「ゾウの時間ネズミの時間」は、生物のサイズから動物のデザインについて考察している本です。
「ヒトデはクモよりなぜ強い」について小飼さんが書かれていた書評の中で勧めていたので、購入して読んでいたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
この本で考察されているのは、あくまで生物学であり、「ヒトデはクモよりなぜ強い」とか「ウィキノミクス」のような経営学の話ではありません。
ただ、生物のサイズと時間の関係や、人間の常識の話だとか、目から鱗の指摘が満載ですので、前述の本とか「経営の未来」のような経営学の本が好きな方も、楽しく読める本ではないかと思います。
【読書メモ】
■体重が増えると時間は長くなる
(体重の増え方に比べれば時間の長くなり方はずっとゆるやか)
■心拍数一定の法則
哺乳類ではどの動物でも、一生の間に心臓は20億回打つ
一生の間に約5億回、息をスーハーとくりかえす
■島の規則
島に隔離されると、サイズの大きい動物は小さくなり、サイズの小さい動物は大きくなる
■人間の島の規則
島国という環境では、エリートのサイズは小さくなり、ずばぬけた巨人と呼び得る人物は出てきにくい。逆に小さい方、つまり庶民のスケールは大きくなり、知的レベルはきわめて高い
■技術というものは、次の3つの点から、評価されねばならない。
・使い手の生活を豊かにすること
・使い手と相性がいいこと
・使い手の住んでいる環境と相性がいいこと
■動物の根本デザイン
動物においては、時間は体長の4分の3乗に比例する
動物には基本的な設計図が進化の歴史の中でできあがっており、その設計の原理の一つが、ここで明らかになってきた体長と時間の関係である。
■動物をよく理解するためには、空間と時間と力、この3つに対する感覚がなければいけない。
ところが、人という者は視角主導型の生き物である。
■私たちの常識の多くは、ヒトという動物がたまたまこんなサイズだったから、そうなっているのである
■物理的時間にきつく縛られた都会人の時間が、はたしてヒト本来の時間なのかと、疑問に感じてしまう
■体のサイズは昔とそう変わらないのに、思考のサイズばかり急激に大きくなっていく、それが今の都会人ではないだろうか?
体をおきざりにして、頭だけどんどん先に進んでしまったことが、現在の人類の不幸の最大の原因だと私は思っている。
ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書) 本川 達雄 中央公論社 1992-08 by G-Tools |