成熟期のウェブ戦略 (野尻哲也)

453249091X 「成熟期のウェブ戦略」は、ウェブサービスの戦略について考察した書籍です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 この本では欧米圏と日本の違いや、Yahoo JapanとGoogleの違いなど、日本人の著者ならではの視点でウェブ産業の戦略について考察されていますので、ウェブサービスを運営されている方には参考になる点がある本だと思います。
【読書メモ】
■市場のライフサイクル(マイケル・ポーター「競争の戦略」)
・導入期 感度の高い顧客を巻き込め
・甘く、儚い成長期
・成熟期は熟れた果実
・衰退期のイノベーションとM&A
■成熟期の競争上の3つの課題
・まず、競合他社に対して差別化すること
・次にフォロワー戦略への対策を練ること
・そして固定化するシェアをひっくり返す一手を打つこと
■欧米サイトと日本語サイトの違い
・英語はSVOCを基本として論理的・構造的に文法が構成される
・日本語は主語が欠けても文章が通じるなど、より感性的な文法
 日本では割とごちゃごちゃとしたデザインのサイトが好まれる


■Yahoo! JapanとGoogleの違い
・Yahoo テレビや雑誌のように”受動的に”楽しめる構成になっている
・Google ユーザーが”能動的に”情報を検索し利用する
 現時点では、Yahoo!の方が日本人ユーザーの多くに好まれている
■3つのプラットフォーム
・インデックス:検索やポータルサイトなど情報やコンテンツを集約する
・CGM:利用者のボランたリティを活用して情報やコンテンツを集約・生成する
・EC:物販のように金銭的な決済を伴う商品やサービスを集約する
■ソーシャルコマースは、今後ECサイトが”価格の安さ”以外の付加価値を利用者に示すことができる有効な手段となるかもしれません。
■有料モデルの3つの成立要件
・提供する情報やコンテンツが投資性、もしくは快楽性の高いものであること
・お金を払うことで利用者がリスクを回避できること
・既存の方法で購入するよりも費用・手間が少ないこと

453249091X 成熟期のウェブ戦略―新たなる成長と競争のルール
野尻 哲也
日本経済新聞出版社 2010-12-22

by G-Tools