「データ・サイエンティストに学ぶ「分析力」」は、最近のデータサイエンティストブームの火付け役ともいえる書籍です。
献本を頂いていたのですが、遅ればせながら書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
「データサイエンティスト」というキーワードは、ここしばらくマーケティング業界では頻繁に聞くようになってきましたが、これからのマーケティングにおいては必須の職種になってくると感じています。
個人的には自分の会社の会社名が「アジャイルメディア・ネットワーク」ということもあり、最後に出てくるデータを活用することで実現できる「アジャイルマーケティング」というキーワードも非常に気になりましたが、様々なデータを取得することが可能になったことにより、マーケティングの現場の考え方が根本的に変化し始めているのを感じます。
実際、「アンバサダーマーケティング」のようなコンセプトも、こうしたデータ分析が組み合わさることで間違いなく急速に進化していく手応えがあります。
データという単語を聞くと食わず嫌いで逃げてしまいたくなる、文系人間な私のような人こそ、読むべき一冊といえると思います。
「グランズウェル」や「エフェクト」と合わせて読むのもお勧めです。
【読書メモ】
■手元にあるのに気づいていないデータを活用すれば、売上とROIを同時にかつ劇的に上昇させることができる
■改善が可能になった理由
・最近のめざましい技術革新によって、顧客の行動に関するあらゆるデータが分析可能になり、そこから彼らの購買パターンを把握・予測できる
・いまやあらゆる行動からデータが生み出されるようになったことで、ビジネスに関係する人々の姿を完璧に捉えることが可能になった
■バリュースペクトラム・モデル
価値と愛着度の二軸で顧客を分類
■顧客生涯価値の3つの要素
・現在価値
・将来の売上の増減
・関係が続く期間の長さ
■IBMはオンライン上の会話を調査し、同社のテクノロジーがいかに素晴らしいかを話している人がほとんどいないことに気づいた。その代わりに「テクノロジーが可能にする素晴らしいこと」について話されていたのである。
■月曜日の朝にすること
・顧客に「なぜ自分たちから買うのか」を尋ねてみよう
・潜在的ニーズのリストができたら、顧客にとって何が最も重要かを見極めよう。
・ひとたび顧客が望むものを理解したら、それを念頭において製品やサービスを開発すること
■インフルエンサー
・その人物が作りだしたコンテンツが、人々の反応を引き出している
・人々の反応から会話が生まれている
・会話の中でフォロワーたちが、インフルエンサーの使う言葉を使っている。
■ハイブリッド型アプローチ
・人には数値データと主観・直感を混ぜ合わせる力がある
・いったん投資/回収曲線を作成すれば、より科学的な最適化が行える
・検討過程をオープンにすることで、周囲の協力を集めやすくなる
■マーケティング投資を最適化する作業
・マーケティング関連の支出とその結果に関するデータを様々な情報源から集める
・集めてきたデータを集約する
・統計モデルを作成する
・最適化する
・シナリオプランニングを行う
・ダッシュボードと管理システムを作成する
・戦略立案を支援する
■SMARTな目標設定
・具体的(Specific)
・測定可能(Measurable)
・達成可能(Achievable)
・現実的(Realistic)
・時間設定(Time based)
■消費者とコンテンツの関係を測定するフレームワーク
・接触:リーチ数、インプレッション数、購読者数
・反応:クリック、参照数、視聴率
・交流:ダウンロード数、新規購読者数
・参加:会員数、投票数、コメント数
・議論:意見数、外部ブログのコメント数、トラックバック数
・支援:当該トピックを議論しているブログの数、アクティブメンバーの割合
■ラストクリック帰属メソッド
売上の全体を、売上の直前に起きた行動に起因するものと考えてしまったら、検索エンジンに角の評価を与えてしまうことになるだろう
■A2Aフレームワーク
・分析
・テスト
・共有
・実行
・データ
■データとプライバシーの4つの要素
・説明する
・情報を公開する
・消費者が決定できるようにする
・データが安全な環境に置かれることを保証する
■アジャイルマーケティングの5つの本質
・感度を高める
・適応する
・学ぶ
・素早く動く
・フィードバックを繰り返す
データ・サイエンティストに学ぶ「分析力」 ビッグデータからビジネス・チャンスをつかむ ディミトリ・マークス ポール・ブラウン 馬渕邦美 日経BP社 2013-02-28 by G-Tools |