[Blog]Amazonアフィリエイトの5%は超有料書店? を読んで

Amazonアフィリエイトの5%は超有料書店? リアルとネット書店の収益構造の分析を読んで。

 Goodpicの金子さんが、非常に内容の濃い記事を書かれています。


 青山ブックセンターの営業中止は、様々な方面で物議をかもしていました。
リアルの世界に生きる人だけでなく、ネットのヘビーユーザーであろうブログをかかれている人たちも、多くの人が「残念だ」とブログでコメントをしています(例えばOutlogicのOkuizumiさんも書いているし、切込隊長のブログでも取り上げられている)。

 なぜこれだけファンがいるのに営業中止になってしまうのか、と正直ニュースが整理できずにいました。

 金子さんは、このニュースを冷静に初期投資リスクと利益率の観点から分析されています。
 正直、Amazonのアフィリエイトが3%~5%の収益というのを始めてみたときには、「販売代理店としてみると3%ってのは安いなぁ」というのが第一印象でした。
 一般的な代理店の世界と比較していたのが、間違いだったのでしょう。

 確かに、実際のビジネスで利益率3%~5%というのは悪くない数字です。しかも、人件費を排除すれば、ほとんどノーリスクで得られる。
 

 さらに日本でのリアルの書籍販売というビジネスは、
・多品種の在庫が必要
・値引きができない
 という他の物販ビジネスとは異なる、大きな特徴をもっています。
 
 そのため、小規模書店においては地の利以外の差別化は非常に難しく、利益のほとんどは回転率の良い雑誌だっとといわれています。
 それが、現在コンビニに持っていかれているのはよく言われる話です。

 逆に、青山ブックセンターのような品揃えを武器にした専門書ビジネスも、今度は回転の悪い在庫を大量に抱えるという意味で、在庫リスクの低いオンライン書店に押されているということなのでしょうか。

 金子さんの最後の締めくくりが印象的です。

AmazonのXML Webサービスとアフィリエイト制度の普及によって、WEB上に無数の個人書店が登場し始めたように、リアル書店にも、在庫管理をサポートして、初期投資、運用コストが低くてオープンなシステムを提供するサービス・プロバイダー企業の登場が不可欠なのかもしれません。
そのようなオープンなインフラがあれば、カフェやセレクト・ショップの1コーナーで、数は少ないながらもマニアックな書籍が購入できたり、新しいタイプの書店が生まれてくる可能性もあるのではないでしょうか。

 確かに、オンライン書店では、見つけた瞬間に即購入というニーズは永遠に満たされないはずです。
 意外にコロンブスの卵なリアル書店ビジネスというのが・・・あるでしょうか?

[P2P]P2Pソフト「Skype」で新しいタイプの通信事業者を目指す を読んで

P2Pソフト「Skype」で新しいタイプの通信事業者を目指す──Skype CEO Niklas Zennstrom氏に聞く : IT Pro ニュースを読んで。 

 Skypeを開発した会社が、ファイル共有ソフトのKaZaAを開発した会社であることは良く知られている。


 てっきりKaZaAが好調なので、あまった資産でSkypeに手をつけたのかと思っていたが違ったらしい。

KaZaAと呼ぶファイル共有のP2Pソフトを開発したが著作権侵害行為で訴えられ,KaZaAに代わるビジネスを模索していた。もともとスウェーデンの電話会社に勤めていたことがあり音声通信に目をつけた。

とのことだ。

 もちろん、KaZaAは無料で配布しているのだから収益が上がりづらい仕組みなのは理解していたつもりだが、もう少し何とかなっているものだと思っていた。

 KaZaAでは、ファイルを検索すると無料のファイルだけでなく有料のものも表示される。その手数料で収益をあげているものだと思っていたのだが、結局不正ファイル交換目的の人はお金を払わないということだろうか。
 結局、まだファイル共有によって収益をあげるというモデルはどこも描けていないということだろう。

