LINE なぜ若者たちは無料通話&メールに飛びついたのか?(コグレマサト、まつもとあつし)

4839944881 「LINE なぜ若者たちは無料通話&メールに飛びついたのか?」は、タイトル通りLINEのブームについて考察されている書籍です。
 献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 この「LINE なぜ若者たちは無料通話&メールに飛びついたのか?」では、コグレさんとまつもとさんの共著という形で考察が展開されています。
 過去のTwitterやFacebookのブームは、アーリーアダプターから、週刊ダイヤモンドやNHKの特集という形でブームが展開しましたが、LINEで興味深いのはメディアが報じる前にすでに普通の人たちにムーブメントが届いてしまっていたという点。
 この書籍ではその背景について、著者の考察に加えて様々な有識者や関係者にインタビューを行うことで立体的な分析がされています。
 先日の北朝鮮のロケット発射の通知をいち早くLINEで行った内閣広報室のLINEアカウントの立役者であるいしたにまさきさんのインタビューや、iモードとLINEを比較した形での夏野さんのインタビューなど、なかなか興味深いところです。
 私自身も、「mixiのプライベートグラフ戦略が正しかったということが、LINEによって証明されたという仮説」や「LINEにユーザーを奪われるのを今心配すべきなのは、FacebookやTwitterのようなSNSではなく、携帯メールを提供する携帯電話事業者ではないか。」などのブログ記事を書く過程でいろいろLINEについては調べてきたつもりでしたが、それでも知らない話がたくさん含まれていました。
 未だにLINEブームの本質がピンとこないという方は、是非この本を読んでおくことをオススメします。
【読書メモ】
■月間のアクティブユーザーは、86.1%
■私の友だちリストはIT系の友人が多いのですが、実はタイムラインの活用しているのは、どちらかというと非IT系の友人です。
■最初にLINEに飛びついたのは、アーリーアダプターではなく、ブームを中盤以降にキャッチするような、いわゆる”普通”の友人たちでした。


■LINEによる会話の手軽さ、気軽さというのを経験してしまうと、あらたまってメールでやり取りするのが手間に感じられてきてしまいます。
■「Twitterとの最大の違いは、配信する情報の数の差ですね。Twitterは、日によっては1日数本を流すのに対して、LINEは週に1~2回が限度かなという話ですね。」(内閣広報室 IT広報アドバイザー いしたにまさき氏)
■「あまりに短期間で広まったので、潮が引き出したときに一気に冷めてしまうのでは、という懸念はあるにはあります。一気に熱量が上がると冷めるのも早いですからね。」
■LINEの現在のメインユーザーとポイント
・スマートフォン中心でパソコンを普段は使わないような若者が中心
・スタンプを使ったカジュアルでエモーショナルなコミュニケーションを好む
・アドレス帳のマッチングを通じて毎月500万人以上の増加を続けている
■世帯では約75%と高い所有率があったノート型パソコンも、自分専用となると34.5%と少数派になります。
■「サービスの性質を決めるのは、その設定がデフォルトでどうあるかどうかです。多くのユーザーは設定のチューニングなんてしないし、オプションなんて使わないですし。」(NHN 舛田氏)
■「よくFacebookとLINEはコインの表と裏だと言っているんですが、パブリックな場が広がれば広がるほど、クローズドなコミュニケーションの場が求められるよね、と。ただ、クローズドでプライベートなことは日常で行われていて、インターネットサービスにする必然性はこれまでなかったんです。」
■「元々のLINEのコンセプトとして、必要以上の情報は持たないという思想でやっています。カジュアルでなければいけない。だから、性別、年齢を入れるのは極力したくないんです。」
■「LINE自体、無料通話とメッセージというパッケージにはなっていますが、多く使われるのはメッセージなんですね。」
■「例えばコーポレートロゴをスタンプにしたいというお話はたくさんいただきます。でも、それはユーザーが使わないと思うんです。たとえお金をいただいたとしても、企業ブランドのためだけに場を提供する気持ちは1ミリもないんです。ユーザーが得することをやってくだし、と。ではないと、意味がないです。」
■OTT(Over the top)
 キャリアの枠組みを超えるサービス
■タイムラインは、LINEチャンネルの利用状況を友だち同士で共有するのが第一の目的であるようにも筆者は考えます。
■LINEが急速に支持を広げた背景には、既存のソーシャルメディアが避けることが難しい課題とLINEが無縁だったことも大きく関係しています。
■「ユーザーからすればゲームはココ、ナニナニはココと決めて使っているので、そういう意味ではLINEならではのアプリをこれから出していけるかが鍵だと思うんです。」(夏野氏)
■「出会い系がいけないと言われているのは日本だけなんです。よく考えたら何でいけないのか分からないんです。渋谷でナンパするのと、mixiで出会うのと何がいけないのか分からないんですけれど、日本だけが特別倫理上の話をするんですね。」

4839944881 LINE なぜ若者たちは無料通話&メールに飛びついたのか? (マイナビ新書)
コグレ マサト まつもと あつし
マイナビ 2012-11-27

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