「メッシュ」は、副題に「すべてのビジネスは〈シェア〉になる」と入っているように、いわゆる「シェア」的な現象について考察している書籍です。
献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
小林さんが監訳に携わった「シェア」が話題になったこともあり、今年のテーマの一つは「シェア」というキーワードだと思いますが、この書籍ではそういった「シェア」という現象をメッシュという網目状のつながりという視点から考察されています。
シェアというキーワードが一人歩きすると、単純に一人一人のシェアをイメージしてしまうかもしれませんが、トップダウンの文化に慣れている方だと意外にシェア現象の本質が理解できない気がしています。
実際にはインターネットという網目状のネットワークの発展により現在のボトムアップでのシェアの現象が発生し、社会に大きなインパクトを与えているのでメッシュという視点は非常に本質的だと思います。
これからインターネットやソーシャルメディアが引き続き起こしていくである変化について真剣に考えたい方には参考になる点が多々あると思います。
【読書メモ】
■メッシュ・ビジネスの特徴
・核となる提供物が、一つのコミュニティや市場、価値連鎖の中で「シェアされる」
・利用状況を追いかけ、顧客データや製品情報を集計する
・シェアできる有形のモノに重点が置かれている
・クチコミで伝えられ、SNSによってより広範囲に伝達される
■フル・メッシュ
シェアするものに資本を投資し、情報ネットワークを利用した小規模な貸出を仲介することで利益を得る
■オウン・トゥ・メッシュ
モノを所有している人がシェアする相手を簡単に見つけ、シェアによって利益を得るようなプラットフォームをつくる
■価値を生む信頼の輪
顧客から学び→試し→実行し→顧客を引き込む
■企業が顧客に在庫品を押しつける時代は完全に終わった(引き寄せる力)
代わって企業は、顧客が欲しいときに、欲しい場所で、望むやり方で商品やサービスを提供するようになるだろう
■マーケッターを脅かすのは消費者の力ではない。一人のキュレーターが何百万もの消費者に与える影響力なのだ。
■メッシュ・ビジネスはコミュニティのなかでの情報の流れと人と人との交流を活発にし、豊かな社会経験が得られるように手助けする。
■メッシュのデザイン
・耐久性がある
・汎用性がある
・修理可能
・持続可能社会に貢献する
■フラッシュ・ブランド
供給を限定し、必要な時間と場所を確保して情報を提供することで、フラッシュ・ブランドは「今だけ」「そこだけ」「あなただけ」に商品やサービスを提供しているという特別な感じを持たせるビジネスが可能になる
■メッシュはメーカーが顧客からより有益な情報を得ることができる
・メッシュ・ビジネスはトランザクションを繰り返すことで、売っておしまいの商売よりも顧客情報をより多く集められる
・メッシュ企業は従来の小売企業よりもすぐれたデザインに対する関心が高い
・メッシュ・ビジネスはメーカーから直接、大量にコアとなる商品を購入する。
■トライバタイジング(お試し宣伝)
潜在市場の声を聴いて製品を向上させるためか、もしくは単純に市場が新しいツールやサービスを単に使いたいだけでなく、所有したいと思っているかどうかを決定するために利用される
■信頼回復のための一般ルール
・注意を怠らない
・すぐに対処する
・大胆なまでに正直であれ
・パニックにならず、大局的に考えよう
・ネットワーク上の人々に特別な注意を払おう
メッシュ すべてのビジネスは〈シェア〉になる リサ・ ガンスキー 実川 元子 徳間書店 2011-02-17 by G-Tools |