 
 それにしても、その結果Skypeのような良質のインターネット電話ソフトが生まれたのだから、通信業界にとっては皮肉な結果だ。
 Skypeのようなインターネット回線で高品質な音声を提供するソフトが出てくると、当然音声通話のインターネット回線料金への統合が進むことになる。
 要は音声通話の無料化だ。
 
 ただ、だからといってSkypeが収益をあげられるとは限らないのが難しいところ。
 Skype同士は無料で、Skype利用者が他の電話番号に電話する際の手数料で収益を上げるモデルを目指すようだが、Skypeが普及すればするほど収益が上がる余地が下がるという皮肉なモデルになっている。

 もちろんYahoo!BBと同じといえば同じだが、Yahoo!BBではADSLの基本料金が入っている点が根本的に違う。

 最終的にはボイスメールのような付加価値サービスがどれだけ魅力的なものにできるかにかかっているのだろう。
 何にしても日本のISPともパートナーシップを模索しているようだから、日本でもサービスが提供されるのだろう。
 今後どうなるのか楽しみだ。

[コラボ]ビジネス環境の分散化が社会を変える を読んで

CNET Japan Blog – 梅田望夫・英語で読むITトレンド:ビジネス環境の分散化が社会を変えるを読んで。

 議論のタイミングを逃してトラックバックを打つのが、すっかり私のスタイルになってしまったが。


 このビジネス環境の分散化は、個人的にも今の会社的にも非常に興味のあるテーマだ。
 
 手前味噌ながら、今私が手がけているソフトウェアは、このビジネス環境の分散化の支援をうたっている。
 会社や組織の壁を越えて、本当に必要な相手と情報共有をでき、会社でも家でも出先でも必要な情報を活用できる。
 個人やSOHOでも大企業並みに情報共有システムの恩恵を得られるようになるはずだ。
 もちろん、類似のソフトはGrooveを始め、サーバー型の仕組みでもできるものがいくつかでてきている。
 

 ただ、だからこそ、この梅田さんの見ている「ビジネスにおける人々の自由の増大」というトレンドが日本に来るのは、米国の数週遅れになるんじゃないだろうかと・・・悲観的にも見てしまう。

 やはり、日本は米国に比べ、ビジネスマンの自立度や自由度が圧倒的に低いと思うからだ。

 そもそも日本の大企業に所属しているビジネスマンは、どちらかというと自由や自立と対極にいる。
 例えば机にしても、個別のブース形式が多い米国に比べ、日本はチームで働くため、机は島になっている。隣の人がいないときにかかってきた電話は米国ではボイスメールに行くが、日本では隣の人が取る。極端な例でいえば、日本では成果をあげている人でも、朝の遅刻が多いとダメなやつとされたりする。

 もちろん、真にビジネス環境が分散して個人やSOHOが中心の社会が来れば、上記のような組織内の話は関係なくなる。
 しかし、ここにも大きな壁がある気がする。
 日本はやはり大企業名がモノをいうので、小さい組織に降りてしまうと小さい仕事しかできなかったりする。

 もちろん例外はあるのだが、どうも最近悲観的だ。
 ライブドアや楽天の規模までいった会社も、結局大企業からするとうさんくさい若者にしかすぎないようだし(まぁあれは特別か)、ソフトバンクの規模までいってもまだメディア的には大企業対ベンチャーの構図が崩れないというのもおかしな社会だと思ってしまう。

 米国なら成功した人は尊敬されるのが、日本だとねたまれたり非難されたりする。日本はそういう文化なんだと誰かに言われたのを思い出してしまった。

 いや、でもビジネス環境の分散化で私たちが「ビジネスにおける自由の増大」を獲得できれば、もっと面白くなるのは間違いない。
 それに向けて自分達ができることもあるはずだ。
 それはいったい何なんだろう・・・?

