Facebookページや公式Twitterだけが流行っても日本はそんなに変わらないけど、ソーシャルメディアの弱点を理解してくれる人が増えればきっと変わるはず。 #sms2012

 昨日、ご紹介した3月9日に開催するソーシャルメディアサミット2012ですが、主催者として、今回のサミットの各セッションにかけた思いと、登壇頂くパネリストの方々のご紹介を順番にしておきたいと思います。
 まずご紹介するのは、一番最初のセッションとなる「ソーシャルメディアの弱点 徹底討論」。
 今回のソーシャルメディアサミット2012の個人的なテーマは昨日書いたように「ソーシャルメディアのバブルと成功事例の境界線」ですが、まずは可能性の話ではなく、あえて弱点の話から抑えることにしました。
 最初のセッションにパネリストとして登壇頂くのはこちらの方々です。
sms2012_session1.png
 
 見て頂ければ一目瞭然だと思いますが、博報堂メディアパートナーズの森永さんと電通関西の中尾さんという総合広告代理店のお二人と、博報堂/電通でキャリアを積まれた高広さんという総合広告代理店系のお三方にあえてパネリストをお願いすることにしました。
 一昨年のツイッターブームや、昨年のFacebookブームを通じて、ソーシャルメディアのメリットは企業担当者や広告代理店の方々にもかなり浸透してきたように思います。
 ただ、一方で、炎上のリスク以外のソーシャルメディアのデメリットはあまり議論されることがなかったように感じています。
 その結果、ソーシャルメディアに対する期待ばかりが先行してしまい、実際に初めて見ると期待と異なる結果が出て一気にソーシャルメディアへの期待がしぼんでしまうというのが最近増えてしまっているパターンではないでしょうか。
 このセッションのタイトルの「ソーシャルメディアの弱点 徹底討論」というのは、ソーシャルメディアに対してネガティブなワードに聞こえてしまうかもしれません。でも、実は「ソーシャルメディアの弱点」を理解することができれば、それをどうやって乗り越えることができるか考えることができます。
 そういう意味で、ソーシャルメディアの弱点の把握というのは、個人的には必須のプロセスだと感じています。
 今回ご登壇頂くお三方は、そんな中、ソーシャルメディアの可能性も感じつつ、ソーシャルメディアの弱点もしっかり把握されている方々で、その弱点をマスメディアやリアルの施策などと組み合わせて超えるように工夫をされている方々です。
 私の言葉で説明するよりも、それぞれのパネリストの方々のインタビューをここでご紹介しておきましょう。


 まず高広さんのインタビューはこちら、
広告業界とメディア業界にあるさまざまな「ギャップ」を埋めたい
sms2012_takahiro.png
 このインタビューにあるように、様々な業界のギャップを埋める、というのは高広さんが一貫して言っているフレーズで、上記のインタビューは昨年のモノですが、2009年1月のインタビューでも同様の趣旨の発言をされています。
 個人的にはAMNのパートナーブロガーとしてもお世話になっていますし、今回の「ソーシャルメディアの弱点」というテーマを議論する上では欠かせない方です。
 高広さんをツイッターだけで見ている人は、どれだけ怖い人なんだろうと勘違いしている人も多いかもしれませんが、個人的には高広さんは「広告」を本気で愛しているからこそ、中途半端に「広告」を語る人を許せない人なんだろうなぁと思っていたりします。(とか勝手に書いてるとまた怒られてしまうかもしれませんが)
 もちろん、ツイッターだけでなく、ブログブーム以前からブログを書かれている上に、「フェイスブックインパクト」の共著者としても知られており、ソーシャルメディアへの造詣も非常に深い方です。
 
 次に森永さんのインタビューはこちら
社会システムは次のステップへ。震災後の広告業界とソーシャルメディアはこう変わった!
sms2012_morinaga.png
 このインタビューを呼んで頂ければ伝わると思いますが、森永さんは博報堂DYメディアパートナーズという総合広告代理店の中にいながらも、おそらく日本で一二を争うソーシャルメディア博士だと思います。
 TwitterやFacebookだけでなく、mixiやニコニコ動画のような国産ソーシャルメディアも詳しいですし、インタビューにあるようにマスメディアや広告代理店との組み合わせも俯瞰的に捉えられる方で、個人的には日本のシャーリーン・リー(企業のソーシャルメディア活用のバイブルともいえる「グランズウェル」や「オープンリーダーシップ」の著者)と思ってます。
 正直、森永さんと話していると、自分がソーシャルメディアの専門家の顔をしているのが恥ずかしくなるほどです。
 
 最後に中尾さんのインタビューはこちら
AKB48・江口愛実はなぜ生まれたのか――グリコ「アイスの実」CMの仕掛け人、電通関西・中尾氏が語る
sms2012_nakao.png
 まぁ、画像を見て頂ければ一目瞭然だと思いますが、中尾さんは昨年非常に話題になったグリコアイスの実のキャンペーンで、AKB48の江口愛実の仕掛け人となった方です。
 私自身、日経ビジネスオンラインでも考察記事を書かせて頂きましたが、個人的には昨年のアイスの実のキャンペーンは、マスとソーシャルの組み合わせの好例という点で、昨年最も印象的なキャンペーンでした。
 中尾さんとお会いしたのは、実は広告系のイベントではなく、私が審査員をさせて頂いたPRアワードグランプリの会場でプレゼンターをされていた時なのですが、広告やPR、そしてソーシャルメディアの垣根を越えた施策を意識されていたのが非常に印象に残っています。
 
 当然、ソーシャルメディアへの姿勢や考え方は、三者三様だと思いますし、当日の議論がどういう方向に転がるのか、今から全く予想がつかないのが正直なところではあるのですが。
 広告という領域から、ソーシャルメディアの可能性を真剣に考え、見極めてこられた三人だというのはパネリストのキュレーターである私も胸をはって言えますし、だからこそソーシャルメディアの弱点やデメリットについても、厳しい指摘を当日はして頂けるはずです。
 私のようなネット業界中心の人間は、とかくソーシャルメディアだけでなんとか成果を出そうと視野が狭くなってしまいがちなのですが、利用率が多く見積もっても3割程度と言われている日本で、ソーシャルメディアだけで大きな変化を生み出そうというのはやはり元々無理があります。
 そういう意味で、現時点での日本のソーシャルメディア活用で大事なのは、ソーシャルメディアの限界を認識して、マスメディアやオフラインなど他の手段と組み合わせることでソーシャルメディアの可能性を最大限引き出そうとするアプローチだと感じていますし、個人的には、こういうソーシャルメディアの弱点を知り尽くした方々が広告業界や企業担当者に増えれば、きっと日本ならではのソーシャルメディアの可能性や活用法というのが見えてくるのではないかなと感じています。
 ということで、パネリストのお三方に聞きたい質問がある方は、 #sms2012 をつけてツイッターに投稿しておいて頂ければ幸いです。当日参加された皆さんの刺激になる議論になるよう、がんばってモデレートしたいと思います。
■ソーシャルメディアサミット2012のお申し込みや詳細の確認は下記のページからお願いします。
ソーシャルメディアサミット2012