「メディア化する企業はなぜ強いのか」は、「新世紀メディア論」などの著書でも知られる、こばへんこと小林弘人さんの書籍です。
献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
この本では、これまで様々なメディアの立ち上げに携わってきた小林さんならではの視点で、企業のメディア化について考察されています。
企業のメディア化の重要性というのは、トリプルメディアの分類が行われるようになってから改めて強調されることが多くなっているように思いますが、一方であまり体系的に自社メディアの部分を掘り下げている本はなかったように思います。
そういう意味でこの本は、自社のメディア化の可能性について真剣に考えたい方には、参考になる点が多々ある本だと思います。
【読書メモ】
■核になる話は、実はかなり普遍的なこと
それは80年代インターネットが無かった頃からあまり変わっていません。
ひとつの形にこだわらず、あらゆる情報配信とその特徴にあわせてコミュニケーションの方法論を変えること
■ユーザーとの絆を深める究極のマーケティング
・企業自らがかつての出版社や放送局のようにメディア化
・自社の伝えたいことをコンテンツ化して発信
・それをソーシャルメディアの波に載せてユーザーに届ける
■コンテンツ・キュレーション・マーケティング
・アグリゲーション:オンライン上から、特定のテーマに沿って情報を集めてくる
・ディスティれーション:オンライン上に散らばる情報からエッセンスを抽出し表現を単純化し、て提示す
・エレベーション:ツイッターのようなつぶやきのなかから、大きなトレンドを掴み提示する
・マッシュアップ:古い概念でも新しい視座を与え、その意義や文脈内の配置を変える
・クロノロジー:ユーザーの理解のために時系列に構成する
■情報配信リレーの溝
第一の溝:ソーシャルメディア最適化が上手くいかなかった場合、メディア・クラウドに情報を伝達することができない
第二の溝:メディア・クラウドで話題になっても、マスメディアのレーダーが察知するまでに至らない
■経営者のニーズ
・ライフタイムバリュー:ターゲット別の既存顧客を新たなサービスに誘導したい
・リードジェネレーション:新規の見込み顧客を開拓したい
・カスタマーリレーション・マーケティング:直接的に自社顧客を囲い込みたい
・ブランデッド・コンテンツ・マーケティング:自社の優位性を認知させたい
・ダイレクト・レスポンス・マーケティング:営業を支援したい
■企業メディアのキラーコンテンツというのは、とにかく、ユーザーメリットに富んだ情報
■フォーキャスト型メディア戦略
メディアのタイムマシン経営
■「悪口ばかり書かれやしないか?」
悪口も言われるだろうけれど、それよりも評価してくれる人たちの声を可視化し、そんな人たちにもっとメリットを付与したいとは思わないのですか?
今は、それら評価をしてくれる人たちをよりエンパワーし、さらに自社の応援団になってもらうことが重要になったのです。
■AISASからARLASへ
・Awareness
・Recommendation
・Like It!
・Action
・Share
■多くの日本企業が行うマーケティングは「上司説得型マーケティング」
その製品は本当に売れるのか?という上司らからのプレッシャーに対し、説得材料としてかき集められたありきたりなデータが羅列されていくだけ
■流行だから何かやりたい「冷やし中華始めました的マーケティング」
対話は、始めたら最後「(そろそろ秋だから)やめました」というのでは成立しません。
メディア化する企業はなぜ強いのか? ~フリー、シェア、ソーシャルで利益をあげる新常識 (生きる技術!叢書) 小林 弘人 技術評論社 2011-11-29 by G-Tools |