[通信業界]有線・無線ネットワークの架け橋に–NTT ComやBTなど6社が提携 を読んで

有線・無線ネットワークの架け橋に–NTT ComやBTなど6社が提携 – CNET Japanを読んで。 

 いよいよというべきか、ようやくというべきか。


 もうすぐ、有線と無線を意識せずに使える時代が来るのだろうか。
 もちろん水面下では既に様々な動きがあるから、このニュース一つが何かの分岐点になるわけではないが、固定通信事業者側の焦りが見える象徴的なニュースと感じてしまう。

 現在いわゆる「おしゃべり」という電話行為自体は、無線である携帯電話に確実に移行が進みつつある。
 固定通信事業者にとっての頼みの綱は、ADSLや光ファイバに代表されるブロードバンドのデータ通信だ。だが、実はそれも家庭内のミクロで見ると無線LANの使用率が急速にあがっている。家の電話がコードレス電話になっていた頃の流れと一緒だ。

 まぁ要は、人間はケーブルなんて言う面倒なものに縛られていたくということなんだろう。
 そうなるとワイヤレスブロードバンドのサービスが提供されるようになると、私たちは通信サービスにおいて部屋に固定回線を必要としなくなる可能性もある。

 もちろん、無線技術次第のところもあるからあくまで仮説の世界にしか過ぎないが、そうなったら規制に縛られているNTTコムのような固定通信事業者は大変だ。
 そういった危機意識はやはり強いのだろう。

 前にも書いたと思うが、PHSサービスはそもそも家のコードレス電話を外でそのまま使えるコンセプトのはずだった。それが政府の競争政策などのあおりを受けて、結局無線通信サービスになった。
 今回のこのFMC(Fixed-Mobile Convergence)はどうなるのだろう?

「NTTの幹部は、将来、複数の国で有線と無線を組み合わせたサービスを展開したいと述べている。」と書いてあるが、ひょっとして国内をあきらめて海外を先にやるという話なのだろうか?

 むむ、良く見るとNTTコムのサイトにまだリリースが掲載されて無い。
 どういうことだ???

[通信業界]NTTコムなど3社,無線LANの位置情報を使う情報配信実験 を読んで

NTTコムなど3社,無線LANの位置情報を使う情報配信実験 : IT Pro ニュースを読んで。 

 位置情報と無線技術の連動は、今後伸びると感じる分野の一つだ。


 もちろん今回の無線LANのようにアンテナの位置を使わなくても、auの携帯のようにGPSを使う手もある。

 ただ、今回の発表とは直接関係ないが、先日非常に面白い技術を紹介してもらったこともあり、無線LAN系の短距離電波の位置情報サービスに最注目中だ。

 その技術は何でもイスラエルの会社の技術らしいのだが、無線LANのアクセスポイントからの距離を使って細かい位置を特定できるものだ。
 三点測量の要領で、3つのアンテナまでの距離を元に場所を特定する。
(正確には届いていないアンテナの位置なども含めて計算するため、届くアンテナが2つとかでもおおよそ測定できるらしい)

 そうすると何ができるか?

 例えば展示会の会場で、自分の近くにあるブースの情報をタイムリーに表示することができる。
 デパートなんかで、近くの売り場のバーゲン情報を入手することなんかも可能だろう。

 今の携帯電話における情報の入手の仕組みは基本的にプルだ。メニューから該当のサービスを選んで、自分の欲しい情報を探す。
 それが位置情報を使うようになると、とたんに情報はプッシュで必要なものが送られてくるようになるわけだ。
(もちろん、無駄なスパム情報が急増する可能性も十分にある)

 こういうのって電波距離の広い携帯電話だと難しいと思う。地下街のような場所だとGPSも届かないだろうし。
 このNTTコム、三菱地所、NECの実験では、そこまで細かいエリア特定ではないようだから、携帯とかぶってて厳しい気もするけど・・・結果が楽しみだ。