「オシム@愛と勇気」は、南アフリカワールドカップ大会中のオシム元代表監督のつぶやきを書籍にした本です。
献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
私自身、我を忘れるほどツイッター上で騒いでしまったワールドカップでしたが、スカパーさんが実施していたオシム監督のつぶやきのツイッターアカウントへの投稿は、試合中も並行して見させていただいた記憶に残るつぶやきでした。
個人的には、今でもオシム監督での南アフリカ大会を見てみたかったと真剣に思います。
是非、オシムさんの教え子であるストイコビッチ監督にいつか日本代表監督になってほしいと思ったりするのは、元グランパスファンの私だけでしょうか・・・?
ワールドカップの楽しい思い出に浸るだけに読むのでも良い本だとは思いますが、一般的なメディアでの取り上げ方と違った形で真剣にサッカーを考えてみたい方には、刺激になる点がある一冊だと思います。
【読書メモ】
【カメルーン戦】
■「本田を得点者だからといって持ち上げるのはよしたほうがいい。本田がひとりだけ救世主としてプレイしたわけではない。ヒーローとしてまつりあげるにはまだ早い。」
「メディアの皆さんも、今日のゴールだけで本田をヒーローだと持ち上げないで欲しい。もし明日の一面がすべて本田ということになれば、日本の未来は危ない。ヒーローは一人ではなく全員だ」との忠告にもかかわらず、スポーツ紙のほとんどは本田が一面だった。
【オランダ戦】
■「オランダ戦の録画を見て、もう一度残念がってください。」
オシムさんにいわせれば「どのように負けてはいけないかという教科書のような試合」だった。特に後半、「日本が少し怖がり、簡単に相手ボールにしてしまった」ために、オランダに主導権を渡してしまい、あの残念な失点を招いた。
【パラグアイ戦前】
■「まじめな話をしましょうか。初戦のカメルーン戦の後、日本は変わった。世界のサッカー界も日本をリスペクトし、さまざまに分析するようになった」
パラグアイも怖がっているかもしれない。それを利用してゲームの主導権を握れ。
【パラグアイ戦】
■「PK戦は誰かが失敗するまで続く。失敗者を必ず生み出す残酷なルーレットだ」
■「失敗した駒野を責めないでほしい。駒野も自分を責めないように。PK戦はサッカーではない。運が悪かったのだ」
■「相手に勝たせないサッカーなのか、自分たちが勝ちたいというサッカーなのか。」
■「足りなかったのは勇気。そして、そのためにリスクをおかしてでも得点をあげようという挑戦者精神だった。」
■「残念です。本当に残念です。こんなチャンスはめったになかったんです。」
■「選手とスタッフには、ご苦労様、おめでとうと申し上げたい。いまの彼らの心境は、想像できる。私もここに座りながら、一緒に戦っていたから」
【決勝】
■「日本には日本のやり方しかない」
スペイン初優勝を受けて、オシムさんは「日本もスペイン流のサッカーを目指すという方法はある。しかし、一晩でスペイン人に生まれ変わることはできない。あくまでも参考情報だ。日本は日本のオリジナルの道を目指す以外にはない。」
【開幕直前】
■「日本がヘタなプレーをすると私は責任を感じる。私が日本でしてきたことは無駄だったのかと思ってしまう。あるいは私がいったことが日本人には聞こえていなかったのかと思ってしまう。実はテレビでサッカーの試合を見すぎないようにとドクターからいわれている。私はこの瞬間にもリスクを冒しているわけです。」
■「リスクを冒さなければ収穫もないと繰り返しいってはいますが、選手たちは私の命の一部になっている。日本代表は私の一部なんだ。目の前にはまだチャンスがぶら下がっている。それを生かさなければ残念な結果に終わってしまう」
オシム@愛と勇気 イビチャ・オシム 文藝春秋 2010-11-26 by G-Tools |