「小さなお店のツイッター繁盛論」は、豚肉料理の豚組の店長としてもお馴染みの中村仁さんが出された書籍です。
以前からONEDARI BOYS等でお世話になっている関係で、興味があったので買って読んでいたのですが、遅ればせながら書評抜き読書メモを書いたので公開させて頂きます。
いわゆるツイッターのマーケティング活用というと、大企業の活用がメディアの注目の対象になりがちですが、実はツイッターの活用が最もビビッドに業績に反映されるのは豚組のようないわゆる「小さなお店」です。
なにしろ、いままで店舗というのはお客さんに店舗に来てもらわないと接客もコミュニケーションも不可能だったのが、ツイッターによって店舗以外の場所にいるお客さんともコミュニケーションを取れる可能性があるわけですから。
この本ではそんな小さなお店にとってのツイッターの可能性や実際の手法が詳細に解説されていますので、企業のツイッター担当者の方には非常に参考になる本だと思います。
「ビジネス・ツイッター」や「ツイッター部長のおそれいりこだし」と合わせて読むと、企業の業種や規模によるツイッターの使い分けが明確になりますので、この三冊は企業のツイッター活用における必読書と言えるかもしれません。
【読書メモ】
■今や、豚組しゃぶ庵にツイッターを経由してご来店されるお客様の数は、次ページの図のように総客数の1割を超えた。売上に換算すると、月に300万円にも及ぶ。
■今後の外食マーケットは、ごく一握りの圧倒的に強いチェーン店を除き、「個店」が主役となるはずだ。
■パレートの法則
下位80%を占める「一見さん」に働きかけるより、上位20%の「常連さん」の層にアプローチしたほうが商売としてははるかに効率がよい
■しかし、この業界ではなぜか、常連さんよりも「新規顧客の獲得」を重視する傾向がある
■飲食店にとってのテレビ出演は短期的には営業に大きくプラスになるものの、そこでの対応を間違えると長期的にはマイナスになることすらある
■豚組にツイッター経由でご来店された方の再来店率は、現時点で何と50%を超えている。
■勝手口アカウント(@butagumiが表玄関、@hitoshiが勝手口)
ツイッター経由で予約を入れてくださっている方の割合で見ても、@hitoshi経由が8割以上
■軟式アカウントと勝手口アカウントの違い
現在の軟式アカウントは「量」を求める傾向にある。彼らが目指すのはブランディングだ。したがって、軟式ではフォロワーの「数」が重要になることが多い。
しかし、普通の飲食店であれば、そんなに大量のユーザーとからむ必要はない。むしろそこで重要なのは、コミュニケーションの「質」であり「深さ」だ。
■勝手口アカウントの持つ「距離感の近さ」「身内間」「プレミアム感」「共感」「ライブ感」を、どのようにツイッター上で実現していくか。
それができるなら、そのアカウントは社長がやらずとも、店長さんでも一般の社員やアルバイトでも、誰が運用しても良い。
■今まではお店に来た2時間(とは言っても実質的にお話ができるのは長くて5分程度)がお互いを理解し合う唯一のチャンスだったのが、ツイッターでそれがいつでも可能になったのだ。これは驚くべき変化だ。
■役割の変化
・過去 店舗(知る、覚える、理解する、共感する、信頼する、絆を結ぶ)
・現在 グルメサイト(知る)店舗(覚える、理解する、共感する、信頼する、絆を結ぶ)
・将来 ツイッター、グルメサイト(知る、覚える、理解する、共感する)店舗(信頼する、絆を結ぶ)
■@hitoshiでも、ここまで多くの方々と深い絆を築きあげるのには2年近くを要している。
■私たちはツイッターでも自ら「豚組ですよ!豚組に来てね!」などと宣伝するようなことは決してしない。それよりも、ユーザーがお店に来たときに、「豚組なう」と自発的にツイッターに書きこんでくれることを大切にしてきた。
■時間帯を工夫する
・お昼前、退社前の時間
・月末は避ける
・夕方以降
・隙間時間
・週末の午前中
■AIDTFRモデル
・認知(Attention)
・興味(Interest)
・欲望(Desire)
・来店(Trial)
・友情(Friendship)
・推薦(Recommendation)
※すべてのステージにおけるツイートが認知向上につながる
■炎上したらどうしよう
飲食店では昔から「クレームをピンチではなくチャンスに変えよう」と言われてきた。クレーム処理を通じて、いかにしてそのお客様をお店のファンに変えていくような対応ができるか、まさに、クレームの処理に関して私たちはプロ中のプロなのだ。
■勝手口アカウントを併用する利点
・公式アカウントの運用の難しさを解決する
・親近感やプレミアム感を出しやすくする
・担当者が本気を出しやすくなる
小さなお店のツイッター繁盛論 お客様との絆を生む140文字の力 中村 仁 日本実業出版社 2010-06-24 by G-Tools |