「ビッグデータの覇者たち」は、ビッグデータ時代の未来について海部さんが紹介されている書籍です。
献本を頂いていたのですが、遅ればせながら書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
昨日ご紹介した「データサイエンティスト」は、ビッグデータ時代における我々個人が必要とされるスキルをテーマにした本ですが、こちらのビッグデータの覇者たちは、俯瞰的視点でビッグデータ時代の未来について考察をされている本です。
特に日本でもよく話題になるビッグデータの可能性の裏側にあるプライバシー問題の実害と気持ち悪いという感覚的な問題について海部さんならではの視点で考察されていますので、一度全体の構造を把握したい方には参考になる点がある本だと思います。
「データサイエンティスト」や「データ・サイエンティストに学ぶ「分析力」」と合わせて読むのもお勧めです。
【読書メモ】
■ビッグデータとは
人間の頭脳で扱える範囲を超えた膨大な量のデータを、処理・分析して活用する仕組み
■ソーシャル+モバイルのチャンネルからクラウドに流入するデータは、究極の有機的データであり、作成者の人間関係・属性・居場所など、あらゆる「プライバシー」要素がてんこもりです。
■究極的にはビッグデータの活用がユーザーのためになる、さらにそれゆえに、コストを下げ、利益を上げることができる
■ネットを通じたコミュニケーションというのは、近代になって分化した「個人間の通信」と「マスコミュニケーション」の中間にできた新しい分野だと考えており、例えば、通信を「赤」マスコミを「青」とすれば、両者を混ぜ合わせた「紫」になると認識しています。
■今や、ネット企業ならばなんらかの形でビッグデータにコミットしているのが当たり前、「ビッグデータにあらずんばネット企業にあらず」ということになりますね。
■プライバシー問題の実害と気持ち悪さ
・軽度の実害
・スパム問題
・隠しておきたい事実が表に出て、噂になる
・重度の実害
・ストーカーやネットいじめ、詐欺や盗難などのターゲットになる
・隠しておきたい事実、家族や健康上の問題が表に出て、就職や結婚の障害になる
・政府等の団体が個人を監視し、危険人物とみなされるなど抑圧を受ける
■不気味の谷
機会があまりに未熟で、人間からかけ離れていればどうということはないのに、技術が洗練されて人間に近くなると、気持ち悪い、と感じられる(コンピュータが仕事を奪う:新井紀子)
ビッグデータの覇者たち (講談社現代新書) 海部 美知 講談社 2013-04-18 by G-Tools |