意味はあるのか」と気づかせてしまった。」(内田和成教授)
■Twitterの威力 孫正義
 「ふと気になった疑問をつぶやいただけで多くの皆さんから瞬時に答えが帰ってきた。右脳、左脳の延長として外脳を得た感じですね」
■「ツイッターが持つ、一つの大きなパワーはリアルタイム性。実況中継の醍醐味というのは、やっぱりメディアと政治の関係を帰ると思います」(山本一太議員)


■ツイッターでは、正しい情報のみが生き残り、虚偽は自然淘汰される。一方、万人の興味を惹きそうな、あるいは万人に有益だと思われる情報であるほど、クチコミによって伝播する。
■企業の中の人が直接、一人ひとりの顧客とつながり、何気ない会話を通じて心を捉え、絆を深めている。マスメディアを通じた広告宣伝と軟式アカウント、どちらの費用対効果が高いのだろうか。
■「グリーには上から順番に仕事をしなければいけないという不文律がある」
■「何十年もかけないとできないことって、いっぱいあるなと。それこそ、スティーブ・ジョブズにしろ、20~30年かけてやっと今、「iPhone」に辿り着いたという話じゃないですか。」(グリー田中良和)
■コロプラが示したモデルは、潜在顧客の注意を引き、興味関心を持ってもらい、商品を欲しいと思わせ、移動させて、買ってもらうという、消費行動の上流から下流までを垂直統合したものである。広告主はモノが売れた時点で代金を支払えば良い。
■「僕がいなくてもグリーはグリーなんだけれど、コロプラは僕がいなくなったら、無くなっちゃう。だから、辞めたんです。」(コロプラ馬場功淳)
■「消費行動の「あいだ」が抜けて、すごくスピードが速くなってきているんだと思います。今までだと、例えばテレビCMを10回見て、覚えて認知しますね。でも、そういう従来型の広告モデルは通用しない時代になってきている。だから一番大切なことは、価値がはっきりした商品開発なりサービスなりをまずやるということです」(ユニクロ勝部)
■「以前は、テレビCMに10億円つぎ込めば、ひとまず安心みたいな風潮があったのかもしれないけれど、時代が変わってきている。例えば「10億円還元します」というファクトを作るために使った方が、反響は大きいんじゃないかと思ったりしています。」(ユニクロ勝部)
■「確かにツイッターは、同じリアルタイムメディアとしては、競争相手。でも、だからこそ生放送をやっているという強みを再発見できるツールとして、我々も活用できる」(エフエム東京藤井)
■筆者はNHK_PRのつぶやきの主に会い、取材もしている。だが、残念ながらNHKの方針により、ここで素性を明かすことはできない。匿名性が人気を高めているという判断があるようだ。

4163729909 BUZZ革命
井上 理
文藝春秋 2010-08-25

by G-Tools