iCloudとクラウドメディアの夜明け(本田雅一)

4797367008 「iCloudとクラウドメディアの夜明け」は、タイトル通りクラウドの未来について考察されている書籍です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 この本では、ソニーとアップルの戦略を軸に、クラウドの将来が考察されており、クラウドの未来を考えている方には参考になる点がある本だと思います。 
【読書メモ】
■iCloudはふたつの側面を持っている
・個人が利用する”データ”をインターネットの中にたったひとつしかない情報倉庫で保管し、それをあらゆるデジタル機器で活用する”情報リポジトリ”としての使い方
・iTunesによって成し遂げてきた、さまざまな分野におけるデジタル配信事業を引き継ぎ、デジタル配信からクラウドメディアへの道筋をつける機能も盛り込まれている。
■「アップルはすでに自分たちの世界を作りだしている。同じことをやって、正面からぶつかっても、得意なハードウェア製品の品質で勝負することはできない」
 (ソニー・平井氏)


■キュリオシティの狙い
 ソニーが持つ、他社にはないデジタルコンテンツを生み出す力、ありとあらゆる種類のデジタルエンターテインメントデバイスを世界中で販売していることの強み。それらによって、ソニーが提供するデジタルコンテンツのバリューチェーンを完成させることで、ソニーグループのパフォーマンスを引き出す。
■大事なことは、アップルがパソコン業界を飛び越えて、幅広い利用者層に訴求する準備を整えることができたことだ。一方、ソニーはグループ企業に音楽レーベルを持っていたこともあり、音楽流通利権を持つ”体制側”として、革新派や若年層の利用者に嫌われてしまった。
■所有から使用への価値観の変化
 ”何かを購入して所有している”のではなく、”何らかの価値を使用する権利がある”という感覚への変化は、これまでも消費者が自然に望んできたことだ。
■ネットフリックス人気
 全米のインターネットに流れるデータ量全体に対するネットフリックスの割合が22%を超えている。これはユーチューブが使っているデータ量の2.5倍で、全てのウェブアクセスよりも多いのはもちろん、米国で広く使われているP2Pデータ転送ソフトのビットトレントが使っている総転送量(21%)も超えている
■米国のネットフリックス会員は、2011年第1四半期のデータで2280万人。
 わずか1年で会員数を倍増させたのは、デジタル配信サービスによるところが大きいと思われる。
■映像コンテンツのレンタル事業は、まるまるクラウド型のデジタル配信になっていく。切り替わりのタイミングは、単純にタイトル数の問題でしかない。

4797367008 iCloudとクラウドメディアの夜明け (ソフトバンク新書)
本田 雅一
ソフトバンククリエイティブ 2011-08-19

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