NTTグループ、公衆無線LANサービスのインフラを統合 – CNET Japanを読んで。
7月1日には、ソフトバンクBBが2002年5月からの3年を越える長期にわたった試験サービスをようやく終了して商用サービス開始を検討する旨のリリースを出していたと思ったら、今度はNTTグループが複数あって分かりづらかった公衆無線LANサービスのインフラを統合するというニュースです。
(ただ、よく読むと最大のスポット数を誇っているはずのNTTコミュニケーションズのホットスポットは別のようなので、NTTグループで完全統合というわけではなさそうですが)
ソフトバンクの商用サービス開始に当たっては、Broadband Watch編集部ブログで甲斐さんが、「先ごろ発表されたライブドアの公衆無線LANサービス「D-cubic」の影響があったのでしょうか」と書かれていますが、ライブドアが公衆無線LANサービスのD-cubicを発表してからはや一ヶ月がたとうとする中、確かにどう見ても刺激を受けたとしか思えない展開ですね。
何しろ公衆無線LANサービスの事業開始ブームが通信事業者を中心に巻き起こったのは、もう3年も昔の話。
ライブドアのリリースまでは、公衆無線LAN業界はほとんど無風に近い状態が長いこと続いて来ましたから、このタイミングでソフトバンク、NTTグループと動きが出てきているというのは誰がどう見てもライブドアの影響でしょう。
ちなみに、海外では世界の公衆無線LANサービスをまたいで使えるBoingoという事業者がSkypeと提携しモバイルIP電話サービスを発表して注目を浴びていたりもしますし、ここに来て俄然公衆無線LANサービスが熱い感じですね。
まぁ、斜めに見れば今回も3年前と同様、話題だけに終わってしまう可能性もあるわけですが、公衆無線LANサービスに個人的にちょっと期待してしまうのは、やはり標準規格がすでにある程度成立している点。
現在の日本の携帯電話事業は、基本的に端末からサービスまで垂直統合型で一社提供になっていますから、キャリア毎に利用者は完全に取り込まれてしまうものです。
ところが、これが公衆無線LANサービスであれば、利用者が利用する端末は事業者独自のものではなく、業界標準に準拠したものを柔軟に利用することが可能。
同じ端末で違う事業者のサービスに手軽に変更したり、複数のサービスを併用するということが可能なわけです。
例えば、NTTドコモの利用者が、今使っている電話番号や携帯電話端末、それに利用しているサービスそのままにauに変更することはできません。電話番号は来年ナンバーポータビリティによって移動が可能になりますが、しばらくは端末等は事業者独自という路線のままでしょう。
それが、公衆無線LANサービスの場合には、仮にライブドアのD-Cubicを使ってSkypeで電話サービスを利用していた人は、ヤフーBBやNTTグループの公衆無線LANサービスに切り替えたとしても利用している技術は大体同じですから、普通はそれまで使っていた端末やSkype等のサービスはそのまま利用することができるようになります。
実際、上記のBoingoというサービスは、世界の公衆無線LAN事業者のサービスをローミングするようなサービスで、標準規格が決まっているWiFiならではのサービスだといえるでしょう。
これって事業者の視点から見ると、ADSLのような固定通信事業と同様に、利用者が強く事業者が儲からないビジネスになりそうなので、避けて通りたい道だとは思いますが・・・
ちなみに、ライブドアのD-Cubicに関連して日経コミュニケーションズで公衆無線LANの特別編集記事が掲載されていますので、興味のある方はこちらをどうぞ。